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家計の金融資産額は過去最高の1741兆円に

2015年12月末の家計の金融資産額は1741兆円になりました。現在の統計で遡れる2005年以降で過去最高の2015年6月末の1734兆円を上回りました。ただ、2016年に入り株価が下落していることから、3月末の金融資産額が2015年末を更新する可能性は低いようです。昨年末の状況を見て行くことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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家計の金融資産額は過去最高額に

貯蓄額は増えた?減った?

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2016年3月25日、日本銀行が2015年12月末の資金循環統計を発表しました。資金循環統計によると家計の金融資産額は1741兆円となり、2015年6月末の1734兆円を7兆円上回り、半年振りに過去最高を更新しました。

1年前の2014年12月末と比較すると金額で29兆円、増加率は1.7%となっています。年間同月比の増加率は2期連続して1%台と2015年前半の4%台よりかなり鈍化しています。昨年後半以降、円安・株高という流れ止まってしまったことが鈍化の要因と考えられます。

企業の金融資産も1117兆円、2014年12月末比では4.4%の増加となり過去最高を更新しています。企業の現金・預金は前年末比で7.9%増加、246兆円となりやはり過去最高を更新しています。現金・預金の残高がかなりあることから、日本銀行がマイナス金利政策を導入しても、企業は積極的に借り入れを行う必要はなく、手待ち資金で設備投資などは賄うことが出来ると言えるでしょう。

それでは、家計の金融資産額の内訳を見て行くことにしましょう。

株式等の増加率は鈍化

これまで家計の金融資産の増加に貢献してきた株式等の増加率は鈍化傾向にあるようです。金額は169兆円となりましたが、増加率は2014年12月と比較すると2.9%の増加に留まっています。2015年7~9月の3カ月はチャイナショックの影響で前年同月比でマイナスとなったことから回復をしたと言えますが、アベノミクスが始まった以降は度々二桁増を達していたことを考えれば物足りない気がします。

2016年は年初から株価が低迷していることから、2016年3月期は再び株式等の増加率はマイナスに転じる可能性が高いと考えられます。ちなみに、2015年1年間の株式等の評価額の上昇分は8兆円程度だったようです。また、株式等が全金融資産に占める割合は9.7%に過ぎません。

同じ投資型商品でも投資信託は2014年12月末と比較すると4.1%の増加になっています。チャイナショックがあった時期もプラスを維持していることから、株式等と比較すれば堅調と言えるでしょう。ただ、増加率は2015年7~9月期と比べて鈍化していおり、また増加率は2期連続して1ケタ台に低迷しています。それまで二桁増が当たり前だったことを考慮すれば、家計の投資に対する姿勢は積極的なものから慎重姿勢に転じたのかもしれません。

債券(債務証券)は減少率がさらに増える

株式等、投資信託は増加が鈍化に留まっていますが、減少が止まらないのが債券です。対前年同期比でマイナスが継続しているうえ、2015年4~6月期からは二桁の減少率が3期連続しています。2015年12月末の減少率はとうとう11.5%と11%を超えています。好条件の債券が発行されないことに尽きますが、2016年は減少にピリオドが打たれるかもしれません。

マイナス金利の影響で預貯金金利が大幅に低下。個人向け国債は最低保証金利が決められているため、相対的な魅力度が増しているのです。事実、2016年2月募集の個人向け国債の募集額が増え始めているからです。今後に注目と言えそうです。

堅実なのが現金・預金です。増加率は2014年12月末比1.3%と鈍化していますが、残高は902兆円ちなり過去最高の水準です。増加率が鈍化しているのは、収入が増えない一方、緩やかな物価の上昇が続いていることから支出が増えていることがその要因と考えられます。

2016年3月期の家計の金融資産額は株安などを背景に減少しそうですが、まだ1年の4分の1が終了したに過ぎません。残り9カ月でどこまで増やせるのか興味は尽きません。皆さんの家計は2015年1年間でどれだけ金融資産額を増やすことが出来ましたか。合格点は増加率1.7%以上です。

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