2016年ベストドラマのキーワードは「新しい時代の先駆け」

冬ドラマも続々と最終回を迎えています。2016年のドラマは、これまでの停滞を打ち破る新しいパターンの作品が目立ちました。毎年恒例のベスト5を選びながら、今年のドラマを振り返ってみましょう。

5位『東京裁判』

東京裁判

画像は公式サイトより引用 http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161212

まずは12月12~15日に放送されたNHKスペシャルのドラマ。地味だけど8年取材をかけ、カナダ、オランダと共同制作した力作です。太平洋戦争の戦争責任を問う東京裁判を戦勝国から集められた11人判事の立場から描く歴史ドラマ。判事たちを演じるのはその国の実力派俳優。たとえばオーストラリア人裁判長役のジョナサン・ハイドは映画『タイタニック』で処女航海に同行した造船会社の社長役がしられています。日本人主要登場人物はオランダ人判事と親交があった『ビルマの竪琴』の作者、竹山道雄(塚本晋也)のみ。

結論は多くの人が知っているけど、中身までは知らない東京裁判、その裏での判事の葛藤や各国の思惑がよくわかりました。NHKも報道体制などの問題がよくいわれていますが、その底力を示した一作です。

『東京裁判』公式サイト


4位『夏目漱石の妻』

夏目漱石の妻

画像は公式サイトより引用 http://www.nhk.or.jp/dodra/souseki/

引き続きNHK。没後100年の夏目漱石(長谷川博己)を妻・鏡子(尾野真千子)を軸に描いています。生活のために英語教師をせねばならず、小説家になってもさまざまなストレスがあり神経症気味の漱石と鏡子のせめぎあいを時にユーモラスに、時に切実に描いています。

主演・尾野真千子と脚本・池端俊策との組み合わせは2014年の土曜ドラマ『足尾から来た女』と同じ。こちらでも足尾銅山がらみのエピソードがでてきたのも興味深いところ。

今年のNHK土曜ドラマは『逃げる女』『トットてれび』などレベルの高い作品が続出。ただ『逃げる女』22時、『トットてれび』20時15分、『夏目漱石の妻』21時、『スニッファー 嗅覚捜査官』22時、最後の単発ドラマ『スクラップ・アンド・ビルド』は21時とスタート時間が一定しないのはどうにかならないもんでしょうか。視聴習慣がつきにくいんですよね。

夏目漱石の妻』公式サイト


3位『真田丸』

真田丸

画像は公式サイトより引用 http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/index.html

さらにNHK。近年、連続テレビ小説が絶好調でもう一つのNHKの看板、大河ドラマはもう一つ。しかし今年は盛り返しました。成功要因は大河ドラマが昔から大好きだという三谷幸喜脚本。主人公の名前がほとんど真田信繁で幸村は最後の方だけなど史実重視。最新の歴史研究も取り入れつつ、それをうまくストーリーに落とし込めています。

50年以上続いて、主人公が以前とりあげられた人物だったり、そうでなければマイナーな人物だったりする大河ドラマ。これからはこの『真田丸』のように大河ドラマが広めた通説を打ち破るような新事実をドラマにする方向がいいのではないでしょうか。

NHK時代劇では『ちかえもん』も史実と創作を取り混ぜた奇想の時代劇で楽しめました。向田邦子賞受賞も納得です。

『真田丸』
公式サイト



2位『ゆとりですがなにか』

ゆとりですがなにか

画像は公式サイトより引用 http://www.ntv.co.jp/yutori/

3~5位がNHKと好調さを見せつけましたが、民放も時代にあったドラマを作っています。『俺たちの旅』や『ふぞろいの林檎たち』などテレビドラマの伝統的なフォーマット、三人組パターン。これまでドラマであまり取り上げなれなかったゆとり世代やブラック企業など現代のさまざまな問題をポジティブに描き、世代を越えて共感できる作品です。登場人物すべてをキャラ立てしつつそれぞれの苦悩を描くところは『あまちゃん』以上にこれまでの宮藤官九郎作品とは違うぞ、と思わせながら、ちょいちょいクダラないギャグを挟んでくるところがさすがです。

ゆとりですがなにか』公式サイト
関連記事:『ゆとりですがなにか』はクドカンの”リベンジ”か


1位『逃げるは恥だが役に立つ』

逃げるは恥だが役に立つ

画像は公式サイトより引用 http://www.tbs.co.jp/NIGEHAJI_tbs/

新垣結衣と星野源の魅力や恋ダンスなどに目が奪われがちですが、毎回視聴率をアップさせていたのはドラマとしてしっかりできていたから。「契約結婚」は2015年1~3月に『デート~恋とはどんなものかしら~』と『○○妻』がとりあげたのに次ぐもの。極端な設定の中で、現代における恋愛や結婚を考えるという意図でしょう。

特に『逃げ恥』と『デート』は一方が無職、もう一方が感情より理性を重視するタイプという共通点があります。比較すると『デート』は主人公二人がぶっ飛んでいて、おもしろくはあるけど共感しにくかったのにのに対し、『逃げ恥』は契約結婚を実際にしてしまうという点は変わっているけど、それ以外は感情移入しやすいキャラだというのが大きな違い。また二人が考えていることをモノローグ、またはセリフとして視聴者に解説するのも見どころ。恋愛ドラマ不毛の時代といわれていますが、今後の指針をとなる新しい形の恋愛ドラマです。

ここしばらく恋愛ドラマを続けていたフジの月9枠ですが『カインとアベル』でついに挫折。『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』は力作だったと思うのですが、ちょっと古典的に過ぎたでしょうか。

『いつ恋』の脚本を書いた坂元裕二は1月から『逃げ恥』の後番組『カルテット』で三十代四人(松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生)の恋愛と人生を描くそうです。こちらも引き続き楽しみです。

『逃げるは恥だが役に立つ』 公式サイト
関連記事:『逃げ恥』にムズキュン!俳優としての星野源の魅力



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。