これでいいのかと思いつつ、恋愛への熱意はない
男友だちや仕事仲間がいればいい?
「男友だちはいるんですよ。だから恋愛しなくてもいいか、という気もしてる。恋愛はめんどうですから。その半面、このままでいいのかなとも思う。ずっとひとりで死ぬまで暮らしていくのかと思うと、ときどき涙が出てきます」
そう言うのは、カオルさん(42歳)だ。正社員として定年まで働き続ければ、ぎりぎりなんとか暮らしてはいける。両親はすでになく、実家マンションでひとり住まいだ。ただ、マンションも築30年。今さら買い換えもできない。
それ以上に彼女が気にしているのは、あまりに恋愛不足な現状だという。
「30歳前後までは恋愛してたんですけどね。それからはまったく気配もない。はっと気づいたら、10年恋愛していなかった。気楽でいいけど、やはり寂しい。何かあっても心から心配してくれる恋人がいないなんて……」
とはいえ、今さら結婚する熱意はあまりない。
「男は面倒、女同士のほうが楽しい」の真意
妻としてふさわしいかを判断基準にされることに齟齬を感じる女性たち。
ミキさん(44歳)も、そう嘆く。女同士のほうが楽しいと、しょっちゅう女性たちで集まっているが、気づいたら独身が減っていき、今は20代、30代と女子会をやっているとか。
「もう少し経ったら、結婚している女性たちが子どもの手も離れて戻ってくるんじゃないかと期待しています(笑)。人生に変化がないのは私だけですが」
恋愛したい、でもしていないという女性は非常に多い。どうしても結婚したいなら、それなりに活動もできるのだろうが、恋愛したいだけだと相手も見つかりにくい。
「友だちが紹介してくれることもあるんですが、やはり相手はその先に結婚を見ている。だから『妻』としてどうかという目で見るんですよね。私は別に結婚ありきではないから、妻として試されているような気がすると、嫌になってしまう」
ミキさんはそう言う。年齢的にも、相手は「結婚」を見据えて女性を見る。そうなると、恋愛相手を探している女性との間には、大きな齟齬(そご)がうまれてしまう。
なぜ、目的が「結婚」でなければいけないのか
結婚ではなく、恋愛したい。それを分かち合えない男と女。
「今から恋愛できるかどうか」は、自分自身の気持ちが恋愛モードになるかどうかに加えて、とりあえず結婚ではなく、恋愛を楽しもうとする男性がいるかどうかという不安でもある。
「この年齢では、もう子どもがほしいとは思っていません。ただ、心を通い合わせることができる男性がいればいい。相手が既婚者でもいいけど、いざというとき既婚者はやはり家族を守るしかないわけで……。だからできればバツイチでもいいから独身がいい。かといって、すぐに結婚ということではない。お互いの親の問題とか家の問題を負担するのはむずかしいですしね。ただ、このあたりを理解してくれる男性は、なかなかいませんね」
マユミさん(45歳)は、せつなそうにそう話してくれた。
アラフォーから上の世代では、恋愛が必ずしも結婚へとつながらなくてもいいのではないだろうか。どちらか、あるいは双方が離婚経験者の場合もあるし、親の介護などで相手に負担をかけたくないと思っているケースもある。
家同士のつながりは否定しつつも、心寄り添えるような関係を求めている女性たちは増えていると実感する。離婚経験者も含め、現在、独身である男性たちは、そのあたりをどう考えているのだろうか。
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