調べるか、知らん顔しておくかの二極化
「もしかして浮気してる?」女のカンが働いたらどうする?
恋人が浮気しているのではないかと想像するだけで胸が痛くなる。そんな女性もいるだろうが、現実として「怪しい」と感じたとき、女性たちはどうしているのだろう。聞いてみると、これが意外と「知りたいから調べる」と「知らん顔しておく」の二極化していることがわかって興味深い。
点が線でつながるとき
彼の様子がいつもと違う……?
「3年つきあっている同い年の彼がいるんですが、どうもこのところ怪しいんですよね。連絡すると言ってしてこなかったり、私も知っている友だちの名前を出して一緒に飲みに行くと言ったはずなのに、あとからSNSを見ると、どうも違うグループで飲んでいるようだし。おかしいなと思うことが続いて、あるとき、彼のSNSにコメントをつけている女性を特定したとき、点が線につながったような気がしました」
毎日のようにスマホやパソコンにしがみついて、あれこれ検証した結果、彼の浮気を特定したと言うアユミさん(34歳)。だがアユミさんは、それが事実かどうかを彼に尋ねてはいない。
「浮気をしているようだということがわかればいいんです。一応、お互いに結婚を考えてはいるので、いざ結婚となったとき、これをつきつけて優位な立場になれればいいな、と」
彼が浮気相手に走ることは考えていないのだろうか。
「彼は調子がいいタイプだけど、私との3年間を振り切って他の女性に走るほどの勇気はないと思う」
長くつきあっている人がいる場合、女性はこういう言い方をすることが多い。彼を信頼しているというよりは、どこか少しだけ下に見ているような……。
「下に見ているつもりはないけど、彼をきちんとコントロールしておきたい、私の監視下に置いておきたいという気持ちはあるかもしれません。恋人に対しては、みんなそう思ってるんじゃないでしょうか。友だちともよくそういう話をするけど、男は放っておくとどこまでも身勝手に振る舞うから、女がちゃんとコントロールしないと」
人をコントロールするというのは怖い考え方だと思うが、彼女にそういう意識はないらしい。浮気の件も、いざというとき、「あなたは私の監視下から逃れられない」という事実を突きつけるために今は黙っておこうという計算のようだ。
監視なんかされてたまるかと思う男性も多いだろう。だが、男性は結婚前からこうやって少しずつ彼女の術中にはまっていくのである。
そして、いざ結婚してみると、「妻が強いほうがうまくいく」と言うのだ。お互いに、どこかで真正面から向き合うことを避けているようにさえ思う。
あえて浮気は詮索しない
突然の家出で意思表示だけはする。
浮気など詮索してもしかたがないと話す女性もいる。マリナさん(36歳)が4歳年下の彼と一緒に住むようになって2年経った。
「一緒に住んでいると、なんとなく様子が変だなというのはわかります。そういうときは私、すぐに家出しちゃうんです。実家に戻ったり友だちの家に泊めてもらったり。誰か別の女性のことを考えている彼と、同じ部屋にいたくないから」
数日経つと、慌てた彼から連絡が来る。
「そういうとき、彼はいつも、『仕事が忙しくて、一緒にいる時間がとれなくてごめん』って言うんだけど、本当に仕事が忙しいときと様子が違うのは分かる。でも、『他に好きな人がいるの?』なんて聞かずに彼のところに戻ります」
彼女があえて問いただしたり、証拠を集めたりしないのは、「彼にすがりつきたいわけじゃなくて、私自身のプライドの問題」なのだそうだ。
「つきあっている男性に浮気をされるような魅力のない女だと、自分で自分にレッテルを貼るような状態に陥りたくない。だからあえて、彼の浮気を探る必要なんてないと思う」
マリナさんはそう言う。探らなくてもわかるときはわかる。そしてそのときは、自ら別れを突きつけると彼女は決めているのだそうだ。
浮気を利用して自分が優位に立つ
浮気への対応で、立場やプライドを守ろうとする女性たちも。
今の時代、男性ばかりが浮気するわけではない。自分だって浮気しないとは限らないと女性たちはフェアに関係を見つめている。だから、「彼が浮気してるの」と泣き崩れる女性は昔より減っているだろう。
むしろ、それを利用してふたりの関係において自分が優位に立つのか、知らないふりをしてプライドを保ち続けて最後は突き放すのか。いずれにしても、自分の立場を保つこと。それが今どきの女性たちにとっては大事なことなのかもしれない。
ただ、いずれの場合も、なぜもっと相手の心に踏み込まないのかというじれったさが残る。そこでぶつかりあってみないと、相手の心の底も、自分自身の感情も見えてこないのではないだろうか。
「わざわざ不愉快な思いをする必要はないと思うんですよね。自分自身が相手を許せるかどうか、許そうと思えるかどうかにかかってくるんじゃないのかな」
マリナさんの言葉に、そういう考え方もあるなと頷きつつも、どこか釈然としない思いが残る。
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