原油価格が上昇反転

原油価格は10週移動平均線が40週移動平均線を上に突き抜ける上昇転換に

原油価格は10週移動平均線が40週移動平均線を上に突き抜ける上昇転換に

5月16日のWTI原油先物7月物価格は1ドル52セント上昇し、47.72ドルと、2015年11月以来の高値を取りました。すでに2月につけた12年来安値からは8割も上昇しており、長期週足チャートでは明確に200日移動平均線を超えて上値追い態勢を鮮明にしてきました。間もなく10週線が40週線を下から突き抜け、(長期)上昇転換したと見ます。これを好感して昨日の米国市場では、エネルギー株が軒並み大幅高ともなりました。

少し前まで、原油価格の短期上昇トレンドは一時的と弱気に見ておりましたが、ここで見方を変えて行く必要あります。ただし長期上昇転換すればこのあとも一直線に上昇するとは限らず、むしろ50~60ドルあたりは長期に渡り揉み合いの続きそうなレベルで、100ドルに戻ることは(かなりの長期間)ないのではないかと思います。仮に長期間揉み合った後に65ドルを超えてくれば、今度は真空地帯を進むように一気に100ドルへ戻る可能性はあると思います。いずれにせよ2月を最安値として底打った模様です。

ドルの動きを見ると原油価格の動きがスッキリと分かる

ここに来て原油需給が引き締まり、好転に向かうとするレポートが複数の有力機関より出てきております。ブルームバーグの記事によると、モルガンスタンレー、バークレイズ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマンサックスなどが供給過剰の改善を指摘しました。カナダ西部の山火事に加え、ナイジェリアで軍事攻撃によってパイプライン網が機能停止に陥り、同様の混乱がリビア、ベネズエラなど他の産油国にも見られます。

政情不安な産油国ではよく起こりえることですが、最大の産油国である米国の生産量も昨年後半から徐々に減っている事実もあります。依然として現状の在庫は高水準なのですが、近い将来需給が均衡するとの見方が相次いで出ています。ナイジェリアは3割の減産に繋がると表明しました。

IEAはインドをはじめとする新興国の需要が旺盛で、今年上半期は思ったほど供給過剰にはならないとの見通しを先週に発表しました。以前、原油価格を最も弱気に見ていたゴールドマンサックス社は、遂に需給バランスの是正が始まったとし、2015年のターゲットプライスを$38.40から$44.60へと上方修正しました。
ドルインデックスは原油価格の上昇と時を同じくして下落

ドルインデックスは原油価格の上昇と時を同じくして下落

このように原油トレーダーやアナリストは、当然ながら最新ニュースから「需給」に注目して市場見通しを立てる訳ですが、様々なニュースやデータを遮断してドルにだけ注目してみると、よりはっきりした事が分かるのではないでしょうか。上は週足3年のドルインデックスチャートです。先の原油チャートと比べると、要所で時を同じくして反転しています。

ドルが急上昇に転じたのが14年の7月で、原油急落の始点と一致します。そして2015年12月の利上げを経て、逆に2016年1月からまさかのドル安&金利低下、という予想外の方向に進み、同じタイミングで原油も反転に舵を切った事が分かります。一般論では、商品価格はドルで測られた価値でありますので、ドルの価値が下がれば、自動的に対価である商品の価値は上昇することになります。

ドルと原油を見れば日経平均がわかる

ドルと原油は世界経済に大きく影響。それを操る米国の動向に注目しよう

ドルと原油は世界経済に大きく影響。その2つに多大な影響力を持つ米国の動向に注目しよう

止まらぬ原油安、何が問題?日本株への影響は?
など、何度か原油と米ドルが世界経済や日本経済に与える影響の重要性についてたびたび言及してきました。ソビエト連邦を崩壊させた真の原因は、1980年代半ばに原油価格が突然3分の1に暴落し、そのまま安値推移し続けたことにあると見ています。今回の原油安が深まったタイミングは、ロシアがウクライナに侵攻し、イスラム国(ISIS)が勢力を拡大させた頃とも一致します。二国とも資金源は原油の売上であり、大人しくさせるには原油安が一番効きます。最近イスラム国の制圧地は大きく縮小してきたとも聞きます。

日本もこれら2つに多大な影響を受けてきました。1985年9月に1ドル=250円が突如150円へと向かったプラザ合意がありました。このパラダイムシフト(超円高)によって本来大不況となるはずだったところ、偶然時を同じくして、(円高を受け入れる)交換条件のように原油価格が半年で3分の1になりました。

当時の日本企業は海外生産など始めておらず、原材料を海外から輸入して国内生産していましたので、「超円高+原油暴落」で企業の製造コストは劇的に下がり、円高によるマイナス効果を超えるメリットをもたらしました。結果、(円高で輸出減少どころか)1986年に過去最高の貿易黒字を計上したのでした。本当は為替と原油の水準が変わっただけなのに、企業自身の合理化努力によって超円高を乗り切ったと見られたのです。実力以上に日本企業の力を過大評価した思い込みが1986年よりバブル経済・相場に移らせた要因の1つだと思います。また急激な円高は輸入品消費を助長し、エネルギー安で浮いた家計費も消費を盛り上げる特需を生みました。

トランプ大統領誕生となれば、ドル安(=円高)に要注意

ドルと原油に最も影響力を持つ国は勿論、ドルの発行権を持ち、最大の原油生産&消費国で、サウジアラビアにも影響力を持つ米国です。ドルと原油さえコントロールすれば、世界経済を操れると思います。唯一のスーパーパワーを持つ覇権国の特権ではないでしょうか。これは仮説ですが、ドルと原油価格には何らかの米国の意思があると見て眺めて行くと、意外に世界の政治・経済動向がすんなり繋がるように思います。

いずれにせよ、日本はドルと原油に絶大な影響を受けます。アベノミクスという経済政策で日経平均は8,000円台から21,000円になりましたが、要は日銀緩和を通じた「円安政策」に過ぎないのです。為替レートが変わっていなければ、幾ら政策をフル動員しても企業は最高益を更新できていないでしょうし、突如円が人民元に対して大幅に安くなっていなければ、爆買いも生じていなかったと思います。また1ドル=120円台で原油が100ドルのままだったら、日経平均は大きく上がらなかったかもしれません。ともあれ、今回は「円安&原油安」という良い所取りによって日経平均は2015年前半に2万円を超える事ができましたが、円安トレンドが終了すると主要市場で今年最も大きく下がっているのが現状です。つまり日本経済はドルと原油に極めて大きな影響を受けます。トランプ大統領誕生すれば日経平均はどうなる?でも書きましたが、今後、トランプ大統領が誕生すれば、ドル安に傾く可能性があり、それは円高につながれば、原油高にもつながりますので、日本株には大きなマイナスになる可能性があります。

参考:日本株通信


※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

【抽選で10名にAmazonギフト券1000円分プレゼント】All Aboutで「お金」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※2021/12/1~2021/12/31まで

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。