「しつけのため」という理由で、子供を山中に置き去りに……

「しつけのため」という理由で、山中で置き去りに……

「しつけのため」という理由で、山中で置き去りに……

北海道七飯町の山林で起こった、子供の置き去り事件。2016年5月28日の夕方から小学2年生、田野岡大和君が行方不明に。両親は当初、「山菜採りの最中に不明になった」と説明していたそうですが、警察のその後の調べで、「しつけのため」という理由で、山中で置き去りにしたことが分かりました。(2016年6月3日午前8時半時点で、保護されたとのニュースが発表されました)。

5~10分して戻ったところ、大和君はいなくなっていたということですが、7歳の男の子が、わずか数分でいなくなるという不可解な点が多いこの事件。大和君の心情を思うと、心が痛みます。

今回の事件では、「幼い子をしつけのために山中に置き去りにした」という残忍さがメディアでも大きく取り上げられ、「置き去りは虐待だ」という声がたくさん上がっています。なぜ、「しつけのために置き去り」という発想になってしまったのか? しつけとはどうあるべきなのか? 子供の心の発達を踏まえた「しつけのあり方」を検証していきます。


「子供は痛い目に遭わなければ学ばない」という親の迷信

警察の調べによると、大和君はこの日、家族4人で近くの公園を訪れました。しかし、小石を人や車に投げつけるなどしたため、両親が「悪いことをするとこうなる」という意味を込め、現場の山道で大和君を車から降ろしたそうです。

「悪いことをするとこうなる」

これはしつけの発想として正しいでしょうか? 子供は、痛い目、イヤな目に遭えば、「もう悪いことはやめよう」「良い行いをしよう」と学ぶのでしょうか?

心理学の研究でも分かっていますが、子供は悪い手本にさらされることでは学びません。良いお手本に触れることで学んでいきます。

いまだ根強く信じられている
「厳しくしないと、子供は言うことを聞かない」
「痛い目に遭わなければ、分からない」
というのは、しつけの迷信です。「しつけ」には、親の信念が色濃く反映されるので、その段階で間違ってしまうと、今回のような大きな事件を巻き起こすことになります。


「子供置き去り事件」 実は対岸の火事ではない!

「しつけの本質」を押さえていれば「置き去り事件」は二度と起こらない

「しつけの本質」を押さえていれば「置き去り事件」は二度と起こらない

今回の事件は「置き去り」というむごい方法だったので、だれもが「なんてひどい…」「間違ったしつけだ」と感じたことでしょう。しかし、これと似た心理的影響をもたらす“しつけ”が、実は今もなお、広く行われています。

それは何かというと、「閉め出し」です。
  • 子供が何か悪いことをしたとき、玄関の外に出したことはありませんか?
  • 小さい頃、押入れの中に閉じ込められた思い出はありませんか?
「いやいや、これと”置き去り”とは違うでしょ?」と思うかもしれません。たしかに、自宅と山中では度合いが違います。しかし、心理学的に見れば、子供に与える傷、そして、教えは共通しています。数を重ねれば、置き去りを蔑視できないほどの傷を子供の心にもたらしていくのです。

親が子供に「外に出て反省しなさい」と玄関から閉め出すとき、親はその子に反省を促す目的でやるケースが多いのですが、外に出された子供は、近所に響き渡る声で泣き叫ぶのが精いっぱいで、反省どころではありません。「反省した?」という問いに「うん」と答えるかもしれませんが、それは「外に出されたくないから」という理由であって、正しい反省ができているわけではありません。

反省ができていないばかりか、親の行動から、別の悪いことを学んでしまっています。それは、
「イヤなことがあったら、パパママがやったように、外に排除すればよい」
ということ。


「外で反省しなさい!」を繰り返すことでの子供への二次的影響

一見、親は反省を促す目的で外に出しているように見えますが、実際は、もう目の前のことから「逃げたい」「向き合いたくない」、だから外に出して、とりあえず現状から目をそむけたい、これが本音ではないでしょうか。しかし、このような形で、親が「困ったときには排除する」という行動を繰り返すと、子供もその手法を自分にも取り入れるようになってしまいます。

たとえば、
  • 友達や兄弟などと衝突があると、その子をのけ者にする
  • 嫌なことがあると、自分から距離を取る、自室にこもる
このように、相手や自分を排除する形で、問題を解決しようとする術を覚えてしまうのです。

今回の置き去り事件の残忍さはもちろん論外ですが、「閉め出し」も同様です。軽いからOK、重ければダメというものではなく、そのどちらもが子供に悪影響。今回の事件は、その点からも、大きな教えがあったように感じています。

しつけに厳しさは必要です。しかし、その厳しさは愛情のある毅然さです。今回の事件のように、厳しさが”手荒な”方向に行かぬよう、気をつけていく必要があると思います。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。