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共生婚って?共有婚とは違う、食事も一緒にしない夫婦生活

セックスもしない、ほとんど食事も一緒にとらない。夫婦が共同生活をするだけの「共生婚」、通常の結婚という概念からははずれるが、女性たちの間では「理想的」という声もある。実際に「共生婚」をしている女性と、それを理想とする女性に話を聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「共有婚」ならぬ「共生婚」とは

共生婚って?共有婚とは違う、食事も一緒にしない夫婦生活

多様化する夫婦のカタチ。一緒に食事して、定期的にセックスする、だけが結婚生活ではないのかもしれない。

結婚式を自分たちだけのものとするのではなく、準備段階から式そのものまで友人や家族を巻き込んで楽しむ「共有婚」が流行っているという。結婚式もひとつのイベント、みんなでカジュアルに楽しむものになっているのかもしれない。
 

セックスはなし、食事もほとんど一緒にしない夫婦生活

まるでただの同居人? でもその距離感が本人たちは心地よいらしい

まるでただの同居人? でもその距離感が本人たちは心地よいらしい

「うちは共生婚かな」

アサカさん(36歳)はそう言った。共に生きる共生婚、いい言葉ではないかと思ったのだが、話を聞いてみると、これが「共同生活婚」なのだ。

つきあって数ヶ月のスピード婚、以来4年間、同じ家に住んではいるが、性的な関係は一度もない。部屋は別々、家事はそれぞれにやっている。そもそも生活時間帯がすれ違うので、ほとんど食事もともにしない。家にいるときは壁越しに会話を交わすのだという。

だからといって、仲が悪いわけではないと彼女は主張する。夫が彼女に弁当を作ってくれることもあれば、彼女が夫のために夜食を作っておくことも。

年末年始は彼女の実家で一緒に過ごす。夫は親の誕生日や父の日、母の日などには気を遣ってプレゼントを考えてくれる。事情があって「家庭」の温かさを知らない夫にとって、彼女の実家で過ごす年末年始は何より楽しみなのだという。

彼女自身も仕事をもっているから、夫のことを気にせずに仕事をし、友人と会って食事をしたり飲んだりできる今の環境は「幸せ」なのだという。

長い夫婦生活の間にそうなったのならまだわかるのだが、つきあっているときから新婚時代を経て今にいたるまで性的な関係がなく、一緒に食事をとるのは半年に一度くらいという生活で、お互いにどうして普通に生活していけるのだろう。友人たちの間でも「不思議すぎる」と言われている。
 

「共生婚」を理想とする女性も

社会の枠にちゃんと収まりつつ、自分らしさと相手の生活を尊重できる

社会の枠にちゃんと収まりつつ、自分らしさと相手の生活を尊重できるのかもしれない

ただ、こういう結婚に賛同する女性ももちろんいる。

「ただの同居人、共同生活人、いいですよね」

33歳になるエミコさんだ。大学進学時に上京してから、ひとり暮らしも15年になる。ひとりで寂しいと思うときもあるが、一緒に生活する煩わしさを考えると同棲も結婚も踏み切れない。

「結婚という枠にはまるのは社会的にきちんとしているイメージがあるし、親も安心させることができる。夫と仲が悪いわけではなくて、お互いに干渉しあわない生活だったら、今までのひとり暮らしのペースも崩さなくてすむ。ふたりとも自分の仕事や友人を大事にしながら、年に一度くらい一緒に旅行をする。そういう生活なら結婚してもいいなと思います」

性的関係がないことについても彼女は肯定的だ。

「私は子どもがほしいとは思わないし、そもそもセックスがあまり好きじゃないんです。だから相手もセックスが嫌いな人がいい。まるでひとり暮らしのように生活しながら、困ったときには声をかければ壁の向こうに配偶者がいる。それは私にとっては理想的です」

大好きな人と恋愛して結婚というイメージはないらしい。

「むしろ大好きな人と一緒に暮らしたら、よくないところばかり見せ合ってどんどん減点していくしかないですよね。人として信頼できる人であれば、別に恋愛を経て結婚しなくてもいいような気がします」

かといって、お見合いをする気はないらしい。“最初から結婚ありき”で出会うのはイヤなのだそう。友だちだと思っている人と「勢いで」結婚し、お互いに共同生活を送るのがいいようだ。



結婚の目的は人それぞれ。生活のためという人もいるだろうし、子どもがほしいからという人もいるだろう。相手を好きすぎて離れていたくないからという人もいれば、好きなときにセックスしたいからという人だっているかもしれない。

その中のひとつとして、「ひとりでいたくないから」「結婚しているということで自分を一人前だと認識できるから」「結婚しているという事実が自分の人生を落ち着かせるから」などと思う人たちが、どうやら「共生婚」を求めているようだ。

自分の人生は自分のもの。結婚することで配偶者という他人に、自分の時間や労力を奪われたくない。だけど、たったひとりで暮らしていくと気持ちが殺伐としすぎる。だからこそ、気の置けない共同生活を好むのだろう。

細い細い絆で、どこかゆるゆるとつながっている感があり、しかもまったく生々しくもなく、男女の情念など皆無の「共生婚」は、お互いに一歩踏み込まない分、精神的にラクなのだと想像はつく。婚姻届は出したものの、従来の「夫婦」のありようとはまったく違う。だが、誰に理解される必要もない。自分たちが納得していれば、満足していればそれでいいのだ。

もしかしたらこの「共生婚」、今後、増えていく可能性があるのではないだろうか。


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