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もしかしたら、うちの親って「毒親」?

「毒親」という言葉がよく知られるようになりましたが、具体的にはどんな親なのでしょうか。その原点となった書籍に触れつつ、筆者の事例をお伝えし、毒親を考えるきっかけを伝えます。

執筆者:藤嶋 ひじり

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「毒になる親」とは?

おっぱいを飲む赤ちゃん

母と娘の関係は密着していただけに距離感が難しい


この数年、「毒親」という言葉を耳にすることが増えました。筆者のブログにも、「毒親」のキーワードでたくさんの来訪があります。これまでは、ダメな親といえば「虐待」「ネグレクト(育児放棄)」というイメージで、少々の体罰や、モラルハラスメントは、「躾」の領域として見過ごされ、被害者である子どもが親を批判してはいけない風潮だったように思います。

「うちの親、ちょっとおかしい?」と気づき、それを「毒親」という言葉を使って話せるようになってきたことは、毒親育ちの子どもにとって、大きな進歩です。


 

「毒親」という言葉に定義はありません。この言葉をこの世に広めるきっかけとなった『毒になる親/スーザン・フォワード著 講談社出版』には、「毒になる親」かどうかを判断するヒントとして、次のようなことが挙げられています。

*あなたが子供だった時

□あなたの親は、あなたの人間としての価値を否定するようなことを言ったり、ひどい言葉であなたを侮辱したり、ののしったりしたか。あなたを終始批判してばかりいたか。
□あなたは親に対して腹を立ててもかまわなかったか。それとも、親に対してそういう感情を表現することは怖くてできなかったか。
(そのほか全8項目)

*大人としての現在のあなたは

□異性関係を含み、いつも人との関係がこじれたり、いつも相手を踏みにじったり、踏みにじられたりして争いになるか。
□自分はどんな人間か、自分はどう感じているか、何をしたいのか、といったことを考えるのは難しいか。
(ほか全10項目)

*現在のあなたと親との関係

□あなたが人生において決定することの多くは、親がそれをどう思うだろうかということが基本になっているか。
□親と離れて暮らしている場合、あなたはこれから親と会うことになっているという時や、親と一緒に時間を過ごした後で、精神的、肉体的にはなはだしい反応が出るか。
□あなたの親は、あなたを威圧したり、罪悪感を感じさせたりして、あなたを自分の思い通りに行動させようとするか。
(ほか全9項目)


親子関係を客観的に見直す

母と娘

どんな母でも、子どもは母が好き。でも母はすべての子どもを愛せるとは限らないのが現実ではないだろうか

筆者の両親は、酒や暴力とは無関係で、世間的には評価されるべき人物でした。しかし、両親とも姉が好きで、私にだけ体罰を与えました。

父には、理不尽な理由で突然怒られ(キレられ)、姉妹で喧嘩をしても私だけが叱られました。床に叩きつけられたり、お尻を叩かれたりしました。今思うと、躾というより、ただの八つ当たりです。

母は完璧主義で、自分の美学や価値観を押しつけ洗脳するタイプ。私たち娘に、服装、テレビ番組などの選択権を与えませんでした。彼女が人を褒めるのを聞いたことはあまりなく、いつも、他人はもちろん、友達、親族の陰口を言いました。誰かを貶すことで、自分の価値観や思想を示し同調すべく試みていました。

価値観が合い従順に従う姉とは違い、自由人の私を、母はコントロールしようとしました。外では「良い子」として評価も高く成績優秀な子ども時代でしたが、母には「あなたさえ感情を出さなければうちの家族は平和なのに」と言われ、「恥ずかしくてちゃんと挨拶できない」「理不尽な理由で叱られたので、それに対して怒る」など、子どもにとってごく自然な態度で叱られ、「もうしません」と私が言うまで許されず、二度としないと約束させられ、同じことをすると「約束を破った!」と叩かれました。

母は、自分の思う「理想の人間」を演じ、周囲にもそう思わせるべく有言実行する努力家でもありました。私自身、母の洗脳により「母の良い側面」ばかり見ていました。たまに、母の矛盾やダークな一面を指摘すると倍返しで攻撃されるのもあり、成人するころには何も言わなくなっていました。

33歳。離婚した年のある日、私は「母がこの世から去ることを思うと気が狂いそう」と思っている自分に気づき違和感を覚えました。

当時、母は週末に子どもを積極的に預かってくれ、「あなたが離婚したおかげで、私の役割ができて、生きがいを感じる」と言っていました。しかし、母子の距離感にいびつさを感じた私は、母との関係や、母がいないとダメだと思い込んでいる自分の無力さを見直そうと試み始めました。

当時の私は、「母は完璧であり理想であり、母のようにできない自分はダメ人間だ」と思っていました。今思うと、母に「ダメな子」と思わされ、頼らされ、母の承認欲求を満たしていたのだと思います。

逆にいうと、それに甘えた私は、「責任」を逃れ、独立しようとする「勇気」を放棄していたとも言えるのです。

長くなりましたが、このように「親子関係」を客観視し、それぞれの思いや、責任の所在を確認することが大切なのです。


「解決」しようとしない。距離を置き気持ちを整理

旅立つ女性のイメージ

親自身が「自分が毒親かもしれない」と気づくのは難しい。子どもから親離れをしつつ、感謝を伝えることが第一歩

毒親と言っても、様々なパターンがあります。解決できるケースもありますが、真正面から向き合わない方が良いケースもあります。

毒親かもしれないと気づいたら、すべきことは5つ。

  1. 「解決」よりもまず「距離を置く」
  2. 「愚痴」よりも「これからどうしたいのか」にフォーカスする
  3. 「もらえなかった愛情」を親から回収しようとしない
  4. 親の思いに対して「感謝の意」を伝える
  5. 一度、すっきりするまで親への思いを「どこか(親にではない)」に吐き出すこと
     
親に「謝ってもらいたい」「理解されたい」と願うのはよくある流れで、親に手紙を書くことが解決につながることもありますが、これを唯一の「正解」と捉えるのは危険です。筆者も、親に伝えてこじれました。

まずは、距離を置くこと。そして、「親の何がしんどかったのか」「本当はどうしたかったのか」を書き出して整理してみることから始めてみましょう。

親を愚痴るだけでは、先に進めません。恋愛のトラブルと毒親が、実はさほど関係ないというケースもあり、何もかも毒親のせいにするのは避けたいものです。また、他の毒親と比較して「あなたの方がマシね」などと伝えるのもNGです。悲しみ苦しみは、本来、比較することはできないものであり、体験した人にしか、その辛さは計り知れません。

無理に親を愛そうとしなくてもいい。
親を嫌いになろうとしなくてもいい。

嫌ってもいいし憎んでもいい。それを持ち続けるのはよくないけれど、まずは、「今ある自分の思い」を、ありのままの形で抱きしめることから始めてみましょう。

毒親にも、彼女たちなりの事情があり、その親もおそらく毒親です。上記5つを含めた具体的な対処法については、また別のコラムに記します。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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