大都市では超高層マンションの建設も相次いでいますが、その多くは免震構造や制震構造を取り入れるなど、大地震のときの揺れに強いものとされています。

その一方で、新築の超高層マンションに数日分の住民用食料などの備蓄を義務付ける自治体も出てきました。

超高層マンションが周辺の古いマンションや一戸建て住宅に比べて耐震性が高いぶん、大震災の際には「自助努力で自立してくれ」ということなのでしょうが、その背景には「超高層マンションの住民が外に出たら避難所には収容しきれない」という地域の実情もあるのです。

超高層マンションが林立するエリアの人口密度はかなり高いのですが、それに合わせて地域の避難所や避難公園などが整備されているわけではないため、いざというときに超高層マンションの住民が一斉に避難所へ向かえば、それだけで避難所を埋め尽くすことになりかねません。

冷たい言い方になりますが、自治体側としても「超高層マンションの住民に避難されたら他の地域住民が困る」といったところなのでしょう。それにも関わらず、地域住民の避難を受け入れるなど公共的な役割を求められることもあります。

ところが、耐震性の高い超高層マンションでも、長周期地震動によって大きなダメージを受ける場合があることは周知のとおりです。建物そのものは大丈夫でも、室内の家具が倒れたり物が散乱したりすることは十分に考えられます。

また、首都直下地震などの大震災が起きれば、周辺地域のライフラインがしばらく止まるだけでなく、エレベーターがなかなか復旧できないことにもなりそうです。

超高層マンションの住民は建物外に避難することもできず、水道やガスも止まり、エレベーターも使えないままで震災後の数日間を過ごさなければならないとしたら、上層階に住む人ほど相当な困難を強いられることでしょう。

そのぶん、いざというときに備えてマンションの住民みんなで対策を考えておくことが欠かせません。「大地震が起きたら避難所へ行けば何とかなる」「行政や周りの誰かが助けてくれる」のではなく、超高層マンションや大規模マンションほど自助努力が求められているのです。

超高層マンションが数多く建てられるようになってから、これまで大地震の直撃を受けた経験がないだけに、現実に何が起きるか分かりません。

管理組合による話し合いなどを他人任せにすることなく、地震後の生活を含めたさまざまな事態を想定しながら、全員が積極的に参加して対策に取り組むことが大切です。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年7月公開の「不動産百考 vol.13」をもとに再構成したものです)


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