人はなぜリスクを冒して不倫をするのか
人はなぜ危険を冒して不倫をするのか
夫婦の共同生活の平和を脅かす不倫は、昔だったら姦通罪で死刑。今でもイスラムの国々では死刑を言い渡すところもあります。
法的に罰せられ、慰謝料も派生し、社会的地位も周囲の信頼も失ってしまうのに、なぜ人は禁断の関係を求めてしまうのでしょか?
今回は「不倫の理由」とセックスについて考えてみたいと思います。
男性側の不倫のきっかけ
一般的には、女性より男性の方が不倫に走る傾向があるといわれています。「男性の狩猟本能」だとか「よりよい子孫を残そうとするDNAの仕業」だとか、いろいろな理由がつけられてはいますが、その中身は「性的な刺激を求めて不倫をする」ということに尽きるのではないでしょうか。夫婦生活がマンネリ化したから刺激を求める、妻とは違うタイプの女性に性的欲求を覚える、とにかく若い女性を見ると声をかけずにはいられない、妻に夜の夫婦生活を拒否され続けて欲求不満……など、様々な性的な欲求が、ベースになります。
ここで注目したいのは、現状への不満が何もなくても、他に刺激を求めることがある点です。
この性的欲求が
「妻と喧嘩をしてむしゃくしゃしていた」
「仕事の失敗を同期の女性が慰めてくれた」
「かわいいと思っていた部下と二人っきりで飲みに行くことになった」
など、その時の感情やシチュエーションと重なり、これらが掛け算された時“不倫のどこでもドア”がドラえもんのどこでもドアのように目の前に出現してきます。
男性の方が不倫に走る傾向が強いといわれているのは、男性の方が仕事などで移動も多く、立ち入る環境、出会う相手がさまざまであること。また、育児などに縛られずに自由な時間を持てる機会が多いため、この“不倫のどこでもドア”が出現するタイミングが「日中は家にいる」「子育てで自由な時間がない」ような女性より多いからなのでしょう。
女性側の不倫のきっかけ
さて、一方では女性側の不倫の理由は何でしょうか。2014年の大ヒット不倫ドラマといえば、フジテレビの『昼顔~平日午後3時の恋人たち』。当時、画面から滴り落ちそうな色気を放っていた斎藤工が大ブレイクしたドラマとしてご記憶の方も多いでしょう。2016年の春クールの不倫ドラマは、テレビ朝日の『不機嫌な果実』。『昼顔』の不器用な二人の初々しいベッドシーンと違い、こちらは美男美女が惜しげもなく絡み合うベッドシーンでした。
全くカラーの違う不倫ドラマですが、この2作に共通しているのは主人公の女性が夫とセックスレスであったという設定です。
その理由はなぜでしょうか。
ドラマの制作側としては、不倫を容認しているように見られないため、できるだけ主人公が不倫に陥る理由を必然性のあるものにし、「それなら仕方がないなぁ」と一般の視聴者が納得できるものにしておいた方が安全である、と考えたのかもしれません。
あるいは、製作の現場では圧倒的に男性が多いと思いますので、男性側の視点からすると「セックスで満たされていないから女性が浮気をするのだろう(=セックスレスでなければ浮気はしないだろう)」と思われているのかもしれません。
しかし、セックスレスな妻のみが不倫をするのでしょうか?
セックスレスだけが妻の不倫の理由?
