老後に向けての働き方と資産運用の方法を教えてください

老後に向けた働き方とは

老後に向けた働き方とは

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、離婚後のマネープランに悩む50代の女性会社員です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)


■相談者
ひまわりさん(仮名)
女性/パート/50歳
東京都/賃貸住宅

■家族構成
独身/一人暮らし

■相談内容
今年1月に49歳で離婚しました。その後、住んでいたマンションを売却(売却額300万円)。現在、1年契約更新の契約社員として時給1700円/6時間勤務をしており、残業があるので余裕はありませんが、生活はできています。ただし、これ以上の収入アップは望めません。東京都内の田舎(戻った場合通勤時間1時間30分)に実家があり、将来は戻ることも検討していますが、当面は賃貸です。相談は以下のとおりです。
(1)預貯金を投資で運用することを考えていますが、初めてで不安です。毎月1万5000円の定期預金を個人型確定拠出年金に変更しようかと考えています。他に良い方法があれば教えてください。
(2)50歳でも正社員の仕事を探すべきか迷っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

■家計収支データ
「ひまわり」さんの家計収支データ

「ひまわり」さんの家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)加入保険の内訳
・本人/医療保険(終身保障、60歳払込終了、入院3000円)=保険料2600円
・本人/がん保険(終身保障終身払い、先進医療特約、通院特約など)=保険料2870円
・本人/低解約返戻金型終身(払込終了52歳、死亡保障300万円)=来年19万円を支払い、前納終了。53歳時に解約返戻金183万円
・本人/個人年金保険(69歳から10年確定※今年6月加入)=保険料3万円(※豪ドル建て。4年後には掛け金を1万円に減額予定。ただし本人はこの個人年金保険が有益かはやや不安・利率は2%)

(2)年金の予定受給額
133万円(離婚による年金分割分は加算されていない)

(3)現在の勤務体系
毎年リストラ策、費用削減が行われているため、実際はフルタイム以上に働いているが、契約上短時間契約なのでフルタイム勤務はならない。厚生年金には加入。

(4)実家について
実家は築45年(床、水回りは11年前にリフォーム済)で両親も健在。母親は「自分たちが亡くなった後は、弟と一緒に暮らしてもいい」と言っている。ただし、弟は独身でマンションを所有。実家に戻るかは不明。また、相談者が転職するとすれば、勤務先はより実家に近いところをと考えている。

(5)家計について
通信費は、格安スマホに変えてもっと安くしたいと思っている。。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 用意できる老後資金は心もとない
アドバイス2 個人型DCで確実に節税の恩恵を受ける
アドバイス3 年金の繰下げ受給も選択肢のひとつ

アドバイス1 用意できる老後資金は心もとない

相談者であるひまわりさんが現状のままであったら老後のキャッシュフローはどうなるのか。アドバイスにはまず、そこを確認しておく必要があります。

現在の家計収支については、個人年金保険の保険料は貯蓄(マンションの売却額)から支払っているとのことですが、家計はいっしょなので毎月の家計支出として計上します。結果、毎月の収支はほぼプラスマイナスゼロ。ボーナス分が年間貯蓄に回ることになります。ただし、来年から家賃が1万円アップ、3年後には個人年金保険の掛け金を1万円に減額予定。それらを考慮し、仮に65歳まで今と同じ給与水準が続くとすると、家計からの貯蓄は240万円ほどとなります。

この間、貯蓄からの大きな支出は引越し費用くらいとすれば、65歳の時点で手元にある貯蓄=老後資金は1150万円前後といったところ。あとは終身保険の解約返戻金として200万円ほどが用意できるといった状況です。

公的年金の受給額は年額133万円に、どれだけ離婚による分割分が上乗せされるかは不明ですが、仮にそれで生活費はカバーできたとしても、先の老後資金の金額はやはり心もとないと言えます。健康を害して、65歳まで働けなくなるかもしれません。要介護になる可能性もあります。個人年金保険については後で触れますが、その年金が支給されても、それらリスクを排除できるほどの額には至らないでしょう。

