首都圏では大地震だけでなく、大規模水害の発生も懸念されています。

国の中央防災会議は2007年から2009年にかけ、「荒川の洪水氾濫時の浸水想定」「利根川の洪水氾濫時の死者数・孤立者数」「荒川の洪水氾濫時の死者数・孤立者数」「荒川堤防決壊時における地下鉄等の浸水被害想定」などを公表していました。

公表当時はマスコミなどで大きく取り上げられて話題にもなったのですが、いま現在これを意識している人はどれくらい存在するでしょうか。そのような想定が公表されたことも覚えていないという人が多いかもしれません。

被害想定は「どこで堤防が決壊するか」によって大きく違うため一概にはいえませんが、東京都内でも一部では5メートルもの浸水が予想されるほか、銀座や丸の内などの都心部でも1~2メートルの浸水に達するケースがあるようです。

「利根川首都圏広域氾濫」のケースでは浸水区域内人口が約230万人に達し、死者数は約2,600人、孤立者数は最大約110万人とされています。また、「荒川右岸低地氾濫」のケースでは地下鉄などの浸水被害が17路線、97駅、約147キロメートルに及ぶと想定されました。

河川の氾濫だけでなく、「東京湾高潮氾濫」では約7,600人の死者数も想定されています。

被害想定の公表当初には、最悪の被害が数百年に一度、あるいは1000年に一度起こるようなものであることも強調されたため、その報道をみた首都圏の人があまり身近な話として考えることができなかった側面もあるでしょう。

しかし、「1000年に一度」とされる東日本大震災を経験し、2015年9月に起きた鬼怒川などの氾濫による被害の記憶も新しいこの時期に、首都圏における大規模水害の被害想定にしっかりと向き合うことが必要だと感じられます。

大規模な浸水被害が想定される区域に、ほとんど対策を施していないような建売住宅や注文住宅が現在も建てられ続けていることは、しっかりと考えていかなければなりません。

中央防災会議なども想定を公表して終わるのではなく、継続的に繰り返し住民向けの情報を発信していって欲しいものです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年11月公開の「不動産百考 vol.17」をもとに再構成したものです)


関連記事

都市型水害に強い宅地を考えたい
海抜ゼロメートル地帯の家

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。