実は「セックスレス=不倫に走る」なんていう、単純な図式はありません。私の長年におよぶ夫婦関係のカウンセリング経験から言えば、答えは「NO」。セックスレスな妻だけが不倫するわけではないのです。もちろん、夫婦間のセックスレス、つまり「夫が誘ってくれなくなった」「こちらから誘っても拒否される」ということを言い訳に不倫に走る。これがないとは申しません。満たされない性欲を浮気を通して満たすという例も、あります。
しかし、私のところに寄せられる夫婦関係の相談事例では「セックスレスだからほかの人とセックスした」と同じくらい「セックスレスではないけれど他の人とセックスした」という案件が寄せられるのです。
たとえば、夫の不倫を知ったから“リベンジ不倫”というのもあります。離婚する気はないけれど、悔しいからフィフティフィフティになりたい。夫に自分と同じ嫉妬の気持ちを味わってほしい、と思うたくましい妻達もいます。
そして男性と同じく、夫に異性の魅力を感じなくなったからよその男性に目がいくというパターンもあります。夫はただの給料を稼ぐ同居人。生活のためには一緒にいるけど、自分の胸がときめくのは不倫相手、という20代の妻。
夫の冷たい態度が妻を浮気に追いやるパターンもあります。夫を変わらずに愛しているのに、子供ができてからは、自分を女性として認めてくれなくなった。ハグをしても避けられて、すごく寂しい。自分を女として認めてくれる会社の上司と飲みに行って、そんなつもりはなかったのになんとなくセックスをしてしまったという30代の妻。
さらには、性にどん欲な妻の例もあります。夫婦のセックスはあるが、いつも同じパターン。ほとんど前戯なしで夫が勝手に射精して終わりで、気持ちよくもうれしくもない。自分はセックスが大好きで、いろいろなプレイやグッズも試してみたいのに、夫はとりあってくれない。そこで自分の欲望を夫以外で実現する、というセックス穴埋め不倫の40代の妻も出てきています。
女性でも出会う機会が増えた「不倫のどこでもドア」
女性の性欲は男性たちが思っている以上に開放されつつあります。現実は、セックスレスでない妻たちも浮気をしているのです。「夫ともうまくやる、でも性的には刺激が欲しい」
「夫とは恋ができない、外の彼とは恋ができる」
「家庭は壊さない、ストレスを発散しているだけ」
「夫のセックスがあまりに稚拙だから、他で悦びを追求したい」
女性の恋愛感情と性欲はさまざまです。
最近は仕事をしている女性も増え、活動範囲・交友範囲も広がり、女性が自由になるお金も時間も増えています。そしてネット、SNSの普及。無限の“不倫どこでもドア”が出現するのは男性と変わりません。
相模ゴムの調査では不倫相手がいる女性は20代、30代が17%台。40台は19%台です。子供の手が離れ、自由になる時間ができた頃に増加します。そしてその時期は女性の性的欲求がグイと上昇する時期とも重なります。
この時期に夫とのセックスがマンネリだったり。「妻だけED」で「お前とは無理」と言われてしまえば、外に目を向ける妻が出てきても不思議はありません。
突然、誰にでも「不倫のどこでもドア」が現れる可能性が
女性は魔性の部分を秘めていますので、難しいことを考えずに急に目覚めて、“不倫のどこでもドア”をあけてしまう場合も多々あります。決して見かけが派手で社交的な方だけが不倫をするわけではなく、普通の、ごく地味で控えめな妻だって不倫をします。今までにも、様々な相談の中で「えーー!あの人が?」というような場面に何度も出くわしてきました。
「不倫しない」と固い意志があっても、意外に簡単に覆されることもあります。子供を作る時以外セックスをしなかった“乙女な妻”が2年で人が変わったように不倫相手の性の奴隷になった例もあるのです。
そこに恋愛感情があったかどうか、それとも彼女の中にあった「性欲」のスイッチがどこかで押されてしまったのか、それは彼女のみ知る事実でしょう。
不倫、浮気は罪深く、そして奥が深いです。
「うちはセックスレスじゃないから大丈夫」と思っているだんな様。それは「知らぬが仏」なのかもしれません。
最後に、夫と性関係は順調だけれど長年不倫をしている妻と私の問答をお伝えします。世にも恐ろしいやりとりです。
……ああ、恐ろしい。背筋が凍りついた男性がた、「うちの妻にかぎって」は死語です。私「日中、不倫相手とセックスをいたして、同日の夜に旦那さんともいたすわけでしょう。バレない? 数時間しかあいてないけれど」
妻A(40代)「お風呂にゆっくりはいって、中まできれいに洗います。むしろ、当日のほうが私の身体がこなれていて反応もいいので夫は喜びます」