東京都では「豊洲新市場」への移転をめぐる問題がこじれていますが、もとはといえば土壌汚染された工場跡地における安全対策が当初の計画どおりにされていなかったことが要因です。

しかし、土壌汚染の問題は市場や公共施設だけでなく、マンションや一戸建て住宅でも考えなければなりません。

何年か前のことになりますが、土壌汚染があった土地に建てられたマンションを、その事実を告げずに販売したとして、大手デベロッパーやその関連会社などが責任を問われていました。

土壌汚染された土地では、仮に十分な対策を施したうえで販売される物件だとしても、それを買う側としては「過去に土壌汚染があった」という事実を聞いただけで不安にかられるでしょう。対策が十分でなければ、もちろん大きな問題へと発展します。

2003年2月に「土壌汚染対策法」が施行されてからは土壌汚染に対する監視の目も厳しくなっていますが、それ以前に分譲されたマンションや建売住宅などでは、購入者に隠されたままで引き渡された物件があるかもしれません。

中古物件の取引では、個人の売主すべてに土壌調査を義務付けることも現実的ではなく、土壌汚染に万全を期すことはなおさら難しいのが現状です。

とりあえずは工場跡地などで開発された物件のときに、より高いレベルでの注意を払うことや、問題が疑われる土地ではその履歴を念入りに調べてみることしかないのかもしれません。

しかし、土壌汚染自体は近年だけでなく明治期や場所によっては江戸時代の頃から始まっているものです。昔からの土地用途も関係するだけに、なかなか難しい問題を孕んでいるでしょう。

一般の住宅地における土壌汚染のリスクがそれほど大きいわけではありませんが、一定の注意は必要です。


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(この記事は2007年2月公開の「不動産百考 vol.8」をもとに再構成したものです)


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