正しい認識を! 副作用はほとんどの薬にあります

ピンクの薬

副作用はどんな薬にもあります。副作用について正しい認識を持ちましょう

薬の副作用というと、多くの人が「薬の服用により身体への害を及ぼすもの」と認識しているのではないでしょうか。薬には副作用のほとんどないものもあれば、副作用の強い薬もあり、また、抗がん剤のように効果の強い薬ほど強い副作用が出るといったイメージを持たれているかもしれません。

副作用はほとんどの薬にあるものです。医療従事者は添付文書 (薬に関する情報が書かれたもの) をもとに副作用に関する情報を提供します。その中にはもちろん副作用の強弱についての記載もありますが、副作用が出る頻度についての記載も含まれています。0.1%以下の頻度でしか見られない副作用もあれば高頻度でみられる副作用もあります。副作用の強弱、頻度は薬によってそれぞれですが、薬にはとにかくたくさんの副作用があるのです。
 

薬の副作用の定義と治験における判定方法

副作用とは、「有害事象(身体に生じた思わしくない事象)のうち薬による因果関係を否定できないもの」と定義されています。新しい薬が製造、販売されるためには、市販前に薬の効果や副作用のデータを評価する試験、いわゆる治験が行われます。治験では、薬の有効性と副作用の両者を評価します。薬の有効性(効き目)は、被験薬と対照群との有意差の有無により判断されますが、副作用(安全性)については、それぞれ個別に有害事象の有無を判定します。これはたとえ頻度が低くても、重大な副作用を見逃さないようにするためです。

そして、この副作用判定は難しい側面もあります。たとえば、薬を服用してからひどい下痢になったとします。そういった場合、たまたまその人が食べた物が悪かったのか、その季節に感染性胃腸炎が流行っていたためなのか、それとも、もともとかかえている個人の疾患や合併症があったことが原因なのか、薬との因果関係が完全に明らかとは言い切れない場合があるからです。

そして、因果関係が不明ということは、因果関係がない、ということにはなりません。「因果関係を否定できない」と判断することになります。そのため、起こった事象は全てが副作用として取り扱われます。こういったものを含めて、薬の副作用はたくさんありますので、副作用情報は怖がりすぎずに上手に取り扱うことが重要になってくるのです。

副作用であるか否かは頻度の捉え方次第

以前、ロキソニンの重大な副作用として腸管の狭窄や閉塞が追加されたことがSNSなどでも話題になりました。そこで、薬を評価する際に大事な指標となるのは、その副作用がどれくらいの頻度で発生するのか?ということです。

ロキソニンの重大な副作用に腸管の狭窄や閉塞が追加されたのは、因果関係の否定できない事例が3年間で5件あったためです。しかし、ロキソニンの推定使用患者数が4500~4900万人であることを考えると、確率的には極めて稀なケースかもしれません。今までロキソニンを使用していて特に問題がなかった人は、これからも安全に使用できると考えてよいのではないでしょうか。もしこういった情報で心配な方や服薬が気になる方がいらっしゃいましたら、主治医に相談して、安心した上で服薬するようにしてください。

副作用の初期症状を自覚することもリスク管理の1つに

薬を服用する際には、注意すべき副作用がどのような自覚症状としてあらわれるのかを認識しておく必要があります。たとえば、高脂血症の薬には横紋筋融解症という病気が稀に副作用として出現します。初期には筋肉痛のような症状や力が入りにくいといった自覚症状がみられるものの、検査をして薬を中止すれば元に戻ります。

副作用は誰にとっても怖いものではありますが、一度副作用の初期症状を経験すれば、その後の副作用出現時に役に立つ情報になるかもしれません。もちろん、高脂血症は心血管障害や脳血管障害のリスク因子にもなるので、とくに副作用がなければ続けることが望ましい薬です。そのため、第一に薬を服用する目的を考えた上で、副作用のリスクを最小限に抑えることが大切です。

副作用は事前に予防できることも…不安な症状は必ず相談を

副作用によっては対策がとれることもあります。たとえば、免疫力低下の副作用がある薬を飲む場合は、普段以上に感染予防としてうがい、手洗いなどを行うことも有効ですし、眠気の出る薬を飲む場合、タイミングがいつでもよいものであれば寝る前に服用するのも対策のひとつです。 中には、特定の条件下、たとえば腎機能が低下している人に限って、副作用が起きやすい薬もあります。その場合は腎機能を考慮して薬の量は調整されるので、用法を守って服用しましょう。

また、今は自覚症状が少なくても、進行性の病気などがある場合、後々かなり進んだ状態で見つかってしまうケースもあります。服薬後の症状や持病に関する不安などがあれば、直接薬剤師に聞いてもらえたら嬉しいのですが、ついネットなどで調べてしまうのが現代人なのかもしれません。多くの体験談などが閲覧できるメリットもありますが、専門家による解説ではないものやいたずらに不安を増幅させてしまう情報もありますので、わかりにくいことがあればまずは医師、薬剤師に気軽に相談してください。
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