年に1度では不十分? 歯科検診を受ける意味
「普段しっかり磨いているし、痛いところもないから大丈夫」……? 歯科検診をサボり続けていると、いつの間にか深刻な事態になってしまうことがあります
第5位:歯ぐきの炎症による発赤
歯ぐきの炎症はしっかり磨いていても検診で見つかることが多い。
ブラッシングを数年に渡って完璧に行うことはかなり難易度が高いため、検診のたびに磨き残しの部分のチェックを行うことが大切です。特に歯並びが悪い部分で歯ブラシの入りにくい所などを中心に、プラークが残って炎症を起こしているケースをよく見かけます。
第4位:ブラッシング不足による歯石
プラークの蓄積が長期間にわたると唾液の成分によって石灰化が起こり、プラークが歯石に変わります。歯石が硬くなるとブラッシングでは取り除くことができなくなり、そのうえ歯石の表面にプラークが付着して固まっていくため、雪だるま式に成長していきます。歯石があるとその周囲は常に炎症を起こした出血しやすい赤い歯ぐきになっています。この炎症を放置すれば、歯の周囲の骨が溶けて、さらに歯石が歯の根の奥に入り込んで歯周病が進行します。歯石は磨き残したプラークが固まったものですが、ブラッシングでコントロールできるのがプラークまでとすれば、歯石になった部分はできるだけ早めに取り除くことが重要になります。歯石除去は、歯ぐきの状態をリセットするために役立っているのです。
第3位:噛み合わせが原因の歯のぐらつき
定期検診の項目の中で、自分ではどうすることもできないことのひとつに噛み合わせの調整があります。歯の噛み合わせは、噛む力やアゴの動き、歯の形、生えている場所など、複雑なバランスの中に成り立っています。このバランスは、一生同じ状態であることは稀で、多くの場合、歯の磨耗や、アゴの動きの変化などでバランスが崩れてしまいます。するとどこか1本の歯に負担がかかるようになってその歯がしみたり痛くなったりすることになります。しかも虫歯や歯周病を悪化させる要因のひとつでもあるため、噛み合わせが変化すると歯磨きをしっかりしていたとしても、1本だけ歯周病が悪化することもあります。噛み合わせの調整は、歯の一部をわずかに削ることになりますが、0.1mm以下の調整で、違和感やしみる歯が改善することがあるほど微妙です。そのため、定期検診のたびに少しだけ修正を繰り返すことは、歯の寿命の延伸に役立つことになります。
第2位:歯に物が挟まったままの虫歯
噛み合わせが変化するのと同じように、実は歯も少しずつ移動することがあります。歯を固定する骨の量が減ってしまい、噛み合わせの負担に歯が負けるような状態の時は移動が起こります。そのため、ゆるくなった歯の隙間に食べ物が挟まることもあります。そして噛むたびに押し込まれて、しかも取り除こうとしても簡単には取れなくなることも……。最初は気になっていてもだんだん慣れてしまい、取るのが面倒になり、そのままになっている人は意外に多いのです。挟まった状態を放置したことで、深い虫歯になり、神経を取ったりかぶせ物になったりするケースも多いため、定期検診をスルーしても物が挟まる時はすぐにチェックしてもらうことが大切です。
第1位:維持管理していた歯が寿命に……
最も残念な結果になるのが、定期検診を行なっていれば、もう少し延命できていたはずの歯が、ダメになって抜歯になる状態にまで悪化しているケースです。歯周病や虫歯などがかなり悪化した状態を治療して一度回復した歯でも、定期検診がなければ維持できないケースはたくさんあります。特に抜歯せずにギリギリで残したような歯は、定期検診スルーのダメージを受けやすく、抜歯しかできない状態にまで悪化していることもあります。基本的にそれまで指示されていた定期検診期間が長い人は、自己管理で維持しやすい環境にあるとも考えられるため、1度ぐらい先送りしてもそれほど大きな問題は起こらないと思います。しかし、1~3カ月程度のスパンの定期検診が指示されている場合には、それだけ維持管理の重要性が高くなっていると考えた方がよいでしょう。定期検診を受けないことで、貴重な歯の寿命を早めてしまうリスクが急激に高まってしまうのです。全身の健康状態も左右する歯の健康を守るために、数カ月に1度は検診のための時間を作ることをお薦めします。