アドバイス2 個人型DCで確実に節税の恩恵を受ける

試算から言えることは、もっと老後資金を増やすべきということです。そのための方策は、収入アップと家計支出の削減、そしてひまわりさんの場合、資金運用もそれに加わります。

収入アップはご相談の(2)に関係することですが、50歳であれ正社員を目指すべきだと思います。断片的にしか勤務先の内容はわかりませんが、待遇面は必ずしもいいとは言えないでしょう。60歳以降の再雇用についても、正社員の方がより条件が良くなるはずです。

次に(1)のご相談ですが、運用方法として個人型DC(確定拠出年金)を活用するのはいいと思います。掛け金の拠出は60歳までですから、老後資金を大きく増やすということは難しいかもしれません。それでも、掛け金が全額、所得控除の対象になります。これは定年前に確実に得られる大きなメリットです。企業年金制度のない会社に勤務する人の場合、上限は月額2万3000円ですが、仮に上限まで掛けると、所得税と住民税の税率が合算で20%なら、年間にしておよそ5万5000円の節税できます。

また、個人型DCは企業型と違い、どの金融機関で行うかは本人が選択します。投資信託など運用商品の種類や、それにかかる手数料等のコストは各金融機関によって異なりますので、いくつか比較した上で始めるといいでしょう。

個人年金保険も運用として始めたとのこと。ただし、豪ドル建てというところが気になります。豪ドルは米ドルやユーロと比べると、市場の規模も小さく、為替変動が大きい通貨です。豪ドル安になれば、金利2%は簡単に相殺され、元本割れになりかねません。もちろん、為替差益の可能性もありますが、10年後、20年後の為替は誰も予測できないのです。その意味で、ハイリスクと言わざるを得ません。解約(掛け金はほぼ失う)されるか、あるいは速やかに掛け金を最小に減額しましょう。

加えて、投資は先の個人型DCだけにして、他の資金に関しては元本保証の貯蓄商品や個人向け国債などの安全確実な商品で貯めることが大切です。運用にはある程度時間が必要。定年まであと10年、すでに投資比率は抑える年齢になっていると考えてください。

アドバイス3 年金の繰下げ受給も選択肢のひとつ

もしも転職が成功して、希望どおり正社員になれた場合、その後のキャッシュフローはある程度改善できますが、少なくとも収入面が変わらなかったらどうするか。

結論から言えば、より長く働くことが現実的な対応策となります。理想は70歳まで。たとえ、収入が月7万~8万円に落ちても、継続的に収入を得ることが大切です。それにより、より老後資金の取り崩しを遅くすることができます。

また、65歳になっても老後資金をほぼ手をつけずに済み、なおかつ70歳まで働けば、その間、老齢年金とパート等の収入で赤字にならないとします。もしそうであれば、老齢年金のうち、老齢基礎年金について受給開始を先に延ばしてもいいでしょう。

年金の「繰下げ受給」といって、最長で70歳からの受給開始が可能。繰り下げた分、年金の受取額は増額され、70歳なら42%増額されます。つまり、年金額を引き上げることができるわけです。

年金の受け取りを先延ばしにするのは怖いと感じるかもしれません。しかし、例えば5年延ばしても、実は81歳で65歳受給者を総額で抜いてしまうのです。しかも70歳以降は年金が増えていることにより、生活費が不足しても老後資金の取り崩し額を確実に抑えることができます。

最後に離婚による年金分割について。原則として、離婚日から2年以内に申請をしないといけません。婚姻期間中に妻が働いた場合(第2号被保険者)、その間の厚生年金の分割には夫婦間の合意(合意分割)が必要です。できるだけ早めに行動した方がいいでしょう。

相談者「ひまわりさん」から寄せられた感想

転職の検討、そして投資についての判断を明確に伝えて頂きありがとうございました。個人年金、掛け金も、支出に含めて捉えなければいけませんね。解約を視野に掛け金は減額をしたいと思います。月々からできるだけ貯蓄したいと思います。これから20年の長いスタンスでの働き方と年金のバランスについて、アドバイスを頂きありがとうございました。まさに人生に何が起こるか分かりませんが、70歳まで健康に気を付けて働いていきたいと思います。どうもありがとうございました。


教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん

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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ





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