W不倫は増加傾向? 既婚男性に聞いてみた
同じ立場だからこそ等身大で、対等に……ひとりの人間として恋愛できるという意見も。
結果、ミュージシャン側の夫婦は離婚せず、彼は生まれてくる子を認知することに。妻には「しっかり謝ってきなさい」と背中を押されたとも明かし、養育費についても責任をもって支払うと話したという。
実際、組み合わせとして激増しているW不倫だが、最終的にどうなっていくカップルが多いのだろう。そして、世のW不倫経験者の男たちは、どう思い、どう行動したのだろうか。
W不倫激増の背景とは?
同世代の既婚者同士の恋愛が増えている背景とは。
W不倫が増えたのは、主に男性側の意識が変わったからではないだろうか。
実質的に給料が上がらない、小遣いは減る一方で、若い女性を高級レストランに連れていくこともままならない。若いだけの女性を連れ歩いて楽しいとは思えない……そんなふうに嘆く男性が多い。バブル崩壊とともにへこんだ男性のプライドは、リーマンショックで完全に潰されたようだ。
同時にSNSの流行もあって、かつての同級生や元恋人と再会するチャンスも増えた。会ってみると、若かった頃の自分に戻れる。同世代だから話も合う。かくして、W不倫が増えていったのだと思われる。
恋愛として大事に育むが、一緒になるつもりはない
非日常だからこそ、純粋な恋愛関係でいられる?
「お互いに結婚しているから、立場が対等でしょ。お互い家庭を優先しようと話しているから、夜や週末は連絡は取りません。不倫はいけないのはわかっているけど、配偶者は家族だから、もう恋愛やセックスの対象ではない。うちも彼女のところも、セックスレスですしね。それは男女とも同じなんじゃないかな」
ただ、彼女とつきあうようになってから、妻に対して寛大な気持ちになっていると彼は言う。お互いに家庭の愚痴を言い合うことで、配偶者への思いやりがもてるようになったり、男としてバランスが保てるのかもしれない。
「いつか一緒に暮らせたらいいね、という話を漠然としたことはあります。ただ、お互いにそれが現実になるとは思っていない。“いつか”というのは、離婚するか配偶者が亡くなるかのどちらか。もちろん、僕はどちらも願っていない。それに、現実的に一緒に暮らしたら、また“ただの日常生活”になることが目に見えているわけだし……」
それなら、恋愛は恋愛として、大事に育てていきたいと彼は話した。
W不倫のバランスが崩れるとき
夫と離婚して、結婚したい――対等な恋愛関係だったバランスが崩れるとき。
「1年半、W不倫でつきあっていた彼女が、いきなり『夫と離婚する』と言い出したときは、正直言って焦りました。小中学生の子どもたちをどうするつもりなのか、パート勤めの彼女の経済力では、子どもを育てることさえままならない。『私はあなたを愛してしまったから、もう夫と暮らすのは限界なの』と泣く彼女を見て、うれしい半面、困ったなぁと思っていた」
そう話してくれたのは、ミツオさん(42歳)だ。彼女は、「あなたには迷惑をかけないから」と言っていたが、ミツオさんは彼女の離婚を止めた。
「彼女が離婚しても、僕は離婚するつもりはない。僕が彼女や子どものめんどうを見るのは無理、うちにも子どもがふたりいますしね。現実を見たほうがいいと言うしかなかった。最後は、『私たちの関係って、そんな薄っぺらいものだったのね』という彼女の言葉を背中で受けながら別れました。僕は『恋愛は恋愛』として考えていたけど、彼女は僕との恋愛の延長線上に結婚を考えていた。そこが合わなかったんでしょうね」
不倫相手の妊娠で、修羅場に……
ピルを飲んでいるから妊娠しないと聞いていたのに……と言っても後の祭り。
冒頭の芸能ニュースと近しいのがマコトさん(46歳)の例かもしれない。彼は、話しながらも、3年ほど前の修羅場を思い出したように顔をしかめた。
彼が会社に来ていた派遣社員の女性と親しくなったのは、その1年前。5歳年下の既婚者だった。
「夫とは離婚を前提に別居している、という話でした。だから、今日は子どもが修学旅行だ合宿だと言われると、いっしょに遊びに行ったりしていた。でも、実は夫は単身赴任だったんですね。7ヶ月ほど経ったとき、『妊娠しているかもしれない』と言われました。どきっとしましたね。彼女はピルを飲んでいると言っていたのに……うっかり飲み忘れたと、しれっと言うんです。一緒に病院に行ったら、本当に妊娠していて。産みたいと言われたけれど、ちょっと待ってとしか言えなかった」
マコトさんは数日悩んだ末、妻に打ち明けた。自分だけで処理できる問題ではなかったからだ。黙って聞いていた妻は、いきなりマコトさんを平手打ちしたという。
「妻の顔は、怒りを必死に押さえ込んでいるように見えた。あれほど怒りに歪んだ表情を初めて見ました。私は黙って土下座するしかなかった」
妻は努めて静かに、「離婚したいの?」と言った。マコトさんは必死に首を振った。
「子どもに罪はないわね、と妻が言ったのを覚えています」
その後は急転直下。不倫相手の女性の夫が、単身赴任先から帰ってくることになり、そこで初めて、彼女が言っていた「離婚を前提に別居」がウソだとわかった。彼女を問い詰めると、どうやら妊娠中の子どもの父親も、マコトさんなのか夫なのかわからないという。
「妻と一緒に彼女に会ったんです。妻は『まずはご主人にすべて打ち明けてください。話はそれからです』と言い切りました。そして、子どもの父親のDNA鑑定などをするなら協力するとも告げました。彼女は泣いていました。ちょっとかわいそうだったけど、立場上、これ以上は深入りはできないと思いました」
結局、彼女とは別れた。子どもが産まれたという報せは来たが、父親云々の話はまったく出ず、真相はわからないという。彼女は今も、夫と暮らしているのだろう。
「不倫はバレるものですね。不倫はもうこりごりです」
マコトさんは、今も妻には頭が上がらない。妻の寛大さを感じれば感じるほど、うしろめたさが増すらしい。
ともに結婚しているからこそ、対等な恋愛が成立する。お互いにそう考えていれば問題はないが、どちらかが相手を独占したくなったら、W不倫は破綻する。
不倫は純愛なのか、はたまた裏切りの悲劇しか残さないのか――不倫に関する男性たちの見解も末路もさまざまだ。いずれにしても、W不倫は当事者ふたりの意識の違いによって、取り返しのつかないことになりかねない。