夏ドラマのトップ『家売るオンナ』
公式サイト http://www.ntv.co.jp/ieuru/
北川景子演じるヒロイン・三軒家万智が「わたしに売れない家はない」「家を売るのが仕事ですから」とクールにいいつつも、売り手・買い手それぞれの問題を解決していくところが共感を呼びます。
不動産屋をテーマにしたドラマはほとんどない
生活の基本、衣食住の中でも住、家は最も金のかかるものです。衣服や食べ物がテーマのドラマは多くあります。しかし住については、ホームドラマは多くても、家そのものを中心にしたドラマはあまりありません。さらに不動産屋を主人公に不動産をテーマにしたドラマというのは過去、ほとんどありません。考えてようやく思い出したのは日本テレビ系2007年の2時間ドラマ『マイ☆スィートホーム~夢野大吉・夢を売ります~』。石塚英彦演じる主人公は、一戸建てを購入したものの妻をシックハウス症候群で亡くしたため、安心できる住宅を提供しようと住宅販売会社に転職。住みたい家と予算のギャップに悩むお客に、さまざまなアドバイスを与えながら奮闘するというもの。
ほとんどない理由はおそらく不動産業者のイメージが悪いからでしょう。戦後の住宅事情の悪い時に騙すようにした業者が多く、さらにバブル期の「地上げ屋」で輪をかけてしまいました。だからドラマに登場する場合でも悪徳業者が多く、一番多いのは2時間サスペンスでの被害者じゃないでしょうか。
地道に不動産ドラマをつくってきた日本テレビ
そんな中『家売るオンナ』を放送している日本テレビは『夢野大吉』もそうだし、連ドラでも不動産テーマをつくり続けています。1993年の『引っ越せますか』は恵比寿の古くて狭い家を売り金沢八景の6LDKに転居しようとするが転売も難しい不良物件をつかまされ、そのゴタゴタで家族がバラバラになってしまうというストーリー。それから2002年の『東京庭付き一戸建て』。父親(原田芳雄)が嫁に出た次女(松本明子)を含め5人姉妹と同居するため、港区白金の庭付き3階建て一戸建てを買って一緒に暮らそうとするが、そこがひどい欠陥住宅で……と苦闘するドラマ。
ただどちらもあまりヒットしませんでした。特に『引っ越せますか』は制作がトラブって、脚本家と主演の大地康雄のふたりが途中降板。お父さんは途中で行方不明になり最終回でなんとか再登場しています。
(余談ですが『引っ越せますか』の長女役は若手時代の鈴木京香。朝ドラヒロインだった『君の名は』も視聴率不振で脚本家が休養するデキでした。こんな問題の多いドラマ二本に若い頃に関わって、それでも売れた鈴木京香ってすごい。)