宮沢賢治のふるさとを走る「SL銀河」
(JR釜石線、花巻~釜石)(岩手県)震災復興支援の一環として盛岡市内の公園に約40年間静態保存してあった蒸気機関車C58形239号機を復元。旅客車両は、50系客車をディーゼルカーに改造したJR北海道の車両を4両譲り受け、奥山清行氏のデザインで改装した。夜から朝にかけての夜空をイメージしたダークブルーからライトブルーへと移りゆくグラデーション塗装としたところがユニークだ。車内には通常の座席、ソファーのほかプラネタリウムが設置され、他の列車では類を見ないイベントが行われる。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」ゆかりのめがね橋(宮守駅付近)は人気の撮影スポット。道の駅から気楽に撮影や見物ができる。遠野駅では上下列車とも1時間ほど停車するので駅前を散策したり、のんびりした旅が楽しめるほか、快速列車がSL列車を追い抜くので、列車利用の追いかけ撮影も可能だ。
原則として、土曜日が花巻発釜石行、日曜が釜石発花巻行きとなり、2日かけて往復する。難所の仙人峠では蒸気機関車1台だけでの牽引は無理があるので、旅客車両のディーゼルエンジンを駆動させ協調運転をするという秘策を行っているのも興味深い。
首都圏から一番近い「SLパレオエクスプレス」
(秩父鉄道、熊谷~三峰口)(埼玉県)首都圏から一番近くを走るSL列車として人気がある。SL銀河と同じC58形を使用。こちらは363号機で、整備などはJR東日本が担当している。客車は12系(エアコン付き)で車体の塗装がえんじ色に変更されたものの、車内はオリジナルなもので、車内放送に使われる「ハイケンスのセレナーデ」のオルゴールも健在だ。荒川上流の渓谷や秩父の山間部の車窓は、春の桜、秋の紅葉など首都圏に近いことを忘れさせる。列車名のパレオとは、秩父で化石が発掘された恐竜パレオパラドキシアにちなむもので、蒸気機関車は、まさしく現代に蘇った鉄路をばく進する怪獣かもしれない。
SLパレオエクスプレスの公式サイト
架線のないローカル線を走る「SLもおか」
(真岡鐡道、下館~茂木)(茨城県、栃木県)小型の蒸気機関車C12形66号機あるいはC11形325号機が3両の茶色い客車(50系、自動ドア、エアコンなし)を牽引して、のどかな田園地帯を進む。関東のSL列車では、唯一架線の張られていない単線非電化路線を走る。また機関車にヘッドマークの取り付けも行わないので、イベント臭のない蒸気機関車本来の自然な走りを楽しめる。
年に何回か2台のSLを連結して重連運転を行うほか、C11形325号機は、JR東日本に貸し出され、只見線、左沢線、飯山線、石巻線などでのイベント運転の実績がある。
参考記事=ローカル線の魅力満載、「SLもおか」の旅