日本初のインテリアの日、インテリアの一週間がスタート
毎年5月の最終土曜日は「インテリアの日」とし、各年設定されるテーマでインテリアを愉しむ世界規模のイベント:ワールド・インテリア・ディ / World Interiors Dayがある。
国際組織IFIが、住まいと環境とその暮らしについて世界中で考える日として実施している活動だ。
*注釈:IFIとは、国際インテリアデザイナー団体連合:International Federation of Interior Architects / Designers の略称、言ってみれば、インテリアデザインを生業にしている人たちの国際団体(本部はニューヨーク、国連から認可を受ける国際組織INGO)。現在では110カ国が加盟し、日本では(公社)日本インテリアデザイナー協会と(公財)日本デザイン振興会が加盟している。
日本では、World Interiors Dayをさらに拡張させ毎年5月最終土曜日を含めた一週間をWorld Interiors Week in Japan(WIW)とし、インテリアを楽しむ一週間を今年スタート。主催はWIW実行委員会、(公社)日本インテリアデザイナー協会、(公財)日本デザイン振興会。
今年のテーマは、「インテリア インテリジェンス / Interiors Intelligence」…「知的にインテリアを楽しみましょう!」って、ところか。
さて、世界中でインテリアの日を愉しむイベントが開催された(世界各国でのイベントは別の機会に紹介したい)が、日本ではインテリアの日を含む一週間をインテリア週間と位置づけ、北海道から沖縄の各地で様々なインテリアイベントを開催。
>>全国で開催されたインテリアイベントについては、こちら<<
【東京】WIWメインイベント
「暮らしデザイン展」と「ワールドインテリア・トレンドレポート」
日本初!なので、まだまだ聞き慣れない「WIWインテリア週間、インテリアの日」、今回は全国で開催されたイベントの中から東京、横浜でのイベントについて紹介しよう。まず、東京・六本木ミッドタウンのデザインハブで開催の「暮らしデザイン展」、「ワールド・トレンド・セミナー」。
暮らしデザイン展では「デザイナーの流儀」と題し、暮らし空間=インテリアを構成するモノをデザイン、開発したデザイナーや開発者のモノづくりの考え方や視点を紹介している。
会場では、整然としたレイアウトの中、家具・照明・インテリアアクセサリー・建材など最新のインテリア商品と開発コンセプトがディスプレイされている。画像で伝わりづらい会場空間、雰囲気は、動画をご覧いただきたい。
モノは出来上がってしまうとその過程は見えないが、こうしたデザインアプローチと完成したプロダクト(商品)を同時に見ると日々の生活で快適な暮らし方やモノとの新しい在り方を提唱する作り手の考え方や作り方がみえてくる。
また、展示会会場のすぐ横のブースでは、日本を含め世界各地の国際展示会情報セミナーと親子参加型ワークショップの「ワールドインテリア・トレンドレポート」が連日開催された。
初日は、日本の日(Japan Day)。第一弾は、シルクの産地「福井」から『シルクの機能とこれからの可能性』についてのレポートセミナー。
見慣れた絹のイロハから今後の可能性について生産地からの最新情報を聞くことができ、特に今後の素材開発、新分野への可能性は興味深い内容であった。その後は、日本のデザイナーズ壁紙、伝統和紙とLED照明、ジャパンデザインミュージアムなど多彩で最新なインテリアデザインレポートが続いた。
ここデザインハブでの展示会やセミナーは、どちらかというと企業・業界に携わる人が対象。最新の情報はとても貴重で実あるものだが、企業・業界と一般の人との接点に重心を置く内容も欲しいところ。その点では、最終日開催の親子参加型イベント、唯一ワークショップ「親子でつくろうメッセージボード」は、明日のインテリア大好き人間を育むプログラムになる。
【横浜】WIW参加型自主イベント
「横浜で、チャールズ・イームズを想う」
