なぜ、無理やり独身者に結婚を薦めるのか?
幸せな人は、自分とは違う環境の人を否定しない
たまに、「たばこの喫煙者に対して、一番厳しいことを言う人は、たばこを吸ったことがない人ではなく、頑張って禁煙している人が多い」なんてことを聞きます。
そういう人は、表向きは「たばこは健康に悪いし、お金だって馬鹿にならないし、百害あって一利なしだ」なんて正当化していても、心の奥底で思っていることは、「自分も頑張っているのだから(耐えているのだから)、それをやらないで、美味しそうにたばこを吸っている人はムカつく!」ということもあります(苦笑)。
もちろん本当に健康を取り戻し、禁煙の素晴らしさを実感して薦めている人もいるとは思います。
でも、「薦める」のと、「無理強いする」のは、違います。無理強いするという行為は、やはりそこにあるのは「愛」よりも、「心の闇」なんですよね。
それで言うと、人が独身であることを否定的な人は、自分は今、結婚生活で不満を抱いていて、逆に独身で自由に楽しそうに過ごしている人を見ていると、「結婚もしないで、フラフラしちゃってさ!」「私は自分の時間もなく頑張っているのに、自分のことばかりできるなんて、ズルイ!」といった、イライラした気持ちがあることも少なくないもの。
そうでなければ、他人が独身であることをわざわざ否定もしなければ、結婚を無理強いする必要もないからです。人それぞれに幸せの形は違うし、もし自分は結婚して幸せなら、その幸せは人に押し付けずに、自分で噛みしめていればいいだけのことです。
もしくは、「こうでなくてはいけない」という価値観が凝り固まっている残念な人も、むやみに結婚を薦めがちです。
つまり、どちらにしても、本当の意味で、幸せを理解している人でも、幸せな人でもないことが多いのです。だから、独身者は、そういった心無いアドバイスに心を乱される必要はありません。
ただ、だからと言って、「結婚制度」に否定をしているわけでもありません。人によっては合う制度なので、したい人はした方がいいと思います。結婚をすることで得られる幸せも、もちろんありますしね。
でも、逆に世の中には、「結婚制度そのものに対して、声高々に否定する独身の人」もいます。それはどうしてでしょうか?
結婚制度を否定しなくてはいられないのは、なぜ?
結婚は権利であって、義務ではありません。だから、自分に合わないなら合わないで、しなければいいだけのことです。わざわざ否定をする必要はありません。それでも、どうしても制度そのものを否定したくなる独身者はいます。そういう人は、「結婚していない自分を肯定したい」という気持ちが強く働いていると言えるでしょう。
前述の「むやみに結婚を薦める人」と同様、本当に自分のことを肯定できている人は、自分とは違う環境の人をわざわざ否定するような発言はしません。
否定をすればするほど、その否定しているものに対するコンプレックスが見え隠れすることはよくあることです。
でも、コンプレックスは、自分と向き合って解決するしかありません。仮に人の価値観を変えられ、「独身は素晴らしいんだ」と思われたところで、自分が自分に納得できていなければ、何にもならないからです。
ただ、結婚制度に否定的な発言をする人は、わざわざそういったことをしなくてはいけないくらい、周りから自分が独身であることで、色々と失礼なことを言われてきた人も多いのかもしれません。だから、「反撃」という意味で、否定せずにはいられない、ということもあるでしょう。
また、それを否定しなくては、「結婚をしていない劣等感から、自分を否定してしまう」という恐れを抱いているところもあるのかもしれません。
つまり、最終的には、結婚制度うんぬんという話ではなく、自分自身の問題にぶつかるのです。
ただ、1つ良い点を挙げれば、一昔前のように、結婚していないだけで否定される発言を言われた時代から、今度は、結婚を否定できる発言が普通にできるようになってきたことは、いい意味で「時代が変わった」ということです。
だったら、今後は、生き方の多様化が当たり前だと思われる世の中に、もっとなってほしいものですよね。
では最後に、これだけは伝えておきたいことがあります。
「生涯独身は、不幸なのか?」ということに疑問を持つ人というのは、そもそも「幸せとは何か?」を理解していない人も少なくありません。それを次のページで紹介します。