教育資金を用意するための家計のバランスは?

教育費を借りることに

教育費を借りることに

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、3人のお子さんの教育資金が心配な40代の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
Micさん(仮名)
女性/会社員/42歳
賃貸住宅

■家族構成
夫(45歳/会社員)、子ども3人(浪人中、高校2年、4歳/保育園)

■相談内容
5年前の再婚時、事情があって貯蓄がほぼゼロになり、マイホームはあきらめました。老後の資金も心配ですが、今しかできないこと(実家への帰省)などがまったくできないのも寂しいです。今後はボーナスは貯蓄に回せる予定ですが、旅行などにも使いたい気持ちです。上の2人は芸術系、看護系(それぞれ学費700万円ほど)に進む予定なので、足りない分は奨学金を借りて、本人と折半して返していこうと思います。教育費が相応でないのはわかりますが、出来る限り希望に応えてあげたいと思っています。老後資金は、上の2人が社会人になってからいくらか貯められるし、老後の生活は、最低限住むところと食べるものさえあれば、収入相応の生活が出来れば十分と思っています。今使うお金と老後の為に貯めるお金のバランスに悩んでいます。今は賃貸に5人で生活していますが、実家(都内)に借地の一戸建があり、退職後はそちらに住むことができます。

■家計収支データ
Micさんの家計収支データ

Micさんの家計収支データ




■家計収支データ補足
(1)加入保険の内訳
・夫/終身保険(60歳払い済み、死亡保障500万円)=保険料1万6000円
・夫/医療保険(終身保障65歳払込終了、入院5000円)=保険料3000円
・妻/終身保険(60歳払い済み、死亡保障500万円)=保険料1万4000円
・妻/医療保険(終身保障65歳払込終了、入院5000円)=保険料2000円
・中間子/学資保険(18歳満期、満期金200万円)=保険料1万円
・末っ子/学資保険(18歳満期、満期金200万円)=保険料1万円

(2)教育費16万5000円の内訳
上の子・予備校/4万円、中間子・高校授業料/4万5000円、末っ子・保育園/1万5000円、末っ子・スポーツ/6万5000円(遠征費・交通費含む月割)

(3)ボーナスの使いみち
直近では帰省費用と冷蔵庫購入で貯蓄ゼロ。今後は全額貯蓄に回す予定。

(4)夫婦の定年と再雇用
夫、妻とも定年65歳。再雇用制度は夫はあり、妻はなし。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 奨学金は想定より増える可能性あり
アドバイス2 今しかできなこと=子どもの希望、ではない
アドバイス3 貯蓄最優先の家計に切り替える
 

アドバイス1 奨学金は想定より増える可能性あり

相談を拝見しました。結論から言えば、今後のマネープランについてはかなり大変だと言わざるを得ません。

最大のネックは言うまでもなく教育資金です。上の子が来年、真ん中の方が2年後に進学するとします。かかる教育資金が700万円ずつで計1400万円。用意できるのは、上のお子さん2人分の学資保険の満期金370万円。現在、貯蓄は230万円ありますが、すでに奨学金120万円を借り入れていますから、それを差し引いた残り110万円と考えるべき。

また、貯蓄ペースは実質月2万円(月4万円の貯蓄ペースのうち、半分は学資保険の保険料と推測できるので)とすると、ボーナスから年間30万円貯められたとして計48万円。実際、一度に1400万円かかるわけではありませんが、今後の貯蓄をすべて2人のお子さんの教育資金に回すわけにはいきません。お2人の教育費にリスクなく回せる額は多くて計100万円程度。結果的に少なくとも450万円ずつ、奨学金を借りなくてはなりません。

ただ、先の教育費だけで今後済むとも思えません。2人とも自宅通学としても、授業料以外にも学校経費、学校外経費はかかるはず。その場合、自分たちの小遣いも含め、それをアルバイトで捻出できるだけの時間的余裕があるかどうか。アルバイト優先で授業に出られなくなってしまっては、それこそ本末転倒です。

また、不足分をそのつど親が負担するとなると、それなりの家計支出となります。末っ子の方の教育資金づくりにも影響しかねません。そう考えると、念のため、奨学金をもう少し多く借りる必要があることも、想定しておく必要があるでしょう。
 

アドバイス2 今しかできなこと=子どもの希望、ではない

5年前に再婚されたということですから、上のお子さん2人には何かしらの辛い思いをさせたかもしれません。その意味でも「教育費は分相応だ」ということはわかっていても、親として出来る限りのことをしてやりたい。Micさんがそう思う気持ちは十分理解できます。

