世界規模でPHVが増えてきている理由
ここにきて世界的な規模でPHVが増えている。PHVとは『プラグ・イン・ハイブリッド』の略で、短い距離なら電気だけ使って走れ、それ以上走るなら普通のハイブリッド車と同じくガソリンを使うという乗り物。日本勢はもちろん、BMWもベンツもVWもGMも、続々とPHVを出し始めた。なぜ世界的規模でPHVなのだろうか?あまり知られていないことながら、欧州は自動車メーカー毎に二酸化炭素の排出規制を課している。また、アメリカでも『ZEV法』と呼ばれる、電気自動車促進のための規制が施行され、純粋なガソリン車やディーゼル車では要求されるスペックをクリア出来ない。かといって純粋な電気自動車は、航続距離に課題を抱えてしまう。
PHVであれば欧州のように二酸化他炭素規制が行われる地域だと燃費を伸ばせ、電池を多く積むことによりアメリカのZEV法もクリア出来るという寸法。ちなみに現時点で最も売れているのは、ここにきて話題となった『三菱アウトランダーPHEV』(燃費計測の法令違反ながら、不正表示は無し)。以下、どんなクルマなのか紹介したい。
アウトランダーの50km走行時の電気料金は約120円
PHVは燃費がよく、お財布に優しい
アウトランダーPHEVの場合、50km程度までなら完全なる電気自動車として使える。50km走る時の電気料金はおよそ120円。トヨタ・プリウスのように燃費良いクルマでも50km走るには240円掛かるし、マツダCX-5のディーゼルといった燃料コストの低いディーゼル車でも軽油代が300円ほど掛かってしまう。ちなみに充電時間は家庭用200Vで3時間半ほど。電気なくなると自動的にエンジンが掛かり、1リッターあたり15kmほど走るハイブリッド車として使える。例えば80km走った場合、電気+ガソリン2リッターを使う。欧州の二酸化他炭素規制だとガソリンの使用量だけで評価されるため、80km走って2リッター。1リッターあたり40kmだ。コンパクトカーより二酸化炭素排出量が少ない。
毎日20~100kmくらい走る使い方だと、満タンにするだけで2千kmくらい走れてしまう(タンク容量は45L)。また、アウトランダーPHEVは雪道も走れる4WDで、広いリアシートやラゲッジスペースを持つ。それでいて燃料代をほとんど気にしないで乗れるのだから嬉しい。燃費良い=お財布にもやさしいということです。
ベンツやBMWのPHVも基本的には全く同じ。ベンツC350eで30km程度。BMW330eが40km程度の電気自動車走行距離を確保している。ポルシェの高性能SUVもPHVを売りにしているのだから驚く。確かに近所の買い物などで使おうとすると、燃費悪いガソリンエンジンよりクリーンで滑らかな電気自動車の方が気持ちよい。
PHV人気をさらに広めると思われるのが、秋に発表される新型プリウスPHVである。アウトランダーPHEVと同等の電気自動車航続距離を持つ本格的なPHVとなっており、ニューヨークショーで先行発表され、トヨタのWebサイトも写真や詳細なスペックを公開した。普通のプリウスとデザインも大きく変えており、カッコ良い。
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