水戸岡鋭治デザインの楽しい電車「富士山ビュー特急」
外国人観光客を中心に大人気の富士山。山梨県側から富士山の麗姿を眺めつつ河口湖を目指す富士急行線は、楽しくユニークな電車が数多く走っていることで知られている。
その中でのニューフェイスは、2016年4月にデビューした「富士山ビュー特急」。以前、JR東海が小田急新宿駅と御殿場経由で沼津まで走らせていた特急「あさぎり」の車両を譲り受けて改造したものだ。
デザインしたのは、JR九州の「ななつ星in九州」や九州新幹線などでお馴染の水戸岡鋭治氏。彼がデザインした車両らしさが、そこかしこに溢れている。自由席車のシートは座席毎にデザインが異なるので、どこに座ろうか迷ってしまう。特別車両の1号車では、列車によりスイーツプランがあり、木のぬくもりが感じられるテーブル席で沿線ゆかりのスイーツとドリンクを味わうことができる。
ほかにも愉快なキャラクターが車体や車内のあちこちに描かれた「フジサン特急」、水戸岡氏がデザインしたもうひとつの観光列車「富士登山電車」がある。
さらには、JRからの直通列車である快速「富士山」(旧国鉄の懐かしい特急車両で運転)、成田空港、東京駅から直通する「成田エクスプレス」(NEX)もあり、どれに乗るべきか迷ってしまいそうだ。
≫富士山ビュー特急 | 富士山に一番近い鉄道 富士急行線
8月10日運行開始!SL「大樹」の旅を楽しもう
全国各地でSL列車が走る中、2017年8月10日に東武鉄道のSL「大樹」が新たなSL列車として運転を開始する。運転区間は、東武日光線の下今市駅(栃木県)と東武鬼怒川線の鬼怒川温泉駅(栃木県)間12.4km。片道およそ35分かけて1日3往復のダイヤだ(土休日中心で、夏休みや秋の行楽シーズンには、毎日ではないが平日の運行も予定されている)。
機関車は、JR北海道から貸与されたC11形207号機。C11形は、大井川鐡道や真岡鐡道も所有しているが、この207号機は、ヘッドライトが2つあり、「カニ目」と呼ばれる独特の外観を持つ蒸気機関車だ。機関車本体に安全装置となる新型ATSが取り付けられないので、貨物列車用に使われた車掌車の中にATS機器などを積み込み、必ず車掌車とセットで運転される。従って、客車を切り離して転車台に載るときも車掌車が連結されたままとなる。
客車は、JR四国から譲り受けた青い14系客車3両。自動ドア、冷暖房つきで、窓は開かない。定員は約200名。そして最後尾には、JR東日本から譲渡されたDE10形ディーゼル機関車が連結される。
新たに開設された下今市機関区と鬼怒川温泉駅前の広場には、機関車の方向を変える転車台が設置された。いずれもJR西日本の駅にあったものを移設したものだ。このようにJR4社、さらには現在SL列車を運行中の大井川鐡道、秩父鉄道、真岡鐡道の協力を得た大プロジェクトとして準備が進められてきた。
終点の鬼怒川温泉、唯一の途中停車駅となる東武ワールドスクウェア駅(2017年7月に新設)など観光地へのアクセス手段、日光周辺の観光ルートの一環など利用価値は高く、やや沈滞気味だった地域の起爆剤として期待されている。首都圏からは、4月にデビューしたばかりの新型特急リバティや従来からの特急スペーシアなど足の便もよく、気楽に訪問できるので、この夏注目の列車となりそうだ。
池袋&西武新宿から優雅な旅へ「旅するレストラン 52席の至福」
またたく間に全国各地に普及した「レストラン列車」。あまりにも増えすぎて、どれに乗ったらよいか迷ってしまう。首都圏在住なら、西武鉄道のレストラン電車「旅するレストラン 52席の至福」が注目だ。
池袋あるいは西武新宿から西武秩父まで往路がブランチコース、復路がディナーコースで、飯能と西武秩父の間では、山岳風景を眺めながらゆったりと食事を味わうことができる。普段なら特急レッドアローで1時間20分弱の行程を2時間20分ほどかけて、のんびり走るので、コース料理といえ慌てる必要はない。人気沸騰で2人コースは、しばらく満席状態だが、4人コースなら日によってはまだ余席がある。
≫旅するレストラン 52席の至福
このほか、4月にデビューしたばかりの「四国まんなか千年ものがたり」も注目のレストラン列車である。
観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の優雅な旅
すっかり様変わりして魅力倍増となった鉄道旅行。ひと味変わった列車に乗って、夏の思い出を残したい。