中国のクレジットバブルは弾けるか?

チャイナショックを機に昨年夏より、それまで一貫して上がってきた(2012年頃から始まった)長期上昇トレンドは崩れた

チャイナショックを機に昨年夏より、それまで一貫して上がってきた(2012年頃から始まった)日経平均の長期上昇トレンドは崩れた

中国は最近こそ落ち着いていますが、過去1年間で2度も世界の株式市場を大きく市場を揺さぶりました。また2015年に予定されていた米国の利上げの延期原因もチャイナショックであり、今後の米国FRBの利上げ判断にも大きな影響を与えるものと思います。つまり、膨らみ続ける中国のクレジットバブル(過剰債務問題)がこのまま小康状態を保てば、米国は緩やかな利上げペースの中で、世界の株価も米国株主導で高値更新するという力強い展開も考えられます。というのも米国経済は良い状況だからです。当然、米国が緩やかな利上げとなれば、緩やかなドル高が進みますので、円安となって、日経平均にもプラスになります。一方、この時限爆弾が炸裂すれば再び世界の株式市場は暴落します。
中国の企業部門の債務は突出している

中国の企業部門の債務は突出している

上は世界経済の大半を占める米国、EU圏、中国、日本の経済部門別の債務(借金)残高です。中国のみ時系列でも示しており、最新は全て15年9月末時点のものとなります。特に注目したいのは中国の企業部門の債務で、5年で10兆ドルも増加して17.4兆ドル(1,863兆円)にも膨れあがりました。経済規模のより大きなEUや米国の水準を大きく超える異常な数字です。また、日米欧の債務はごく緩やかな増加(もしくは減少)ペースですが、中国は家計、政府部門を含め劇増している点も異常です。企業の借金総額だけでGDPの166%もあります。ちなみに1,000兆円を超える日本の公的債務(政府部門)はGDPの200%を超えますが、国債利回りが超低金利(マイナス金利も)で落ち着くなか、日銀が国債を大量購入するという中で危機はありません。企業や家計の債務とは質が違います。

別のマッキンゼー社の統計では少し違う数字なのですが、3部門合わせた中国の債務残高は、07年~14年までに4倍となる28兆ドル(約3,000兆円)となり、GDP比で158%から282%に激増しています。2016年第1四半期だけでさらに1兆ドル増えたとの記事もあります。

中国のクレジットバブルは膨らみ続けるが、当面は爆発を防げる可能性も

長期的には到底持続不能であると思いますが、この時限爆弾は当面(少なくともあと1~2年は)爆発しない可能性もあります。金融緩和による支援が無制限に続いており、それを支える国民の貯蓄率も高いのです。また、2015年から二度、この問題で世界の株式市場を揺らした際、いずれも政府による買い支えや売買停止で乗り切り、バブル崩壊に対する耐性力がついているようにも感じます。弾けそうでなかなか弾けないというのがありえそうな答えで、そうなれば米国株やFRBにも朗報ですが、超長期的に考えれば、これは大変な問題を引き起こすと思います。

中国の時限爆弾は長期では到底持続不能も、短期的にはリスクが顕在化しない可能性も

中国の時限爆弾は長期では到底持続不能も、短期的にはリスクが顕在化しない可能性も

企業向け債務がこれほど膨らんでいるのは、非効率な国営企業の延命によるものでしょう。国営企業の典型的なイメージは、石炭、セメント、鉄などのインフラ素材を作る大企業です。それで鉄道やビルを次々に建てることで、安易にGDP成長率を達成したい各省や市政府と、安易に好決算を達成したい国営企業の思惑が一致し、両サイド幹部の出世にも繋がります。国営企業は利益を上げていますが、補助金がなければ実質赤字というところも多い模様です。

このような非効率な企業経営と経済を修正しようと、何年も前から国営企業改革や、インフラ投資主導から消費主導の(競争力のある)経済への移行を政府は打ち出してきました。しかし実際には逆行し、返ってインフラ投資のGDPに占める割合は高まってきており、昔よりも依存している(せざるを得ない?)様子です。債務を発行してビルを建てる循環の加速です。債務の一部は不動産(今年の都市部住宅価格急騰)や株式(昨年春の中国株バブル)にも向かい、危うい状況を作りますが、何とか国が崩壊を押さえ込んでいます。

結局、共産党の権力維持の為には、その支持基盤である国営企業が非効率でもばっさりと切り捨てられず、両者は持ちつ持たれつと云うことで、ゾンビ企業の延命となるのでしょう。借入返済期限の迫る国営企業を破綻させられず、さらなる債務を借り入れて返済に充てさせる事になるでしょう。こうして中国のクレジットバブルは膨らみ続けると思います。最終的には恐ろしいと感じますが、バブル崩壊危機が叫ばれる中で耐性力をつけており、当面爆発する雰囲気のないのは逆に市場の安心材料になりえます。

このように考えていくと、当面の間、中国のクレジットバブルが崩壊を防げれば、米国が超緩やかな利上げを実施できることになり、それは緩やかな円安効果となって日経平均にプラスに働き、日経平均はボックス圏を上抜けて上昇していくシナリオも十分期待出来ると思います。一方、目先にリスクが顕在化する可能性は小さくなっているように思いますが、何らかのキッカケで中国のクレジットバブルが崩壊の兆しを見せれば(たとえば人民元の急落など)、一旦世界の株式市場は急落する可能性があり、その時は日本株も無傷はいられません。ただ、その大きく下がったところがあるとすれば、買いのチャンスになるとも思います。

参考:日本株通信

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