バイク/ツーリングの準備・アイテム

バイクでキャンプツーリング!寝袋など道具の選び方と使用感レポート

近年盛り上がりを見せているバイクでのキャンプツーリング。満喫するには道具・アイテム選びが重要なポイントになります。日本生まれのアウトドアブランド・モンベルの広報さんに、寝袋やテント等の道具やアイテムの選び方を聞いたほか、おすすめ製品と使用感をレポートします。

相京 雅行

執筆者:相京 雅行

バイクガイド

バイクでのキャンプツーリングが流行中!

山道の走行は制限速度でも充分に楽しい!

山道の走行は制限速度でも充分に楽しい!

現在バイク業界では、中高年になって再びバイクにまたがる「リターンライダー」が増加中。実際、バイクの試乗会やイベントに足を運んでみても、来場者の年齢層は高いように感じます。そんなリターンライダーを中心に最近流行っているのがキャンプツーリングです。
 
高速のPAではキャンプ用の荷物を大量に積んだバイクを見かけることも少なくない

高速のPAではキャンプ用の荷物を大量に積んだバイクを見かけることも少なくない

バイクは目的地に向かうための道具というだけでなく、走行そのものを楽しめる乗り物なので、特にクネクネと曲がった山道は制限速度で走っていても充分に楽しむことができます。

そのためツーリングルートは山道が設定されることが多く、しかも山の方に行けばキャンプ場があるので一泊するのにも最適です。

私自身は高校生までボーイスカウトに所属していたこともあり、夏はキャンプに行くという環境で育ちましたが、バンガローに宿泊してバーベキューをすることはあっても、キャンプサイトにテントを張って宿泊するのは20年近く経験していません。

そこで今回はキャンプツーリングを快適に行うためのアイテム選びを、日本のアウトドア総合ブランド・モンベルの広報担当である青木さんに聞いてきました。
取材に対応してくれた広報の青木さん

取材に対応してくれた広報の青木さん

 
<目次>  

キャンプツーリングに行くのに最低限必要な道具・アイテムとは?

――私自身もう20年もキャンプから遠ざかってしまっているのですが、最低限必要な道具ってなんですか?

「まず必要になるのはテント寝袋。それと必ずしもテントを張る場所が整地されているとは限らないので、寝るときに下に敷くマットもあった方がいいですね。あと、食事は近くのスーパーやコンビニで買うのもいいですが、バーナーを一つ持っていくと簡単な調理ができます。朝起きてゆっくりコーヒーを沸かすのは、キャンプの醍醐味でもありますよ」
最低限必要な三点セット!テント・寝袋・マット

最低限必要な三点セット!写真左からマット、寝袋、テント
マット:U.L. コンフォートシステム アルパインパッド25 150
寝袋:ダウンハガー650♯3
テント:サンダードーム2型

――テントや寝袋は種類も沢山あって、どうやって選んだらいいのか難しいです

「まず、テントは軽く小さくなり初心者が設営しやすいとなるとクロノスドームですね。通気性もよく冬以外の3シーズンで使用することが可能です。また、寝袋は化繊綿モデルとダウンモデルがありますが、後者の方が小さく軽いのでバイクにはおすすめ。モンベルの寝袋は番号によって快適な温度帯が違いますが、3番を選んでおけばこちらも3シーズン使うことができます」
 
テント売り場で各モデルの違いなどを教えて頂いた

テント売り場で各モデルの違いなどを教えていただいた

――マットとバーナーについても教えて下さい

マットはスポンジのモデルよりも、空気を入れることで硬さを調整できるモデルの方が小さくたためます。長さは120cmのモデルであれば、男性でも大体は腰から首下までサポートできるはず。長いモデルは当然大きくなるので、バイクツーリングなら短い方が良いと思います。バーナーだとジェットボイルというシリーズは、コンパクトに収納できるのでおすすめです」
当然だがマットは長ければそのぶん大きい

当然だがマットは長ければその分大きな荷物になる

コンパクトに収納できるバーナーundefinedジェットボイルシリーズ

ジェットボイル JETBOIL ジップ クッキングツール

 

キャンプツーリングをさらに快適にする装備

――最低限必要な装備と選び方はわかりました。さらにキャンプを快適にするための道具を選ぶとしたら、どれでしょうか

ヘッドランプLEDランタンですね。キャンプ場は足元もデコボコしていることも多いですし、夜にトイレに行くにも便利です。LEDだと熱が発生しない点も初心者にはおすすめのポイントです。ヘッドランプにはシェードを装着する事でランタンとして使えるオプション品もあります」
 
ヘッドランプにランタンシェードを装着してみた。優しい光が広範囲に広がった

ヘッドランプにランタンシェードを装着してみた。優しい光が広範囲に広がった


――夜、寒くなったりしたらどうしようかなと……

「山の気温は昼間と夜で寒暖差が激しく、夜は非常に冷え込みます。体温を維持するために、気温にあわせてサッと取り出して寒さをしのげる衣服は大事です」
青木さんが入れておいてくれたスペリオダウン ラウンドネックジャケット Men's

スペリオダウン ラウンドネックジャケット Men's はコンパクトにまとまるので、バッグに突っ込んでおける気軽さがいい

――ちなみに、青木さんがキャンプの時に必ず持っていく物ってあります?

