「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」公式サイトより
住みたい街を見つけてくれる重田不動産
ドラマの主人公は、森三中の大島美幸さんとメイプル超合金の安藤なつさんが演じる、吉祥寺の「重田不動産」の重田姉妹。吉祥寺に住まいを求めて訪れる人に、別の街を勧めるのですが、それは理由があってのこと。第1話では、吉祥寺に長く住んでいるけど、同棲中の彼にフラれて、もう少し狭い部屋を探しに訪れたお客様が登場します。吉祥寺しか住んだことがないという彼女は、イラストレーターなので、「都心に近くて、自然が多くて、古本屋がある街」というのが希望でした。
そんな彼女に重田姉妹が案内したのが「雑司ヶ谷」。彼との思い出が多い吉祥寺より、希望条件を満たす雑司ヶ谷のほうが適していると思ったからです。雑司ヶ谷が気に入るであろうスポットも案内していく重田姉妹。プロですね。
ドラマの公式サイトを見ると、イントロダクションとしてこんな言葉が…。
「人には人の数だけ生活の仕方がある」
憧れだけで街選びをする人も多い
筆者は仕事柄、住まいを購入した人にインタビューをすることが多いのですが、こんな人がいました。どういったマンションを比較検討しましたか?と聞いたところ、「東急田園都市線の物件を見たら、予算が厳しかったので、○○線の物件を見て決めました」というのです。「なぜ東急田園都市線を見学されたのですか?」と聞くと、「なんとなく印象がよいから」。実は通勤に便利な沿線でも、実家に近いといった場所でもありませんでした。最終的には通勤に便利で予算に無理のない街を選んでいたのですが、このように単に「イメージがよい」という理由で街選びをする人も多いのです。
首都圏でいえば、住みたい街ランキングなら、「吉祥寺」「恵比寿」「横浜」などが上位に入ります。住みたい沿線なら、「東急田園都市線」「東急東横線」「山手線」などが上位に入ります。
特に吉祥寺は、商業施設が充実しているうえ昔ながらの商店街も残っていますし、井の頭公園があって自然も豊かです。JR中央線と京王井の頭線が利用できるので、新宿や東京、渋谷などに出やすく、交通利便性も高いですから、人気があるのも分かります。
でも大きな街なので、住宅地となると駅から少し離れますし、買うのも借りるのも高くなります。手ごろな価格で探すと、駅からバス便ということも。吉祥寺という街を徹底的に使いこなせる人ならいいと思いますが、なんとなくイメージがいいという理由で街選びをすると、住んでからこんなはずではなかったということもあるかもしれません。
東急田園都市線も同様です。計画的に整備された街が多いので、住宅地としての住みやすさは抜群です。ただ、起伏が多い街もありますし、ファミリー層を対象に開発された街なので、向き不向きもあるわけです。価格も高くなりますから、無理して買ったはいいが……ということも避けたいですよね。
住む人と街のマッチングは意外に難しい
筆者は、大島美幸さんが演じる重田姉妹の姉(富子)が素晴らしい、と見ていて思いました。富子さんは、お客様に対してほんわかと接して、自然に希望条件やその理由を引き出していきます。雑司ヶ谷は手塚治虫さんも住んだという並木ハウスがあったり、古民家を改修したカフェがあったり、樹齢700年の樹木がある鬼子母神があったり、イラストレーターとして刺激を受けるスポットがたくさんあるというのも、街を勧めた理由です。
住む人の希望や志向を把握して、東京の街を知り尽くしたうえで、マッチングをする。なかなかできることではありません。こんなプロ中のプロに出会いたいものですね。
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