2人乗りにも最適!原付2種スクーター ヤマハNMAX
新型原付2種スクーターを立て続けに4車種リリースして、合計5車種となったヤマハ。インターネット上とリアルの両方で「ヤマハ125祭り」を展開するなど、現在125ccスクーターの販売促進にに力をいれています。
先日、ヤマハの125ccスクータープロモーションのキーマンが菊池さんという女性だということを知り、取材に行ってきました。その時の模様はこちらの記事「仕掛人は女子社員!ヤマハ125ccの勢いが止まらない」でも取り上げましたが、菊池さん曰く、「NMAXは他の車両に比べて車格が大きく、二人乗りした時に窮屈に感じることはないけれど、適度に密着感があって良いからリア充の方に乗ってもらいたい!」のだそう。
私はスズキのアドレスV125を所有していますが、原付と車格があまり変わらないため、二人乗りすると若干窮屈な印象があります。付き合いはじめのカップルなど、窮屈が楽しめる状況ならいいですが、そうでなければ長距離は疲れてしまうかもしれません。それに対して、NMAXは車格が大きいので二人乗りには最適です。
サイズ的に二人乗りしても余裕がある車種と言えばNMAXの他に、ホンダのPCXがあげられます。この二台はライバルと言っても過言ではありません。ホンダもヤマハも複数の原付2種スクーターをラインナップしていますが、この二台に関しては価格も高めに設定されていて、装備も豪華になっている点もライバルと言えるポイントです。
スクーターの心臓ともいえるエンジンもPCXがホンダが誇るeSPエンジンを搭載しているのに対して、NMAXもヤマハが誇るブルーコアエンジンを搭載しています。ライバルと言われることも多いホンダとヤマハ。はたしてNMAXの走行性能はPCXと比べるとどうなのか?今回も一週間きっちりとNMAを通勤で試乗してインプレッションをお届けします。
まずはNMAXの装備をチェック
他の車種と比べた時にNMAXの圧倒的な強みは?と問われればABSを標準装備していることです。通勤や通学などの日常的な足として使われることの多い原付2種スクーターこそABSのような安全装備は歓迎したいところ。
ヘッドライトはPCXと同じくLEDヘッドライトを装備。PCXのインプレッションの際にも感じたとことですが、原付2種クラスのLEDヘッドライトは明るさという面では一般的なバルブと大差ないように感じます。
消費電力の大きいヘッドライトをLED化にして省電力を抑えることで燃費を向上させることが目的のような気がします。ただし光の色は一般的なバルブに比べて青っぽい光源です。黄色っぽい一般的なバルブに比べてカスタム感があります。
テールランプも同じくLEDを採用していますが、なぜかウインカーは一般的なバルブを採用しています。どうせならPCXと同じくNMAXも全ての灯火類にLEDを採用してほしかったところです。
シート下トランクの容量は24L。PCXは25Lですので比べると数値上は若干狭いことになりますが、どちらの車種も底が浅くフルフェイスヘルメットを納めるにはスペース的に厳しい印象です。
フロントハンドル下には500mlのペットボトルが納まるスペースがありますが、PCXには装備されている充電用のアクセサリーソケットがNMAXには装備されていません。
使い勝手の面で見ればシートを空けた時に途中の位置で固定できるストッパーがついていたり、純正のリアボックスを簡単に装着できる設計になっているなどNMAXよりもPCXの方が優れている印象がありました。
一週間の試乗ではNMAXの燃費は36.6km/L。PCXで同じ経路を走行した際には40km/Lを切ることがなかったので燃費もPCXの方が優れており、タンク容量もPCXの方が大きい8L、NMAXは6.6Lなので連続航行距離の面でみてもPCXの方が優れています。
装備面で見るとABSを搭載しているNMAXに安全性で軍配が上がり、燃費やタンク容量、アクセサリー装備など使い勝手ではPCXに軍配が上がる状況です。それでは実際の走りではどちらに軍配が上がるのか?NMAXで走ってみました。
NMAXはMAXシリーズの血をしっかりと受け継いでいる
ヤマハにはMAXが名前に入っている車両がNMAXを入れて三台あります。530ccのスポーツスクーターTMAX、そして海外ではSMAXという名称のマジェスティSです。どちらの車両もスポーティーな走行性能に重きを置かれており、快適性を追求したコンセプトではありません。
NMAXもしっかりと走行性能に重きを置いたコンセプトになっています。アクセルを回した瞬間に一気にエンジンの回転が上がり、パワーバンドに入る感触はSMAX、TMAX譲りのものを感じます。
ただし、そこはヤマハが誇る名機ブルーコアエンジン。高効率燃焼、ロス低減などに徹底的に力をいれ、更に低速向けカムと高速向けカムが切り変わる可変バルブ機構などを採用したことにより燃費はかなり向上させてきました。
4代目になって加速性能を向上させた同社の125ccスクーター、シグナスXに試乗した際の燃費は31.48km/Lでした。それと比べると燃費性能に優れていますし、前述したようにアクセルを開けた瞬間にエンジンがシャープに吹け上がりますので「これだけエンジンをぶん回してもシグナスXよりも燃費がいいのか。」と感心しました。
足回りも兄貴分のマジェスティS(SMAX)が若干硬めであるのに対して、NMAXは街中での乗り心地を重視した柔らかめセッティングで乗り心地は良好です。
また乗り心地が良好なだけでなく、前後サスペンションがしなやかにストロークするので、コーナリングなどの際にもフロントフォークがしっかりと沈みこみ車体を倒しやすく、原付2種スクーターとしては大径の13インチタイヤを採用しているのもスポーティーなハンドリングに好影響を与えています。
一週間の通勤試乗中にABSを作動させるような急激なブレーキングはしませんでしたが、前後ディスクブレーキを採用しており制動力は充分でした。
走りは100点満点!装備はさらなる進化を期待したい
ライバルのPCXは一度目のマイナーチェンジでエンジンを変更し、二度目のマイナーチェンジ時には全灯火類にLEDを採用すると共にタンク容量をアップしてきました。リリース後に熟成を続けてきたPCXの完成度が高いのは当たり前と言えます。しかし、現時点で見ても走行性能という面で見ればNMAXの方が優れているような印象があります。
どちらもトータルバランスに優れていますが、NMAXが走行性能、PCXは快適性能という印象。PCXは発売以来ヒットを続けていますが、NMAXも人気車種になりそうな予感です。
ノーマルの状態では走りのヤマハ、快適性のホンダという印象ですが、あくまでこれはノーマルでの話。どちらもアフターパーツメーカーが力を入れて開発しています。アフターパーツの豊富さは自分らしい一台に仕上げる楽しみもあります。
PCXも人気車種だけにマイナーチェンジは続けていくと思いますし、NMAXの今後のマイナーチェンジにさらなる期待感を抱かずにいられません。
NMAXちょっとカスタムするなら
NMAXの純正スクリーンは風防効果的にはイマイチ。長距離を走ることが多いライダーはロングスクリーンをおすすめします。
NMAXはシート下容量が少ないので、リアキャリアとリアボックスで容量を増やしたいところ。社外ではキジマさんからリアキャリアが発売されていますが、価格的にはあまり変わらないので純正のアルミダイキャストリアキャリアがおすすめです。
NMAX関連リンク
■NMAXのエンジンオンはこちらの動画でどうぞ■ライバルPCXのインプレッションはこちら