インプラント治療のイメージは「顎の骨にボルトを埋める」?
土台になる顎の骨が失われていたらインプラントはできない?
土台が失われる大きな理由
インプラント治療を必要とする場合は、すでに歯を失ってしまっているケースがほとんどです。歯を失ってしまった理由は、虫歯の悪化、歯周病の悪化、不慮の事故など様々ですが、歯を失ってしまうと歯を支えていた周りの歯槽骨にまで影響が及び骨が減っていきます。これを骨吸収といい、虫歯菌や歯周病菌によるダメージや歯ぎしり、入れ歯やブリッジの土台による負担など完全に歯を失ってしまう前からジワジワと骨吸収が引き起こされる場合もあります。骨が吸収される大きな理由が分かっていても、どれだけ注意してメインテナンスしていても、骨吸収が起こってしまうことを避けられないこともあります。実際にインプラント治療を受ける方の大半は何らかの骨不足なのです。
インプラントの長期予後を安定させるために
抜歯後ある程度は自然に骨が回復しますが全体的な高さは低くなるので、インプラントをしっかり支える為の造骨をしてインプラント治療に臨んだ方が長期予後が安定します。一昔前と違い、短いインプラントでの長期エビデンスも出ており、様々なインプラントメーカーからも発売されています。ですが、可能であれば土台にしっかりと埋められる長いインプラントのほうが支持力が大きく長期的な安定感もありますので、骨造成によって骨を増加させることができるケースであれば造骨することを選択すべきでしょう。
前回記事「上顎臼歯部はインプラントが出来ないってホント?」でもお伝えしましたが上顎臼歯部は非常に骨質が軟らかく、インプラントを安定させるのに苦労する部位です。さらに上顎洞(耳鼻科でいう副鼻腔)がすぐ上にあるので骨の厚みが不足していることも多々見受けられます。すべての歯の中で最も欠損率が高い第一大臼歯の部位に上顎洞の底が位置することが多いので、骨吸収が大きいケースだと1ミリ前後の薄い骨しか無いようなケースも多々あります。
おすすめはステージドアプローチ
4か月前行ったサイナスリフト(上顎洞底挙上しての造骨)他の7本のインプラントは埋入したのですが左上の第一大臼歯部分だけは造骨のみ。造骨後約4か月後インプラント埋入。インプラントは直径5ミリ長さ9ミリを選択。