3年に1度の国内最大級の国際芸術祭が開幕!
3年に1度の芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」が開幕しました。8月11日(木・祝)~10月23日(日)のおよそ2カ月半にわたり、名古屋を中心とした愛知県内で多彩なアートの祭典がくり広げられます。第3回となる「あいちトリエンナーレ2016」にはいくつかの大きな特徴があります。
(1) 名古屋市・岡崎市・豊橋市が主会場
県内の3つの都市が主な開催エリアで、非常に広域で展開されます。電車移動の場合、名古屋から岡崎は約30分、豊橋へは約50分(新幹線は約20分)。岡崎から豊橋は約20分となります。3都市を巡る場合はいずれかの街で一泊するのがよいでしょう。
(2) テーマは“旅”
「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」が今回のテーマ。キャラヴァンサライとは隊商宿のことで、これを提唱する芸術監督は写真家・文化人類学者の港千尋氏。世界中を旅した経験を活かし、日本ではまだあまり紹介されていない中南米、中近東、アジアの作品も数々出品されます。あいちトリエンナーレは、毎回テーマが作品とそのラインナップにしっかりと反映されていることも特徴で、作品鑑賞を通して異文化を体感することができます。
(3) ジャンルが多彩
絵画、彫刻からパフォーミング・アーツまでジャンルがとにかく多彩。オペラをプロデュースする芸術祭は他に例がなく、映像プログラムもちょっとした映画祭に匹敵する25プラグラムが組まれています。
(4) 映像プログラムは会期前半、パフォーミングアーツは後半に集中
映像プログラムは会期前半の8月19日~9月11日に集中的に開催。愛知芸術文化センター内アートスペースAがミニシアターとなり、短編から長編まで25組の映像作家の作品が公開されます。各作品は普通チケットまたはフリーパスがあれば鑑賞でき、別料金は必要ありません。
パフォーミングアーツはレインボーウィークスと名付けられた10月6日~23日を中心に開催。ダンス、音楽、サーカスなどの舞台芸術作品が上演されます。
【名古屋】 ~ テーマが明確に伝わる芸文センター
参加型プロジェクトも多彩
名古屋は栄を中心に、中心市街地に会場が集中しています。メインとなるのは愛知芸術文化センター。10・8階の愛知県美術館の2フロアに多数の作品が展示されます。10階の会場入口では、今回のトリエンナーレのメインアイコンとなっているジェリー・グレッツィンガーの「Jerry´s Map」が真っ先に目に飛び込んできます。ひとつの展示室を丸ごと使ったスケールの大きな作品が多く、また旅を想起させる作品も多く、今回のトリエンナーレのテーマが強く印象づけられる構成となっています。
今回のトリエンナーレのメインアイコンとなっているジェリー・グレッツィンガーの作品はカラフルな架空の地図。ジェリーさんはもともとアーティストではなく、地図は趣味の落書きとして描き続けられたのだとか(!)(愛知県美術館10階)
アトリエを再現したマーク・マンダースの展示。彫刻は粘土にしか見えないが何と金属 (愛知県美術館10階)
名古屋市美術館で注目はネットプロジェクト。施設入口に広げられたネットに色とりどりのひもを結びつけ、みんなでひとつの作品を作っていきます。岡崎、豊橋でも展開し、会期の最後の一週間は3地区の作品が愛知芸術文化センターに結集します。
美術館だけでなく、街のいたるところに会場が点在するのも特徴。名古屋市内では栄地区や名古屋駅、繊維問屋街の長者町界隈が会場になっています。ビル内を展示空間にしたインスタレーションが中心で、日常と非日常の境目があいまいになる不思議な感覚を味わえます。
街中では歴史あるビルのフロアを展示空間にしたインスタレーションの数々を観られる。古いビルの空間と、鮮やかなマーブルペインティングのコントラストが幻想的なケルスティン・ブレチュの展示(栄会場 旧明治屋栄ビル1階)
参加型では「なるへそ新聞プロジェクト」が面白そう。中央広小路ビルを編集室として毎週水・日曜に終日編集会議を開催し、飛び込み参加もOK。自ら記者となって紙面作りができる。新聞は週1回以上発行し、同ビルで配布。写真は“編集長”を務めるアーティストの山田亘さん (栄会場 中央広小路ビル 2階)
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