外傷による歯の欠損

毎日のメインテナンスを怠ってしまい虫歯が進行して抜歯せざるを得なくなってしまった。もともと永久歯の数が少なく乳歯が生え変わらないままであった。など長年の積み重ねで歯を欠損してしまう方が多い中、突発的に歯を失ってしまう方もいる。その多くは自動車事故や転倒など予期せぬ事故やスポーツによる激しい衝突などの外傷により部分的に欠損してしまうケースです。長年の蓄積による欠損と違い、外傷による欠損は年齢に関わらず発生してしまう為、若年層の方や見た目に気を遣う方には大きなストレスの原因となってしまいます。

治療の選択肢

失った歯を補う方法は入れ歯、ブリッジなど様々ですが、特に若年層の方の場合やスポーツで歯に荷重が掛かってしまう可能性がある方には、長期的に考えてやはり天然歯に近い機能と審美性、使い心地を持った歯科インプラントをオススメしたいところです。では実例をもとに治療の方法を説明していきましょう。

歯科インプラント埋入から仮歯の装着まで

事故による部分的な欠損を補うには周りの綺麗な天然歯に負担をかけないインプラント治療が効果的

事故による部分的な欠損を補うには周りの綺麗な天然歯に負担をかけないインプラント治療が効果的

危険なスポーツで大切な前歯を欠損してしまった20代女性。妙齢の女性にとって一番目立つ前歯を失ったことで大きなショックを受けられたことでしょう。今回は欠損箇所への歯科インプラントの埋入、骨量不足の箇所への骨造成術、手術の日から見た目を補える固定式仮歯の装着まで一度に行う「インプラント埋入即時荷重」という方法で行います。

まずはおなじみの歯科用3DCTで撮影しデータを収集。さらにインプラントシミュレーションソフトを使用して術前プランニングをしっかりと。そして当日装着する為の仮歯を事前に作成するためにシミュレーションプラン上でインプラントを埋入した位置にラボアナログ(口腔内の歯科インプラントの形状を再現した技工用のパーツ)を入れて仮歯の製作を。当日はプランをもとに最小限の歯肉切開剥離によりインプラントの埋入から骨造成までを行います。かみ合わせや隣の歯との接触具合を微調整してあらかじめ製作していた仮歯をセットして手術終了。手術後は数日後に埋入箇所の最終チェックを行います。

歯肉の退縮を想定した治療

歯肉の過剰な退縮を防ぐためにクリアタイプのプレートを装着

歯肉の過剰な退縮を防ぐためにクリアタイプのプレートを装着

術後約1週間。治療箇所の腫れも痛みもなく術後は順調です。ここから自然に歯肉が安定していくまでに若干の歯肉退縮が想定され、既にセットされている仮歯に咬合力が加わるとさらに退縮していきます。最終的なクラウンを装着する前に過剰な歯肉退縮を防ぐためには、咬合力が加わらないように仮歯の形態を調整する必要がありますし、保定用のプレートを即日製作して食事の時以外24時間装着してもらうという方法をとってもらうこともあります。装着するのはクリアタイプのハードプレート。マウスピースのようなプレートは生活上のストレスも少なく済みます。プレートを使用せずに矯正用のワイヤーで何本かの歯と固定する方法もありますが、見た目と清掃性においてデメリットがあります。

術後すぐの時点で歯肉が周りの歯とのバランスを考えて丁度いいくらい、もしくは既に不足するまで退縮しているようであればこの先さらに歯肉が不足して周囲との調和がとれない長い歯を装着するしか方法が無くなってしまいます。その為、しっかりと歯肉が安定するまでは退縮によるマイナス部分を想定して余分に残しておくか、既に不足していれば移植などにより増やしておかなければなりません。

外傷からのインプラント治療

外傷による歯の欠損の際には部分的に歯を失ってしまうだけでなく、顎の骨を骨折してしまうケースも考えられます。その場合はまず顎の骨の整復治療をし、その後インプラントの埋入へと進みます。顎の整復治療に半年から1年程かかる事もありますので、最終的なインプラント治療の完了まで時間を要する事が考えられます。しかし、歯科インプラント治療による天然歯に不足しない審美的な治療と食事をはじめとした生活の回復は一時の不安を簡単に乗り越え、毎日の生活を更に充実したものにしてくれることでしょう。アクシデントは誰にでも起こり得ます。万が一遭遇してしまった場合には、まずは専門医のもとで安心するまで相談し早期の回復をするための治療計画を立ててもらう事から始めましょう。
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