パソコンで当たり前のマルチタスク!お金問題のヒントがありそうだ
お金まわりでひとつひとつの問題に集中していくと……
大昔の話になりますがWindows95でパソコンが普及し始めたとき、ワードとエクセルを同時に立ち上げるということはかなり危険な行為でした。たいていの場合、どちらかが原因でパソコンがハングし固まってしまうからです。
そうなるとどちらの作業についても保存していなかったデータは消えてしまいます。そのため立ち上げるのはひとつのソフトというのが昔の基本でした。
しかし今のパソコンはパワフルになったしOSもしっかりしているので、複数のソフトを立ち上げることは当たり前になりました。むしろ複数のソフトを立ち上げつつ作業をすることが作業の効率化にもなります。
ブラウザを立ち上げて統計資料をチェック、終了後ワードを立ち上げて原稿を書き、また終了したらメールソフトを立ち上げているようでは、仕事は全くはかどらないことでしょう。
この「マルチタスク」の発想、お金の問題にも活用できそうな気がします。マネーハック的に考えてみましょう。
お金の問題はシングルタスクで考えた方が楽ではあるが……
仕事術の世界では、人間がマルチタスクを試みると生産性は高まらないといわれます。メールの処理、提案書類の作成、議事録や報告レポートのまとめ、のような作業は各個撃破でやるほうがいいわけです。私たちがお金の問題について考えるときも、マルチタスクの発想で行動することはあまり得意ではないようです。
「毎月2万円、ボーナスから15万円のペースで貯蓄するけれど、このうち3分の2は家を買う頭金のため、6分の1は旅行のための貯金、残りは……」なんて資産管理できる人はまずいないはずです。
普通の人は「A銀行の積立は住宅購入資金、旅行資金についてはB銀行に入れておこう」というように分解したり、そもそも同時並行で行わず、「まずは住宅購入資金準備に集中、次は子どもの学費準備に集中、最後に自分たちの退職後のお金の準備……」というように対応していきます。
しかし、この各個撃破作戦、仕事術では効率的でも、マネープラン的にはうまくないのです。
お金の問題はシングルタスクNG!各個撃破では最後に行き詰まる
仕事はいったん中断することがむしろ効率を落とすので各個撃破のほうがいいようです。確かにレポートを書いている途中に、メール着信音を聞いて返信に時間を割いたあと、またレポートに集中するのはタイムロスが大きくなります。しかし、お金の問題でひとつひとつの問題に集中していくと、タイムライン的に最後の最後に行き詰まることになります。具体的には老後のためのお金の準備です。
●頭金を貯めて家を買う→その後数十年にわたって住宅ローン返済をする
●子どもの学費の準備をする→全額を事前準備することは難しいので、子どもの卒業までお金がかかる
という2つのマネープランについて各個撃破を試みても、ようやく戦闘終了にこぎ着けることができるのは定年前後です。実際には退職金でようやく返し終える人がたくさんいます。
そうなると、老後のためのお金を貯める時間がないままセカンドライフになだれ込むことになります(しかも定年後の時間はすでに平均20年の長きにわたる!)。
各個撃破でマネープランを処理していると、最後に弾切れになって焦ることになるわけです。
特に老後のお金の準備は「マルチタスク」で進めていこう
結論としては、お金を貯め、将来に備える準備については同時並行で処理していくべきです。要するに「マルチタスク」です。そして、特にマルチタスクを心がけるべきは、老後のためのお金の準備ということになります。
目の前の家計のやりくり、住宅ローン問題(購入前の人は頭金準備)、子どもの学費準備と同時並行で自分の老後のための貯金もスタートしておきましょう。
毎月の積立額は小さくても、マルチタスクで増やしていけば最終的には大きな金額になります。40歳で気がつき、毎月1万円、ボーナス6万円を貯めた人は元本480万円を手に60歳になります。年3%増やせた場合、580万円です。
同じペースを30歳からスタートできれば元本720万円、年3%なら970万円にもなります。早ければ早いほど余裕が出てくるわけです。
2017年1月から個人型の確定拠出年金に誰でも加入できるようになりました。税制優遇があってさらに効果的に老後のお金を増やすチャンスです。検討してみるといいでしょう。