小麦アレルギーの人も、そうでない人も幸福な場所
Little Saebejae(リトルセビジェ)
2016年5月、浅草駅そばの路地にオープンしたLittle Saebejae(リトルセビジェ)は、扉を開けた瞬間に優しい霧雨のような慈愛に包まれるカフェ。テーブルにつくとまず最初にサービスされる一杯のウェルカムドリンクから、店主である宇賀神さんの心づかいが伝わります。押し付けるのではなく、微笑しつつそっと見守るような大人のおもてなし。
食事プレートも丁寧なおいしさで好評。売り切れじまいです。ウェルカムドリンクはトゥルーシーという薬草茶。
日替わりの食事のプレートも、グルテンフリーで作るスイーツも、独自の工夫を凝らした心身をいたわるおいしさ。食物アレルギーに悩む人やヴィーガンの人々も含めて、リピーターが多いのもうなずけます。
浅草マフィンはグルテンフリー、オイルフリーの傑作
ぜひご紹介したいのが「浅草マフィン」と名付けられた、小麦粉もオイルも使われていないマフィン。もちもちした魅力的な食感は、ベースとなる国産米粉が生み出します。オイルの役割を果たすのは濃厚なココナッツミルク。ごく少量の甜菜糖とヤシ糖、キャロブチップとグリーンレーズンが自然な甘みを楽しませてくれます。なんて豊かな味わい!
「前職で菜食レストランのシェフをつとめた時代に、小麦粉を食べられないスタッフのために何か作ってさしあげたいと思って研究しました」と宇賀神さん。米粉でマフィンを作って好評を博し、リトルセビジェのオープンにあたりさらに改良を重ねてグルテンフリー、オイルフリーの名作が完成しました。
一口サイズのマフィンも登場しており、特にチェリーローズ、アップルティプルーンが人気。日によっては季節のマフィンや、グルテンフリーのガトーショコラやイモ栗フィナンシェなどが登場することも。秋冬にはOYAKIも作られ、この小さなカフェに足繁く通ってくる人々も飽きずに楽しめるのです。
献身的な優しさが伝わる一皿
築70年ほどの建物。壁の古時計の中にも植物が…
宇賀神さんは長年に渡って、飲食業とは異なる分野の世界で大きな仕事を成し遂げてきた方。私にリトルセビジェを教えてくれたのも、その時代に彼女に仕事でお世話になったという人でした。その人の言葉をご紹介しましょう。
「宇賀神さんは影響力が大きく、多数の人が彼女を慕って集まっていました。なにか説明のできない不思議なオーラを感じます。そのオーラとはおそらく『献身的な優しさ』なのではないでしょうか。ご一緒した10年間は、この上なく充実した日々でした。降り注ぐ大雨には、自らの傘を私に差し出して笑顔で先導してくれました。その献身的な優しさが、彼女の手から料理へと伝わり、現在のお店の味が成り立っているんだと感じます」
小さな個人カフェは作る人そのもの。仕事を通して多くの人を育てた宇賀神さんが、今度は自分の楽しみのためにと開いたリトルセビジェですが、味にも接客にもお人柄が滲んでいるようです。
「お客さまはお店を信頼して、食べものを口に入れてくださる。常にそのことを意識しています」と宇賀神さん。今日は心も体もくたびれてしまった……そんな日に浅草界隈を歩いていたら、リトルセビジェに避難してみてください。15時前後がゆっくりできるおすすめの時間帯です。
樹齢150年のせんの木を用いた一枚板のテーブルは、宇賀神さんのご主人の手作り。
MENU
日替わりプレート 1000円浅草マフィン(バナナ&アーモンド300円/ヨモギ&あんこと花豆360円)
マフィンセット(コーヒー or 紅茶付き)750円
日替わりデザート 700円~
トライフル 750円
ザクロジュース100% 600円
コーヒー各種 500円~
※貸し切りプラン:1人3500円で6名様から(アルコールの持ち込み自由)
shop data
Little Saebejae(リトルセビジェ)【住所】東京都台東区花川戸1-8-11
【TEL】03-6802-8998
【OPEN】11:50~19:00
【CLOSE】月
【最寄り駅】浅草駅正面改札口より徒歩3分