横浜ではWIW特別公認イベント「横浜で、チャールズ・イームズを想う」が開催された。近代家具デザインに多大な影響を与えたアメリカのデザイナー:チャールズ&レイ・イームズ夫妻…ファニチャーイストには説明不要…の家具展示と講演会だ。展示会は横浜市中央区の横浜港大桟橋国際旅客ターミナルにて。イームズ研究家の武蔵野美術大学名誉教授・寺原芳彦氏による講演会は、横浜情報文化センターで開催された。
イームズ夫妻は、家具や建築デザインで世界に大きな潮流をつくったミッドセンチュリーデザインの巨匠の一人、いやご夫婦。その影響は日本のデザインにも及ぶ。イームズ家具は世界中に多くファンを持ち、その存在は現在も健在。
開国当時から西洋文化の入口である横浜港・横浜でイームズを想うイベントはとても意味がある。イームズのデザインがここ横浜を通過して日本中に広がり、イームズデザインの影響を受け新しい日本デザインが誕生し、そして、世界へは羽ばたいた。もちろん、イームズだけではない。様々な新しいデザインが人と出会い、暮らしに根付き、当たり前のモノと化す。まさにデザインは文化であり、その一端を担うYOKOHAMAでこのようなイベントを開催する意義は大きい。
旅客ターミナルでの展示会場では、誰でも自由に入場でき、イームズの椅子に座れるとあってイームズファンはもちろん、「あっ!この椅子見たことある」の人でもフムフム・・・と知識が増える。主催の家具新聞社が設置した「イームズ椅子と写真を」もインテリアファンづくりに貢献するプログラム。
ただ、デザインを生業にする者として視点から、旅客ターミナルいう空間だけに、もっと一般人の目にとまる「ノリのいい」演出や展示が欲しかった。
寺原氏の講演会も楽しみしていたが、残念なことにいくことができなかった。
と、いうのも筆者自身もこの「インテリアの日」にイベントを開催したからだ。
【横浜】WIW参加型自主イベント
ワークショップ
「ペーパークラフトで創るイームズ・LCW・ミニ名作椅子」
WIW参加型自主イベント登録:インテリアワークショップ『ペーパークラフトで創るイームズ・LCW・ミニ名作椅子』が、それ。イームズの代表作であるプライウッドチェアLiving Chair Wood(LCW)の1/6ミニ椅子をペーパークラフトで制作するワークショップ。
背と座がハラコ貼りという特別仕上げのLCWの現物に実際に座わり、その座り心地やディテールの精密さ、もちろんイームズデザインの特徴を交え解説し、ミニ椅子制作開始。
手のひらにのるほどのミニ椅子一脚の制作に3~4時間かかる、それも仕上げ異なる3脚を制作。
細かい制作が進むほどに感嘆のため息が・・・「ワークショップ」ならぬ「ワー、ショック!」となった。
イス好き、インテリア好き、モノづくり好きのサラリーマン、主婦、学生の面々が、名作椅子に座りながら、細部を確認しながら、ミニ椅子制作に没頭する。
参加者の一言が、印象的。
『このワークショップは、「知るを愉しむ」ですね!』
まさに、WIW今回のテーマ「インテリア インテリジェンス / Interiors Intelligence」…知的にインテリアを楽しみましょう…に、ハマった瞬間。
こうしてデザイン愛好家が年に一度、インテリアデザイン、家具デザインに関するイベントに勤しみながら、住まいと環境とその暮らしについて考えることは、とても大切なコト。
なぜならば、インテリアは日々の暮らしの場、暮らしのホームグラウンドだから。
新しいインテリア情報を通して、一脚の椅子デザインを通して、自分の暮らし空間を省みる、暮らし方を考えてみるきっかけになるインテリアの日(World Interiors Day)、インテリア週間(World Interiors Week in Japan /WIW)。
世界同時、日本初のインテリアイベントの今後が楽しみである。
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■今回の関連リンク
→WIW(World Interiors Week in Japan)
オフィシャルサイト
→家具新聞 <イームズ展>
オフィシャルサイト
→ミニ椅子ファン <ワークショップ>
オフィシャルサイト
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