ただ、その結果、親子で奨学金を背負うわけですが、その返済にはそれなりの覚悟が必要だということは知っておいてください。とくに、お子さんは入学前ですから、不安より希望の方が大きいはず。軽い気持ちで返済を考えないよう、事前によく話し合うことが大切です。

そこで考えるべきことが2つあります。まず、奨学金の返済をどう負担し合うかということ。「親子で折半」とありますが、それが半々ということであるなら、仮に多めに1人500万円を借りたとして、親が2人分で500万円、お子さんがそれぞれ250万円ずつとなります。

この金額は、お子さんには負担が大き過ぎます。一概にいくらが妥当とは言えませんが、少なくとも真ん中の子の負担額は100万円程度には抑えたいところです。

もうひとつは、相談文に「今しかできないこと」として、家族の旅行や帰省などがないのも寂しいとあります。当然の思いですが、今「お子さんの希望」と「今しかできないこと」の両方を実現させることは、コスト面できわめて難しい状況です。前者を優先させるのなら、後者は少なくとも上のお子さんが卒業するまで、あと5~6年は我慢する。そのくらいの気持ちが必要でしょう。

あまり、無理をしてストレスをためてもいけませんが、新たにお金をかけずに家族でどう楽しめるのか。そこを絶えず創意工夫し、乗り切っていくことが最善策だと思います。
 

アドバイス3 貯蓄最優先の家計に切り替える

具体的な資金づくりはどうしていくべきか。少なくとも、上のお子さん2人の教育資金は、奨学金の利用で目処が付いたとします。と同時に、親子で新たに1000万円(奨学金を500万円ずつ借りたとして)の借金を背負ったことになりますから、今後もし収入アップが望めないなら、その返済のためには貯蓄最優先の家計にしなくてはいけません。

今からできる見直しとして、保険があります。現在加入されている商品が無意味とは言いませんが、保険料コストはできる限り抑えること必要です。

まず、ご夫婦の終身保険は払済保険にして下さい。新規で、夫の死亡保障1500万~2000万円、妻は1000万円。10年定期の定期保険か、同程度の保障の収入保障保険で確保します。夫婦合計で保険料は月8000円程度ですから、少なくとも2万円、保険料コストが下がります。学資保険ももうすぐ終りますから、保険料から4万円は貯蓄できる計算になります。

結果、月4万円にボーナスから30万円貯蓄をして年間78万円。これは最低確保したいペースです。

2年後、末っ子が小学校に入学すると、毎月の教育費はかなり軽減されます。現在16万5000円ですが、仮に習い事の新体操を続けているとして、かかる教育費はその費用+小学校の費用だけですから、学童のコストを加えても8万円程度には収まるはず。つまり、単純に今より月8万5000円、貯蓄が上乗せできます。家計に余裕が生まれると、つい気も緩みがちになりますが、児童手当同様、これは無条件に貯蓄していかなくてはなりません。

そうなると、年間貯蓄額は180万円程度にはなります。ご主人が59歳のときに下の子は大学入学となりますので、この時点で、上のお子さん2人の教育費以外、貯蓄を一切引き出せなければ合計2400万円ほど貯まっているはずです。

一番下の子が私立文系の大学に進学として、大学にかかる費用は400万円。残り2000万円のうち1000万円を奨学金返済(すでに借りている120万円も含む)のため差し引けば、残り1000万円。ご主人が60歳以降、夫婦でどれだけこれに上積みできるか。それが夫婦の老後資金であり、住宅資金となります。

自宅について言えば、ご実家に借家にしている一戸建てがあるとのこと。おそらくリフォームが必要となりますが、すでに建物はある(取得コストがない)ので、予算に合わせてできるのが強みです。

老後資金は、自分たちの年金収入と老後の生活費を比較して、どれだけ不足しているかで割り出すわけですが、そこはまだ考えなくてもいいでしょう。それよりも、夫婦とも少なくとも65歳まで、元気で意欲があればさらに長く働くこと。このクリニックでよく言うのですが、働くこと=収入を得ることが最善の老後対策です。そのためにも、健康に気を配り、元気で明るく過ごすことが大切なのです。
 

相談者「Mic」さんから寄せられたご感想を紹介

上の2人の学費は授業料だけを考えてどうにかなるかな?と思っていたのですが、諸費用が結構かかることは気づきませんでした。とにかく、子供の奨学金を60歳までに片付けてそれから老後の資金の上乗せ分を頑張って作っていけば良いと言うことなので、だいたいの目安が出来ました。もともと節約魔なので気を抜かずに頑張っていこうと思います。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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