MINI3ドア/5ドアにもディーゼルエンジンを搭載
MINIシリーズで最初にディーゼルエンジンを設定したのは、2014年9月のマイナーチェンジを機に設定されたMINIクロスオーバー。この5ドアの「大型MINI」以来、MINIクラブマンやベーシックなMINI3ドア/5ドアまで、2016年4月時点でMINIシリーズのうちクリーンディーゼル搭載車は10モデルを数えている。
とくに、ベーシックかつ本流といえるMINI3ドア/5ドアにもクリーンディーゼルが追加されたことは、MINIの販売をさらに加速させるだけでなく、MINIシリーズにおいて、人気のボディバリエーションのシェアにも変動をもたらすかもしれない。ディーゼルが気になるけれど、3ドア/5ドアにはなかったから……と違う選択をした人も呼び寄せるかもしれないからだ。
またBMWグループは、クリーンディーゼルエンジンを最新世代にシフトしていて、MINI3ドア/5ドアには1.5L直列3気筒ディーゼルターボ、もしくは2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボが用意される。
今回試乗したのは、1.5Lの3気筒搭載車であるMINI COOPER D 3 DOORで、300万円という車両本体価格の最もベーシックなモデル。なお、試乗車にはディープブルーメタリックやスポーツシート(レザーラウンジ)、17インチアルミホイール、ナビパッケージやアドバンスドセーフティパッケージなど総額140万8000円ものオプションが装着されていて、440万8000円という高級仕様になっていた。
1.5Lの3気筒ディーゼルでもトルクフルな走りは可能か?
MINIとはいえ、決してミニではないボディサイズ(全長4000×1725×1445 mm)、1280kgという車両重量に対して、1.5Lの3気筒ディーゼルターボでどれくらい走るのかが気になるところ。
最高出力116ps/4000rpm、最大トルク270Nm/1750-2250rpmというスペックで目を惹くのは幅広い回転域で発揮される分厚いトルクだ。結論からいうと、街中から高速道路への合流、山岳路までステージを問わず動力性能に不満を抱くことはほとんどなかった。
もちろん、走行モードによって走りっぷりは変わり、グリーン(エコ)モードだとかなり出力が絞られる印象だが、決して遅いわけではないし、少しアクセルを踏み込むだけで鋭い加速も引き出せる。
MINIらしいゴーカートフィールは健在
MINIらしい地を這い、飛び跳ねるようなフットワークもあって、「スポーツモード」に入れればスポーティムードが俄然高まり、とくにワインディングではディーゼルエンジンであることを忘れさせてくれる走りを披露してくれる。
3気筒ということもあってディーゼルらしい高めの音・振動面ではあるものの、走り出してしまえばあまり気にならないし、MINIらしく跳ねるようにしてコーナーを駆け抜けていくキャラにも良く合っている印象だ。
音・振動面だけでなく、当然ながらパワーやトルク面でも2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボには及ばない1.5Lの直列3気筒ターボだが、ディーゼルエンジンの割にフロントノーズの軽さも印象的で、MINIのゴーカートフィールは損なわれていないのもファンにはうれしいところだろう。
燃費だけで元を取るのは難しいだろうが……
フロントシートはサイズも大きく、MINIといってもパーソナルユースなら広さに不満は出ないだろう。また、小さな子どもがいるファミリーには最低でも5ドア、できればクラブマンあたりの居住性、積載性は欲しいところ。ただし、クラブマンになるともはやCセグメントになってしまう
なお、燃費はカタログ値が23.9km/Lとなっているが、実燃費は街中、高速道路、ワインディングなどで当然ながらシーンによって異なるものの、メーターの数値は15km/Lから18km/Lくらいを指すことが多かった。
ガソリン仕様とディーゼル仕様のどちらを選ぶかは悩ましいところだ。MINI3ドアのクーパー(ガソリン仕様)はATで280万円(MTは266万円)。ディーゼルターボのMINI3ドア クーパーは300万円(AT)と20万円の差があり、ハイオクと軽油の差がリッター25円程度あるとはいえ、ランニングコストだけでは元は取るのは困難だろう。
しかし、ディーゼルらしいトルクフルな走り、しかもMINIらしい軽快感は十分に堪能できるから20万円のエキストラフィーを払っても指名する価値はあると感じさせてくれたのも報告しておきたい。