ホンダ流ネオクラシックバイク CB1100
バイク業界でネオクラシックブームが巻き起こっているのをご存知でしょうか?スタイルはクラシックですが、エンジンや足回りには最新の技術が採用され比較的運転しやすいセッティングになっているので、リターンライダーにも人気のジャンルとなっています。
日本を代表するネオクラシックバイクと言えばヤマハのSR400やカワサキのW800があげられますが、2010年にホンダが発売したのが、今回試乗インプレッションをお届けするCB1100です。
時代に逆行するように空冷エンジンを搭載
近年はますます環境規制が厳しくなってきているので排気ガスをクリーンにしやすい水冷エンジンが採用され、空冷エンジンを採用するバイクは減ってきています。
空冷V型エンジンを搭載していることが当たり前だったハーレーダビッドソンが水冷エンジン搭載のバイクを発売し、また空冷エンジンを積んだクラシックバイクの代表格といえるトライアンフボンネビルシリーズが水冷エンジンにモデルチェンジするなどが一例です。
しかしホンダは看板ともいえるCB1300SFの水冷エンジンをベースにしながら、新型空冷エンジン搭載バイクをリリースしてきました。
デザインもホンダファンなら往年のCBシリーズを髣髴させるデザインを採用しており、まさにホンダ流ネオクラシックバイクといえる一台と仕上がっています。
2014年には、さらにクラシックなテイストを強めた兄弟車両のCB1100EXをリリース。エンジンも熟成され5速から6速化されました。CB1100EXは以前に試乗インプレッションをお届けしていますが、今回はCB1100を二週間、その後にCB1100EXを一週間お借りしました。
では、冒頭の写真で着ているブラストライダースジャケットも紹介しつつ、CB1100の基本性能と前述の2モデルの違いを比べてみたインプレッションをお届けします。
CB1100の足つき性、燃費は?
広報資料には750cc並みの重量とコンパクトで足つき性に優れたサイズを実現したとありましたが、かなり重いと感じました。
最近試乗した1000ccクラスのバイクの重量を調べてみると、
- カワサキ・Z1000/220kg
- ヤマハ・MT-09/188kg
- スズキ・GSX-S1000/214kg
- ホンダ・CB1100/244kg
最近は軽量なストリートファイター系車両が流行ということもあり、同クラスのバイクと比べると乗り比べると重い印象があります。
しかし逆にストリートファイター系車両はシート高が高い車両が多く、前述した三台も同様です。それに対してCB1100は765mmと低めなので、街中でのストップ&ゴーは非常に楽に感じました。
兄弟車両のCB1100EXはシート高が20mm高い785mmに設定されていますが、身長が160cm以上の方であればどちらの車両に乗っても足つき性は問題ありません。
CB1100の燃費は実測で18.34km/Lでしたが、メーターに標準装備されている燃費計の表示は18.5km/Lだったのでかなり精度は高そうです。
ちなみに後から一週間試乗したCB1100EXの燃費は17.8km/Lと若干CB1100を下回りましたが、カタログスペック上もCB1100の方が燃費は良く表記されています。
CB1100の細かい装備が汎用性を高めている
CB1100には最近の車両には装備されることも少なくなったヘルメットロックが装備されています。またリアフェンダーレールには荷掛けフックが四箇所装備されリアシートへの荷物の積載が容易になっています。
ヘルメットロックは社外品も販売されていますがメーカー純正のヘルメットロックはメインキーで開閉することができるので便利です。
またクラッチレバーとブレーキレバーは位置が調整できるようになっているので私のように手が小さいライダーには重宝します。
CB1100の乗り心地は?CB1100EXとの違いとは?