「キャンプ場によっては禁止のところもありますが、私は携帯電話で音楽を聞くためのスピーカーを持っていきますね。それと仲間と行くときにはUNO(ウノ)も楽しいです。本を一冊、でもいいですし、色々持っていくよりも一つだけ趣味のアイテムを持っていくのが良いと思いますよ」

■必須アイテム
テント、寝袋、マット
■あると快適に過ごせるもの
バーナー、ヘッドランプかLEDランタン、寒さをしのげる衣服、スピーカー、UNO、本など趣味のものをひとつ

 

おすすめしてもらった製品を持って、キャンプツーリングに行ってみた

今回は山梨県の韮崎にある、キャンピカ明野ふれあいの里を目的地に決定。神奈川県内の自宅を出発して東名高速道路で御殿場まで行き、そこからは下道で目的地まで向かうルートを設定しました。
今回のキャンプツーリングのルート

今回のキャンプツーリングのルート

このキャンプ場に決めた理由は設備がしっかりと整っているから。キャンプは不便を楽しむためのものとはいえ、久しぶりのキャンプや初めてのキャンプではある程度設備が整っているところをおすすめします。
トイレがとても綺麗!しかもウォッシュレットでした

トイレがとても綺麗!しかもウォッシュレットでした

ルートが決ったら、まずは荷物をバッグに詰め込まなければありません。今回はモンベルがバイク用に販売しているドライコンテナチューブLをお借りして荷物を詰め込んでみたのですが、テント・寝袋・マット・バーナー・着替えなどキャンプに必要なアイテムが全て入ってしまいました。20年間でキャンプ道具は驚くほど軽く、小さくなったのを痛感!
L.WトレールチェアとL.Wトレールテーブル

L.WトレールチェアL.Wトレールテーブルは小さく折りたためて軽量。バイクで持ち運ぶには最適

装備がとても小さくて驚いた

装備がとても小さくて驚いた

今回のキャンプツーリングのお供は、ホンダからお借りしたVFR800X。リアキャリアなど積載量を増やすオプション品を装着することなく、ドライコンテナチューブ付属のショックコードで車体に固定することができました。ただし、どちらかが万が一外れても落下しないよう、私は手持ちのネットをさらに使っています。
 
ユーティリティバック

車体に積むバッグはショックコードやネットでグルグル巻きにしてしまうので、頻繁に出し入れする道具を入れておくことはできない。財布やレインウエア、飲み物などを入れておく小さめのバッグを背負っていくと便利

また、バイクツーリングとの相性を試すべく、モンベルのアウトドアジャケットを走行時に使ってみました。私はミディパーカMen's、同行したスタッフはライトシェルパーカMen'sです。(※ミディパーカMen'sは現在モンベルの商品ラインナップからは外れています)
 
高速道路でもミディパーカMen'sはバタつかなかった

ミディパーカ Men'sはシルエットも適度に余裕があり、中に胸部プロテクターなどを装着することもできそう

ライトシェルパーカMen'sは軽くてストレッチ素材を採用しているので、着心地は良かったようですが高速走行時にはかなりバタつく結果に。

逆に私がお借りしたミディパーカMen'sは適度に素材に厚みがあり、高速道路の走行でもあまりバタつきませんでした。素材自体は防水透湿素材なので、蒸れることも無く風もしっかりと防いでくれます。
金運が上がる神社に寄ったり

金運が上がる新屋山神社に寄ったり

富士吉田名物の吉田うどんを食べたりしました。あちこち寄るのもツーリングの楽しみ!

富士吉田名物の吉田うどんを食べたりしました。あちこち寄るのもツーリングの楽しみ!

 

久しぶりのテント設営!果たしてうまくいくのか?

あちこち寄りながら走ること6時間。
 
キャンピカ明野入り口

キャンピカ明野入り口

キャンピカ明野ふれあいの里に到着。このキャンプ場にはバイク用サイトが用意されていますが、担当の高坂さんによるとバイクサイトが埋まっている場合は一般のテントサイトを利用することが出来るそうです。
バイクサイトには電源が取れるコンセントがありました。スマホをナビ代わり使っているユーザーは助かりますね。
サイトには電源があった!

サイトには電源があった!

ここのキャンプ場はとにかく快適性が高く、初心者キャンパーやリターンキャンパーには最適でした。折角バーナーを持っていったのに、今回は快適すぎて使うタイミングがありませんでした……。
センターハウスにはカフェも併設されていた。バーナーでコーヒーを沸かそうと思っていたがカフェで飲んでしまった。朝にはなんと焼きたてのバケット販売も!

