歯科インプラント

上顎臼歯部はインプラントが出来ないってホント?

食事をする時、人と話すとき、何気なく使っている顎ですが上下の顎で大きな違いがあることをご存知でしょうか? そしてその違いがインプラント治療にもたらす影響とは……?

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

顎の骨の特徴とインプラントの関係は?

顎の骨とインプラントの関係とは?

顎の骨とインプラントの関係とは?

顎の骨には「皮質骨」と呼ばれる表層近くにある密度の高い硬い骨の部分と「海綿骨」と呼ばれる内側の密度の低い柔らかい骨があります。この2種の骨が生み出すバランスがインプラント治療には重要で、どちらかが少なかったりするとインプラントと骨の結合が上手くいかないことがあります。

下の顎と上の顎の骨の違いとは?

上下の顎の骨の大きな違いは骨の密度と硬さです。下の顎の骨は他の骨と接しておらず、歯から伝わる力をそれだけで受け止めなければならない為、上の顎の骨に比べ骨の密度が高く、埋入したインプラントも安定しやすく治療そのものの時間が短くなる傾向にあります。

一方、上の顎は力を頭蓋骨全体で受け止めることができるため、下顎ほどの骨の密度と厚みがありません。さらに奥歯(臼歯部)の上方には「上顎洞」という鼻と繋がっている骨の空洞があります。皆さんも副鼻腔というのは聞いたことが有るのではないでしょうか? 上顎洞はこの副鼻腔の一部なのです。上顎洞は虫歯や歯周病といった歯が原因となって炎症を起こしてしまうことがあります。炎症により膿が溜まってしまうことで周囲の骨を溶かしてしまうこともあり、その場合はさらに骨の厚みや密度が低下してしまいます。

骨密度も低く、厚みも少ない上の顎。しかし埋入したインプラントがしっかりと定着するにはそれ相応の骨のボリュームが必要。では、上顎のインプラント治療はハードルが高くて難しいことなのでしょうか?

上顎臼歯部のインプラント治療は出来ない?

3DCTによる画像判断。事前に骨の厚みなどをしっかりと把握し、適切な骨造成を行うことがインプラントの成功率を高めます。

3DCTによる画像判断。事前に骨の厚みなどをしっかりと把握し、適切な骨造成を行うことがインプラントの成功率を高めます。

いいえ。そのようなことはありません。もともとの骨の厚みが足りなかったり、様々な要因によって骨の密度が低下したとしても、上顎臼歯部のインプラント治療を成功させる可能性があります。顎の骨が足りないなら増やせばいいのです。
  • べニアグラフト……インプラントの為の骨造成・骨移植術のリンク張る方法
  • ソケットリフト……歯科インプラントを固定させる骨造成のリンク張る方法
  • サイナスリフト……歯科インプラントを固定させる骨造成のリンク張る方法
などの骨を増やす骨造成術を利用し、インプラントを受け止める側の土台をしっかりと作ること。それからインプラント手術を行うことで、たとえ2~3ミリしか骨の厚みが無かったとしても無理なくインプラント治療を受けることができるようになります。

抜歯してから時間が経ってしまい骨吸収が進んでしまっている方や、生まれつき骨の厚みが少ない人などにも非常に効果的な治療法です。どうせダメだろうなどと諦めてしまう前に、まずは気軽に相談してみませんか?
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