住宅としての強さと、開放的な空間づくりを両立
『ビッグフレーム(BF)構法』は、高層ビル建築に用いられる“ラーメン構造”を木造住宅で実現した構法。日本初の“木質梁勝ちラーメン構造”は、住友林業オリジナルの技術がふんだんに活かされています。“ラーメン”はドイツ語で“骨組み”を意味する言葉。“ラーメン構造”とは、柱と梁を強固に接合し建物を支える堅牢な構造です。
住友林業 住宅事業本部 技術商品開発部 次長 今井淳一さん
各階ごとに柱の位置を決められる“梁勝ち”構造は、間取りの自由度が高いだけでなく、将来のリフォームや間取り変更にも対応しやすいという利点があります。
独自開発の柱と接合部で、優れた耐震性を実現
『BF構法』では、一般的な柱の5倍以上の幅(560mm)をもつ『ビッグコラム』という独自に開発した柱を採用しています。「『ビッグコラム』1本は、枠組壁工法の構造用合板耐力壁の約3.7枚分と同等の耐力をもっています。簡単に言うと、合板3.7枚分の強さをビッグコラム1本で実現できるということです。その分、広い開口部や開放的な間取りを実現できます」。
設計上の制約が少ない分、庭に大きく開いた窓や間仕切り壁のない大空間など、開放的なプランを実現できるのも『BF構法』の特長です
また、『ビッグコラム』は幅広の偏平な形をしています。そのため、住宅の壁の厚さの内側に納めることができ、太い柱が室内に張り出すようなことがありませんので、壁が不自然に出っ張り、見た目が美しくない、家具が置きにくいなどの不便さを我慢しなくていいのです。
そして『BF構法』の高い耐震性を実現するもう一つの鍵が、柱と梁と基礎を一体化する『メタルタッチ接合』です。「木造でラーメン構造を実現するには、接合部分に高い剛性(かたさ)と耐力(つよさ)が必要です。当社は、そのためにオリジナルのジョイント構造を開発しました」。
『BF構法』の高い耐震性を実現する『メタルタッチ接合』
『メタルタッチ接合』では、ねじ形状の特殊な大径ボルトを集成材の接合部に埋設。ビッグコラム、梁、基礎を接合金物でこれに緊結し、相互を強固に一体化します。地震や強風などの外力が伝わる接合部は、すべて『メタルタッチ接合』とすることで、高い構造性能を実現しました。
これらは、一棟ごとに専用のCADシステムで設計・構造計算を行い、工場で製造・管理した部材を現場施工しているので、精度面でも高い信頼性を確保しました。
このように強い構造をもつ『BF構法の家』は、実際に3階建ての実大モデルで耐震性能を実証済みです。震度7クラスを22回、震度6弱~4を224回、計246回の振動実験にも耐え抜き、構造躯体に損傷はありませんでした。巨大地震だけでなく、度重なる揺れにも強いことが明らかになったのです。
耐震性を重視するために間取りの自由度をあきらめることなく、強さと快適さを両立した住友林業の『BF構法』。住宅構法として、初のグッドデザイン賞も受賞しています。
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