乗り始めてすぐに「これはツーリングには最高のエンジンだ」と感じました。6速に入れて80km/h巡航するとエンジンの回転数はわずか2000rpm。100km/h巡航しても3000rpmも回っていないのです。
エンジンを高回転にすれば音も大きくなりますし振動も大きくなります。しかし一般的な高速道路の巡航速度でも2000rpm~3000rpmしか回らないのでライダーに対する負担を減らします。
しかも低速からのトルクが太く、下道を制限速度で走る分には2000rpm以上は使いませんし、4速の守備範囲が広いので下は20km/hぐらいまでスピードが落ちてもギアを変えることなく走行することが可能です。
また、兄弟車両のCB1100EXはCB1100と比べて車重が13kg重いのですが、重量の差の大きな要素はマフラーの違いです。CB1100EXは二本だしマフラーを採用した事で重量と最高出力はアップしましたが、最大トルクは若干ダウンしてしまいました。結果的にCB1100の方が軽快に仕上がっています。
重めの車重や18インチタイヤが抜群の安定性を生み出す
CB1100は前後タイヤサイズに18インチを採用しています。旋回性能を求めれば17インチタイヤを採用するのが定石ですが、インチ数が大きい方が直進安定性には秀でています。また車両重量の重さも、その安定性を支えています。最近流行の車両はハンドル位置も低めになっていますが、CB1100はアップポジションを採用しており手が短い私でもポジションにはゆとりがありました。
CB1100EXはガソリンタンク容量が3L多く設計されていて、ちょうどニーグリップする部分が若干太めで膝が開き気味になりましたが、CB1100だとピッタリとフィットする感じです。
ブラストライダースジャケットは意外と涼しい
CB1100のインプレッションに合わせてお借りしたブラストライダースジャケットは、20度を下回る4月・5月の朝晩だと、下にTシャツだけでは若干寒いほど。26度ぐらいの日だと、ベンチレーションをあけることなく快適だったので、意外と涼しい印象でした。しっかりと肩・肘・背中にパットが入っていますが、シルエットがかなり細めになっている事もあり、先日お借りしたスーパーシェルジャケットと比べても見た目的にバイクウエア感は強い印象です。
シルエットは細めですが、動きを妨げない立体裁断になっているので動きにくさは皆無でした。
プロテクターを簡単に外すことが出来るようになっており(つけるのはコツがいる)、外してしまえばシルエットも一般的なブルゾンと同じような感じになりました。プロテクションジャケットを日常着として落とし込んだコンセプトのようですが、プロテクターを外してしまえば日常着と言っても過言ではないでしょう。
右腕の部分にはクラシックなホンダエンブレムが入っておりCB1100のようなクラシックバイクにはピッタリの一着です。
サイズ感ですがMサイズを身長165cm、体重63kgの私が着ると厚めのパーカーなどを着てしまうとかなりパツパツになってしまいそうでした。
下にTシャツや薄手のインナーを着るとちょうど良いぐらいです。
見た目も走行性能も今っぽくないが、それが良い
さすがに1100ccの四気筒エンジンを搭載しているバイクなので、高回転までまわして走れば圧倒的な加速感を体感することができます。しかし、普通に町のりで走っていると「まったり」という言葉がピッタリのバイクです。ライダーの高齢化が進んでいるといわれている昨今。どうしても軽量なバイクが評価されやすい傾向がありますが、走り出してしまえばこれほど楽だと感じるバイクもなかなかありません。
CB1100とCB1100EXのどちらを購入しようかと悩む方もいると思いますが、個人的にはCB1100の方をお勧めします。CB1100EXよりも車両重量が軽く若干秀でているトルクや狭いタンク形状が乗っていてしっくりきました。
ツーリング用途としては、CB1100EXの方がガソリンタンク容量が3L多く、幅広で厚めのシートは長時間座っていてもお尻が痛くなりにくいですし、荷物も積載しやすいのでお勧めです。
CB1100少しカスタムするなら
足つきは良いのですが重量は重いCB1100。立ちゴケが怖いならエンジンガードがお勧めです。左右セパレートタイプのハリケーンのエンジンガードは見た目も悪くありません。
CB1100はアップハンドルでポジションが楽ですが高速道路での連続走行時には風による疲労が気になるところ。シックデザインのガイラシールドは角度調整ができるので自分にあった取り付け位置に調整することが可能です。
CB1100はリアフェンダーレールに荷掛けフックが四箇所装着されているのでリアシートにかなりの荷物を積載することが可能ですが日常使いするならリアキャリアとリアボックスは装着したいところです。
CB1100関連リンク
■CB1100のエンジン音やマフラー音・各部詳細の動画
■CB1100EX試乗インプレッション