想いが強すぎて「妊活クライシス」に
まずは、「夫婦であること」「家族であること」と真正面から向き合い、「妊活クライシス」を乗り越えようとする夫婦のやりとりを集めた動画「少しずつ、もっと、家族になろう。」をご覧ください。「避妊をしなければすぐにできるものだと思っていました」
赤ちゃんを望む夫婦の多くが口にする言葉です。でも、この場合の「すぐ」ってどれくらいの期間のことなのでしょうか。日本では一般的に、自然な受胎を継続的に試みて2年以上妊娠の兆しがない場合に「不妊」とされます。海外では、WHOの示す「1年以上」という定義が一般的です。いずれにしても、3~4カ月で「不妊かも!?」なんて焦る必要はありません。
「なんでできないの? もしかして不妊!? 自分に問題があるの? 相手に問題があるの?」などと焦ってしまうと、夫婦間に緊張が生じ、関係性が悪化してしまうことがあります。
真剣に悩む妻(夫)から楽観的な夫(妻)を見ると、当事者意識がないように見えます。逆に、楽観的な夫(妻)から見ると、真剣に悩む妻(夫)が思い詰めすぎのように見えます。夫婦の気持ちに温度差ができてしまうということです。
セックスが「義務」のように感じられることもあります。特に排卵日に合わせたセックスのチャンスを逃すと、大きな失望を感じるようになります。排卵日が近づくと夫婦間の緊張が高まり、ぎこちなくなってしまうという夫婦もいます。
「赤ちゃんがほしい」と強く願うばかりに、ますます相手を責め、自分を責め、夫婦の不信感が募ります。いわば「妊活クライシス」です。
そうなると、ますます妊娠しにくくなる条件がそろっていく「負のスパイラル」に陥ります。ストレスが、男女双方の生殖能力を下げる原因になることがわかっているのです。
男性が思う以上に女性の不安は強い
「赤ちゃんがほしい」と強く願うばかりに、ますます相手を責め、自分を責め、夫婦の不信感が……
小さなころから「いつかはお母さんになる」と信じて疑っていない女性は多いもの。男性が思う以上に女性の「母親になりたい」願望は強く、それが実現できないかもしれないという不安は大きいのです。まるで女性としての自分の存在が揺らいでいるように感じることすらあるといいます。
男性にはなかなか理解しきれないことかもしれませんが、少なくともパートナーの女性が感じている不安やつらさを理解しようとする姿勢を見せることが大切です。ただし張り切りすぎると、ボタンのかけ違いが起こることもあります。女性が不安を吐露したとき、彼女たちが求めているのは論理的なアドバイスではなく共感です。すぐに具体的な解決策を提案するのではなく、まずは最後まで話を聞くことを心がけましょう。
また、「早く赤ちゃんがほしいな」と焦りそうになるときこそ、「将来どんな夫婦でいたいのか」「夫婦が幸せでいるために大切なことは何なのか」なんて、ずっと先のことも話し合ってみてはいかがでしょうか。
「たくさん海外旅行に行きたいね」とか「老後は田舎でゆっくり暮らしたいね」など、願いはたくさんあるでしょう。いろいろな夫婦の形があります。
でも、一番「有り難い」と感じるのは、仮に健康も財産も社会的信用もすべてを失ったとしても、この人だけはいつもそばにいてくれると感じられることではないでしょうか。地球上の人類70億人以上の中から、そんなパートナーに出会えた奇跡に感謝しなければいけません。奇跡の相手への尊敬の念を忘れてはいけません。面倒くさいことも多いけれど、やっぱり夫婦っていいものですね。
2人でそんなことを語り合うだけでも、気持ちがリラックスしてほっこりしてくるはずです。
焦らず、少しずつ、家族になっていけばいい
悩み、真剣に向き合い、励まし合うことで強固になった絆は、夫婦にとってかけがえのない財産に
もしかしたら、子供のいない人生を歩むことになるかもしれません。それでも2人で悩み、真剣に向き合い、励まし合うことで強固になった絆は、夫婦にとってかけがえのない財産になることでしょう。
逆に、結婚してすぐに赤ちゃんを授かり、親になってからさまざまなすれ違いや葛藤を経験し、それを乗り越えることで、ようやく本当に夫婦らしくなっていく夫婦もいます。
どれも素敵な家族の形だと思います。
結婚しただけでは実はまだ「仮免許」の夫婦です。次から次へと現れる困難は、「仮免許」を「本免許」にするための課題です。ときには喧嘩もしながら、困難を1つずつ乗り越えていくことで、どんなときでも尊敬と感謝の念を忘れない本当の夫婦へと進化していくのです。
焦らず、少しずつ、家族になっていけばいいのです。