終活にはエンディングノートだけでは不十分?

終活は自分のためだけでなく、遺された人たちのためにも

終活は自分のためだけでなく、遺された人たちのためにも

人生の終わりをより良くするための事前準備「終活」として最もポピュラーなものに「エンディングノート」の作成があります。

気持ちを伝えるものとしては十分で、かつ簡単に始められることで人気です。

しかしながら、遺された人たちのためにと自分では満足のいくかたちにしたつもりでも、このエンディングノートには法的な効力が無く、実際の相続後の手続きには使えなかったり、結果としてもめてしまうこともあります。遺された人が本当にやっておいてもらいたかった「終活」を、それぞれの場面で8つポイントをまとめました。
 

相続手続き編

相続が発生すると、大切な人を亡くされた悲しみの最中、様々な手続きを要します。トラブル防止のためにも事前にできることはやっておきたいものです。

1. 相続後すぐに決めなければならないため、遺影の写真を撮っておく、葬儀を決めておく。できればお墓も決めておく。

2. 知らなかった相続人が後から判明すると大もめに。戸籍を揃えて相続人を特定しておき、相続関係図を作っておく。

3. どんな財産を持っているかや保管場所を一覧にして書き留めておく。また会費がかかるものなど解約を要するものも書いておく。特に一人暮らしなどの場合は別居の親族は1から調べるのはとても苦労します。

4. 銀行や証券会社は口座をまとめて少なくする。相続後の金融機関の手続きは数が多いと大変です。預金の利息もほとんど付かない今、決済用預金にすれば利息は付きませんが預金全額が保護されます。

5. 端数の株式は証券会社へ預けておく。証券会社に預けていない端株などは株主名簿管理人(信託銀行等)が管理しています。相続財産としては少額な割に相続による手続きがとても面倒です。

6. 自宅が相続発生後に空き家になるなら、家の片づけ・整理をしておく。散らかっているとせっかくの遺言や大切な書類が見つからないことも。また空き家を売却する際、整理業者に頼むと数十万円もかかるうえ、相続債務になりません。

7. 相続税の支払いや遺産分割のために売る予定の土地が、隣地との境界でもめて売れないことがある。売れる土地か否か、生前に測量・境界確定をしておく。この費用もやはり相続後だと相続債務にならない。

8. 先代の名義のままの不動産を名義変更しておく。相続人にとっては祖父の名義の不動産を名義変更するために、おじ・おばに協力してもらう必要があるケースも。話がし易い「きょうだい」で完了しておいてもらいたいもの。
 

相続税編

相続税が少なくなるようにしたいところですが、相続後の費用は債務になりません。生前に支払えばその分の相続税は節税できます。反面、生前対策が仇となるケースもあるので注意が必要です。

1. 相続税を少なくするには何と言っても「相続に強い税理士」に頼むことです。じっくり探して生前からその税理士に相談しておくと更にスムーズです。相続時はどの税理士に相談するか、を相続人に伝えておくと良いでしょう。

2. お墓や仏具の費用を払っておく。生前に支払うことで節税になりますし、相続税では非課税財産です。

3. 生前贈与は公平に。生前贈与は相続税の節税としては有効ですが、子や孫に差を付けてしまうとこれが遺産分割での争いのもとになることが多いです。

4. 年110万円の贈与で節税のつもりが、名義財産として課税され、更に加算税が取られてしまうことも。贈与による節税方法もやり方次第です。税務署に否認されないように、贈与も税理士に相談して実行しましょう。

5. 生命保険の非課税を活用しましょう。節税だけでなく、スムーズに資金化できる点もメリットです。

6. 自宅に事前にお金をかけておく。相続後に遺された妻のためのバリアフリー、リフォーム・修繕、家具の購入なども、事前に支払うことで相続税の節税になります。

7. 二世帯住宅の区分登記は別居と見なされるため、小規模宅地の特例が受けられないケースがある。特例を受けられるように、事前に税理士や土地家屋調査士に相談しておく。

8. 自宅の妻への贈与は本当に必要か、やる前に税理士に相談しましょう。結婚から20年以上の場合は贈与税はかからないが、登録免許税・不動産取得税などのコストがとても高い。相続時なら小規模宅地の特例が使えるので、結果として節税以上にコストの方が高いことが多い。
 

遺産分割編

せっかく遺した財産がもとでトラブルになってしまわないよう、遺産分割に関することが最も大切な「終活」といえます。

1. 遺言を作成しましょう。子がいない、独身、相続人が認知症・障害者、相続人がいない、相続人が多いなどのケースは特に遺言書が求められます。

2. 自筆遺言は相続後に検認が必要です。手間や時間がかかり、相続手続きが遅くなってしまいます。またそもそも発見されないリスクもあります。相続後にすぐに手続きが開始できる公正証書での遺言が良いでしょう。なお公正証書であれば公証役場で遺言書の有無が確認できます。

3. 遺産分割協議では相続人以外には財産を渡すことができません。遺言であれば、再婚した妻の連れ子、内縁の妻といった相続人以外に遺贈ができます。また最も自分の面倒を見てくれた長男の妻への感謝としての遺贈も忘れてはならないと思います。

4. 子へは平等にしたいがために不動産を共有で相続させる遺言、これはトラブルのもとです。将来はいとこ同士が共有など、共有者がどんどん増えて収拾が付かないことになるケースも少なくありません。分けづらい財産は共有で相続させないように。

5. 相続して困ってしまうものは生前に整理しておきましょう。ゴルフ会員権、別荘地、山林などは、管理・維持費がかかるうえ、換金できずにまた次の相続で誰かが相続……と続きます。生前に売却や、土地などは隣地に贈与、寄付など、時間をかけて検討して相続人が困らないようにしておきましょう。

6. 自社株式を生前に事業承継者に移しておく。遺産分割で他の相続人に株式が移転することを避けたいケースは生前に贈与などで移す方が良い。もしくは遺言で事業承継者が株式を全て相続するように指定しておく。

7. 生命保険金の受取人を確認しておく。配偶者は相続税がかからないケースが多いため、受取人は子に変更する。ただし複数の子がいる場合は受取金額の差をつけない方が良い。なお受取人が先に死亡しているケースも多いので契約内容を確認しておき、必要に応じ受取人を変更しておく。

8. 元気なうちに家族会議思い出話をたくさんしておきましょう。コミュニケーションが取れている家族はもめることがほとんどありません。子からは言いづらいものですから親から「みんなで集まろう」と声をかけると良い。なお集まる際は、子の配偶者や孫は連れてこないで、親と子だけで集まることがポイントです。

終活」は自分のためだけでなく、遺された人たちのためにすることも大切です。自分が遺した財産で喜んでもらえるはずが、実はそれがもとで相続人がもめてしまうのは本当に不本意だと思います。「ここまでしてくれていた。あの人だったから円満だった」と言われたいものです。自分がした【気遣い】というも、きっと次の代にも受け継がれます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。