センターハウスにはカフェも併設。バーナーでコーヒーを沸かそうと思っていたがカフェで飲んでしまった。朝にはなんと焼きたてのバケット販売も!

私は青木さんおすすめのクロノスドームの1型(1人~2人用)を、同行スタッフは暖かい時期には抜群の快適性だというサンダードーム2型を設営しました。
一人でもわりと簡単に設営可能でした

一人でもわりと簡単に設営可能 テント:クロノスドーム1型

同行スタッフがキャンプ慣れしていたこともあり、所要時間は一人でも10分ぐらい。説明書を事前に読んでいればもっと短縮することもできそうです。

サンダードームはクロノスドームとは違ったフレーム構造でしたが、こちらもやはり10分ぐらいで設営が完了。どちらのテントも素人でも設営が簡単で驚きました。
サンダードームも設営はとても簡単

テント:サンダードーム2型も設営はとても簡単

 

テント・寝袋・マットの快適性はどうか?

 
クロノスドーム

クロノスドーム1型


私がお借りしたクロノスドーム1型は1人から2人用ということでしたが、実際に2人で寝るのはちょっと狭いかな?という印象。バイクでキャンプに行くとヘルメットはテントの中に入れておく事になるので、狭く感じるのかもしれません。
 
頭の部分は枕代わりのバッグを置くなどするので必ずしも自分の身長の長さのマットは必要ない

写真右下がマット。頭の部分は枕代わりのバッグを置くなどするので必ずしも自分の身長の長さのマットは必要ない 
マット:U.L. コンフォートシステム アルパインパッド25 120


私は身長165cmと男性としては小柄なほう。マットは120cmで充分でした。また事前にモンベルの青木さんからは「着替えやバッグを枕代わりにするといいですよ」と教えていただいていたのですが、家でもオーダーメイド枕を使っているコダワリ派の私としては寝辛く感じました。
U.L.コンフォートシステムピロー、次回は必ずこれを持って行こうと決めた

U.L.コンフォートシステムピローはエアーで膨らませる枕。次回は必ずこれを持って行こうと決めた

寝袋はダウンハガー650♯3というモデル。6月とはいえ山の上の夜は冷え込むため、コンフォート温度(※)が4℃という設定は非常に快適。また、伸縮性も充分で寝袋の中で体を動かしてもストレスがありませんでした。
※コンフォート温度:寒さへの耐性が低い人がリラックスした体勢で寒さを感じることなく眠ることができる温度
 
ダウンハガー650♯3

ダウンハガー650♯3

 

帰宅した後の装備品のメンテナンスについても聞いてみた

――テントって使い終わったあとはどうしたらいいんですか?

「テントは干さなければカビがはえてしまうので、帰宅後は必ず干してください。それとフライシートは長期の使用で撥水性能が落ちてしまうので、その場合は撥水剤をご利用下さい。スプレータイプとつけ込みタイプがありますが、つけ込みタイプの方がムラ無く仕上りますね。寝袋に関しては、洗濯して皮脂や油を落とすと本来の保温力が復活しますよ」
撥水剤は3タイプがあるが、つけ込みタイプがお勧めとの事

撥水剤は3タイプがあるが、つけ込みタイプがお勧めとのこと


――寝袋って洗えるんですね!洗剤は特殊なものが必要ですか?

「一般的な中性洗剤で大丈夫ですが、弊社では専用の洗剤も用意しています」
 
洗剤も用途にあわせて色々おいてありました

洗剤も用途にあわせて色々置いてありました

――もしテントに穴などが空いてしまったら……

「リペアシートを使うことで応急処置できますし、店舗に持ってきていただければ修理を承ることもできます。大体二週間ぐらいでしょうか」
 

快適なキャンプツーリングをしたいなら、本気のアイテム選びを!

モンベルの青木さんと話していた中で「登山の道具選びは間違えると生き死にに関わる」という話が出ました。それだけに大掛かりなアイテムが必要なのかと思いましたが、20年ぶりのキャンプを通して、テントや寝袋などの道具は大幅に軽量化され、機能的になっていることを実感しました。

バイクでキャンプツーリングに出かける際には荷物は限られます。そのため「小さく・軽い」にコダワリを持っているモンベルの製品はライダーとの相性が抜群と言えるでしょう。

また、今でも充分に小さく軽いのですが、モンベルの製品開発の中心には「登山の道具は出来る限り小さく・軽い方が良い」というモンベルの考え方があり、毎年少しずつ改良していっているそうです。

個人的に今回の取材はモンベルというブランドを見直すきっかけとなりました。海外のアウトドアブランドもどんどん進出してきていますが、日本生まれのアウトドアブランド・モンベルに是非とも頑張っていって頂きたいものです。
■関連リンク
アウトドア総合ブランド・モンベルのホームページ

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