マイナス金利導入なのに日経平均が上がらない理由とは?

マイナス金利自体にはそれほど大きな効果はない!?その理由とは

現状のマイナス金利自体にはそれほど大きな効果はない!?その理由とは

日本銀行は2016年2月にマイナス金利の導入を発表しました。このことを受け長期金利は劇的に下がりました。そして、為替も発表直後こそ円安になりましたが、すぐに円高に急転換し、2016年4月にはついに1ドル=108円を割り込みました。そしてこの影響を受け、日経平均も1万6000円割れとなっています。

マイナス金利が導入されて金利がマイナスになったら銀行は日銀に当座預金として預けているだけで金利を取られてしまうのだから、結果的には貸出しが増えて景気が良くなって株価は上がるんじゃないの?と思われる方も多いと思います。しかし、今現在起こっているのはそれと真逆のことが起こっているわけです。そこで、ここではどうして、そのような事になっているかを考えてみたいと思います。

実際にマイナス金利が適用されるのは当座預金の中のごくわずかの部分

まず、マイナス金利について考えてみましょう。マイナス金利とは銀行などの金融機関が日銀に預けている当座預金の金額にマイナスの金利をつけるというものです。当座預金に積み上げているとマイナスの金利がつけられて損をするため、金融機関が貸し出しなどを活発に行って市中に資金を供給するようになるとする狙いがあります。

もっとも、全ての当座預金にマイナスの金利がつくのではなく、3段階の階層構造に分かれます(これはECBのやり方を参考にしているとのこと)。簡単に書きますと、まず、日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければいけない最低金額(=所要準備額=約9兆円)などについてはこれまで通りゼロ金利が適用されます。次に、2015 年1月~12月における平均残高(=基礎残高=約210兆円)までの部分にも、これまで通り+0.1%のプラスの金利がつきます(ちなみに、もともとこの部分には金利はついていなかったのですが、2008年の金融危機後に金融機関を救済するため時限的措置で金利を付けていたものが今も続いています)。そして、日銀が銀行に年間約80兆円のペースで供給する異次元の金融緩和による当座預金の増加については(=マクロ加算残高)、3か月の頻度で適宜見直しがあるとありますが、このままでいけばゼロ金利が適用される見通しです。そして、これらの部分を上回る部分(政策金利残高=2016年2月末時点で10兆円程度)には▲0.1%のマイナス金利が適用されるというものです。
マイナス金利三階層の図(日銀HPより引用)

マイナス金利三階層の図(日銀HPより引用)

したがって実際にマイナス金利が適用されるのは当座預金の中で一部(政策金利残高のみ)であり、インパクトは思ったほどには大きくありません。確かに、マクロ加算残高や基礎残高にまでマイナス金利を適用すれば、それこそ景気は一気によくなると思います。どこまでマイナス金利の適用範囲が拡がるか分からないので、少しでも当座預金残高を減らすために銀行は不動産などへの貸し込みを加速させる可能性があるからです。しかし、それは同時にバブルの発生(そして崩壊)を引き起こす可能性が高いと思われるため、なかなか踏み込めないと思います。

現状のマイナス金利ではあまり効果がない

したがって、今後の金融緩和局面ではマイナス金利の金利幅だけを拡大することになると思いますが、適用部分は少しですので、経済に与えられるインパクトは思われているほどには大きくないと思います。むしろマイナス金利導入でマイナスとなった長期金利がさらに下がって銀行や保険会社などの収益へのダメージを大きくしてしまうマイナス面が大きいと思います(低利の預金でお金を集めて、高利で貸すのが銀行の商売ですので、銀行収益の源泉は短期金利と長期金利の差(スプレッド)となります。マイナス金利の導入で銀行株が下がったのはマイナス金利自体が収益に与えるダメージというより、長期金利の下落にあります)。

たしかにマイナス金利導入で長期金利はマイナスになり、住宅ローンなどの金利は若干下がったかもしれませんが、影響は限定的です。そして結局のところ、マイナス金利は景気に大きな好影響を与えられるほどの領域には踏み込めないものだと思います(マクロ加算残高や基礎残高まで適用範囲を一度でも拡げてしまうと、バブルになってしまう可能性が高いので)。日経平均1万6000円割れ!株安が止まらない理由とは?でも書きましたが、現在起こっている急激な円高と株安の背景には、黒田バズーカ第2弾と年金筋が引き起こしたバブルの反動だと思います。つまり、このあと追加緩和ということで、マイナス金利の幅を0.1%から0.2%とか0.3%まで引き下げてもあまり効果はないのだと思います。

参考:日本株通信

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