散歩/昭和を振り返る散歩ルート

江戸最古といわれる「谷中七福神」を歩いてみた

江戸最古といわれる「谷中七福神」を歩き、七福神そばをいただく。谷中銀座で7体の木彫り猫をさがし、レトロな「キッチン マロ」でカツカレーをいただいた。それから、年中まわれる下谷七福神も歩いてみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

江戸最古の谷中七福神を歩く

お正月に向けて、七福神めぐりの予習はどうだろう。というわけで、担当プロデューサーのOくんとともに歩くことにした。これまでいくつかの七福神を記事にしたけれど、今回は、一番人気の七福神といってもいい「谷中七福神(やなかしちふくじん)」を歩くことにした。

谷中七福神は北区、荒川区、台東区にまたがっている。ちょうど山手線の田端駅から上野駅までのコースで、約5km。ウォーキングにもちょうどいいくらいのコースというのも人気のポイントだろうか。

というわけで、12月の某日にOくんと田端駅北改札口を出たところで落ち合った。
山手線、京浜東北線の駅だ

JR田端駅北改札口が、今回の散歩のスタート地点


ちなみに七福神めぐりには、決まったルールはない。どの神様からめぐってもいいし、何日かかけてめぐってもいい。期間はいつまわってもいいのだ。ただし、色紙に御朱印がもらえたりするのは、お正月から何日かの期間と決まっている場合もあるので、出かける前にチェックしたほうがいいだろう。
山を切り開いて道をつくった

街頭に「田端切通し」という文字


「おお、田端切通しだね」とカメラを向ける僕にOくんが「切通しってなんですか?」と聞く。切通しとは山や丘だった場所を切り開いて道をつくることだ。切通しというと鎌倉が有名だが、東京でもずいぶん見かける。

なんて話をしていると、すぐに最初の七福神のある東覚寺に到着した。ここは福禄寿(ふくろくじゅ)が祀られている。福禄寿は中国の神様だ。長寿や出世の神様。お参りしておこう。
福禄寿がいらっしゃる

東覚寺 北区田端2-7-3


普通なら境内に七福神のご本尊があるのだけれど、どこにも見当たらない。境内には、来年お正月に七福神めぐりをするための下見に来ていたという高齢の紳士2人組がいたので、聞いてみると、どうやら、こちらのご本尊の御開帳は1月1日から10日までの期間だけだそうだ。


七福神は江戸時代のアイドル的存在?

さて、次の七福神をめざそう。と、Oくんが、「七福神ってそもそもどういう意味なんでしょうか」と聞く。うーん、一応、七福神全部お参りすると、七難が去って七福がくるという信仰だよと説明した。

すると立て続けに「へえ、それは仏教なんですか、神道なんですか?」とOくん。
谷中七福神は全部お寺だけど、ほかではけっこう神社と混在しているところも多い。それが、また七福神のいいところじゃないかと思うのだ。
恵比寿が祀られている

青雲寺 荒川区西日暮里3-6-4


青雲寺
に祀られているのは恵比寿。なんと、日本由来の神様は恵比寿だけ。あとはみんな海外の神様っていうのもおもしろいね。ちなみに恵比寿は商売繁盛の神様だ。

青雲寺でもご本尊は開帳されていない。とりあえず、お参りだけをして、次のお寺へ行こう。

歩きながらまたOくんから「七福神っていつごろからあるんですか?」という質問。七福神は室町時代くらいに生まれたようだけど、盛んになったのは、江戸時代だ。江戸最古っていわれている谷中七福神は今から250年前にできたって言われているけど。恐らく、プロデューサーみたいな人がいて、作ったのだろう。

「えっ、じゃあ、七福神の秋元康みたいな人がいたんですね。まさに江戸時代のアイドルってかんじじゃないですか」とOくん。

なるほど、“神セブン”とかね。なんか類似点があるかも。ちなみに、七じゃなくて八のところもあるし、神様の顔ぶれも微妙に違っていたりするのがまたおもしろい。
ここが布袋尊を祀る修性院

壁に布袋尊のイラストが描かれている


布袋尊のイラストが描かれている。ここが修性院だ。こうして、壁に布袋尊が描かれているということは、ご本尊が見られるかもしれないぞ……。
布袋尊が祀られている

修性院 荒川区西日暮里3-7-12


あー、やはり御開帳はされていない。と、ここでOくん、スマホでチェック。
「ああ、やはり谷中七福神はどこも御開帳は1月1日から10日までみたいですね」
なるほどねぇ。それじゃ、ご本尊が拝めるところへいきましょうか?
「え、そんなのあるんですか?」
あるんです、お蕎麦屋さんに。


「七福神そば」をいただく

七福神めぐりのルート上にあるのが、こちらのお蕎麦屋さん「松寿庵」さん。店名がめでたい響き!
営業時間は11時から16時 定休日は火曜日

松寿庵  台東区谷中5-8-29


まあ、入ってみよう。さっそく着席して、「七福神そばください」と注文。こちらのおそばはその名の通り、七福神になぞらえた具材がのせられているのだ。
どの具材がどの神様かを解説

七福神にちなんだ具材がのせられている


恵比寿が海老、大黒が袋茸、福禄寿が筍、寿老人がのり、弁財天が紅白かまぼこ、布袋がうずら卵、毘沙門天がとり肉。
うどんもあります

七福神そば 880円


ふだんあまり、食事についての感想を言わないOくんが「おいしい、おそばですね」と何度も言っている。たしかに、おいしい。

さて、おそば屋さんの松寿庵さんからすぐの長安寺へ。
寿老人が祀られている

長安寺 台東区谷中5-2-22


こちらの長安寺には寿老人(じゅろうじん)が祀られている。さきほどのおそばの具でいえば、海苔。長寿の神様だ。

さて、次の七福神へ。谷中霊園の入り口あたりに天王寺がある。境内には大仏様がいらっしゃる。こちらには毘沙門天(びしゃもんてん)が祀られている。
毘沙門天が祀られている

天王寺 台東区谷中7-14-8


毘沙門天は戦いの神様。当然ながら、こちらもご本尊は見ることができない。さて、お参りをして、次の七福神へ。

上野方向へ歩いていくと、大黒天(だいこくてん)が祀られている護国院がある。
大黒天が祀られている

護国院 台東区上野公園10-18


大黒天(だいこくてん)はもともとはインドの神様だが、七福神では、日本の神様である大国主命(おおくにぬしのみこと)と合体した神様となっている。大きな袋と打出の小槌を持っている姿で描かれることが多い。子宝、食物、財福などをつかさどる神様だ。

次は不忍池へ向かおう。七福神では唯一の女性で財産、才能、縁結びなどの神様である弁財天が祀られている不忍池弁天堂へ。不忍池弁天堂は不忍池に浮かぶ島にあり、かつては船で渡っていた。ちなみにいま、ここの近辺には『ポケモンGO』『Ingress』の使用は全面禁止という立て看板がある。
弁財天が祀られている

不忍池弁天堂 台東区上野公園2-1


不忍池弁天堂では、谷中七福神の紹介とともに御朱印を集めた色紙が飾られている。色紙は1000円、御朱印の代金は2~300円。価格は改定されるかもしれないので、目安にしてください。期間は毎年1月1日~10日まで。時間9:00~17:00だ。
全部そろうと達成感がある。

全部回るとこれだけの御朱印が集まる


さて、今回の散歩では谷中七福神に続いて、谷中銀座商店街で7体の木彫りの猫も見てきた。また、今回、ご本尊を紹介できなかったので、近くの下谷七福神の本尊の画像をいくつかご紹介しよう。
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