プレミアム性をさらに高めたMINIコンバーチブル

MINIコンバーチブル

2014年に登場した3ドアモデルをベースとしたプレミアム・コンパクトオープン。クーパー(342万円)、クーパーS(397万円)、ジョン・クーパー・ワークス(483万円)をラインナップする


MINIは“小さな高級車”だ。3代目となった現行モデルも、3ドアハッチバックを皮切りに、5ドア、クラブマン、と、順調に派生モデルラインナップを増やしている。

3月2日=“MINIの日”に、さらにもう一台、仲間が加わった。コンバーチブルだ。

今のところコンバーチブルの日本仕様は、クーパー、クーパーS、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)の3グレード。ワンの設定はなく、MTもJCWでしか選べないことから、コンバーチブルではプレミアム性をさらに高めていると思う。事実、クーパーとクーパーSには、上級モデル並みの装備や仕様が用意されており、プレミアム・コンパクトカーの新たなスタンダードを築いたと言っても過言ではない。

MINIコンバーチブル

可変バルブ制御や直噴、ターボを備えた最新のMINIツインパワー・ターボ・エンジンを搭載。クーパーSに積まれる2Lターボは192ps/280Nmを発生する


メカニズムは、基本的に3ドアハッチバックと共通だ。可変バルブ制御のダイレクトイグニッションシステム、すなわちMINIツインパワーターボテクノロジーを採用した高効率で高性能なエンジンで、クーパーには最高出力136psの3気筒1.5Lが、クーパーSには192ps、JCWには231psのそれぞれ4気筒2Lが搭載されている。これらに組み合わされるのは、セーリングモード付きの6速ステップトロニック。前述したように、JCWでのみ6MTの選択も可能である。

ユニオンジャックのルーフも選べる新カスタマイズサービス

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丸形ヘッドライトや六角形のフロントグリルなどデザインアイコンを踏襲。先代より一回り(全長98mm/全幅44mm/全高1mm)大きくなった


コンバーチブル最大のポイントは、もちろん、そのソフトトップスタイルで、新型ではフル電動式となったことがニュース。しかも、時速30km/h以下であれば、走行中の操作も可能で、開閉に要する時間は約18秒だった。

新型用に開発されたソフトトップは、幌フレームのカバーが改良され、そこに高品質のルーフライニングとヒート機能付きリアウインドウが組み合わされている。さらに、このソフトトップにはスライディングルーフ機能も備わっており、どんな速度域においてもルーフを最大40cm、開けることができる。

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ソフトトップ生地に織り込まれたユニオンジャック模様。これまでのオプションに加え、素材やディテールにこだわったパーツがチョイスできるMINI Yoursデザイン・プログラムを用意した


もうひとつ、ルーフまわりで注目は、洒落たデザインのソフトトップの存在だ。MINIが今後、強力に推し進めようとしている新たなカスタマイズサービス、MINI Yours プログラムから提供されるもので、黒とグレーのヘリンボーン柄でユニオンジャックを手縫いで織り込んだファブリックを採用した。

これが、とんでもなくオシャレ。この幌欲しさに、ミニコンバーチブルが欲しい、という人が表れても不思議じゃない。

オープン化に伴って、車体はもちろん強化されている。アンダーボディの前後にはトーションビームを追加し、ロッカーパネルやエンジン下も強化された。それでも重量増は、ハッチバック比で約35kgに留まった。

ロールオーバープロテクションシステムの存在が、新型では外から全く判らないようにデザインされた。横転の危険を察知すると、トリガー機能によって、150mm秒以内にアルミ製フレームが飛び出す仕掛けになっている。

室内はより広く快適に

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インテリアはベースモデルと同様のデザインに。先代同様にルーフをオープンにしていた時間を表示するタイマーも採用、今回はセンターのモニターに表示される


インテリアの仕立てもまた、基本的にはハッチバックモデルと共通。旧型からの進化ポイントとしては、室内が広くなったことに加えて、バックドアとソフトトップ収納庫の遮音性が最適化され、オープン、クローズド、両方の場面でより快適な空間を実現できたこと。

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ラゲッジルーム容量は先代より約40L拡大。イージー・ロード機能も新たに備わっている


クーペと変わらぬトランク容量が確保されたことも、実用性を重視するユーザーにとっては朗報だ。クローズド状態では215Lを実現した。これは幌フレームを持ち上げてトランク容量を増やせるイージー・ロード機能を新たに開発したことによるもの。同時に積載口の面積も広がったため、荷物の出し入れも容易になるという嬉しい副産物も生まれた。オープン時のラゲッジ容量は160Lで、これでも旧型比25%の増量となる計算。

MINIのラゲッジスペースへは、通常、後に開くバックドアからアクセスする。これは最大80kgまでの重さに耐えられるように設計されている。また、50:50で分割、折畳みができるリアシートからもアクセス可能で、そこからスキー用具などの長物や大型荷物をラゲッジルームへと収納することもできる。
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前後調節可能域が大きくなり、後席へのアクセスも向上。クーパーSにはスポーツシートを標準装備

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先代と比べて横方向に約30mm、足元スペースを約40mm拡大し、居住性を向上させた


“これぞMINI”底抜けに明るいクルマに

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車両セッティングを好みに合わせて変更できるMNIドライビング・モードも備える


国際試乗会は、ロサンゼルスのダウンタウンを起点に、マリブのコーストラインへ向かう風光明媚なドライブルートで行なわれた。新色カリビアン・アクア・メタリックのクーパーS(6AT)がパートナーだ。

まずはロスの街中を、ドライブモードをグリーンにして、幌を閉めて走り出す。動き始めてすぐにアレっ? と思ったのが、乗り心地の硬さだった。

荒れた路面を幌クローズドで走ると、車体全体に突っ張った印象が残る。乗り心地はやたらとソリッドで、床は硬く、振動がすぐに収まらない。試しにオープンにしてみると、力みが取れたかのように少しだけ、乗り心地も和らぐ。

グリーンモードでは、アクセルペダルに抵抗があり、たくさん踏み込めないようになっている。そのうえ、とにかく早め早めのシフトアップで、小気味良く走った。50km/h以上では、積極的にコースティング。燃費がいいという実感が伴っていた。
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衝突軽減ブレーキや歩行者検知機能付き前車接近警告、アクティブ・クルーズ・コントロールなども装着。ステアリング操作を自動で行ってくれるパーキング・アシストも備えた


マルホランドドライブを駆け上るころには、平均速度もそれなりに増しており、フラットなライドフィールが逆に心地よくなってきた。スポーツモードにすると、スロットルやステアリング、ダンパーの特性が変わるため、まるで別のクルマに乗っているかのように、刺激的な味付けだ。

ゴーカートライクな走りのキャラは健在。“これぞMINI”、という走りのためなら、低速域における乗り心地の悪さなど、MINIファンにとっては不満でも何でもないだろう。乗り心地が普通になってしまうと、MINIらしさも失われるというわけだ。

ワインディングロードでみせた、フラットなライドフィールは、とても楽しいものだった。面白いようにノーズの向きが変わり、狙ったラインを一目散に最短距離でトレースする感じは、正にゴーカート。

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リアシート後方に配されたロールオーバー・プロテクション・システムは、先代よりコンパクトになり、さりげないデザインに。強化ウインドウシールドパネルと共に横転時に乗員を保護する


風の巻き込みもそれなりにあった。それが嫌ならオープンカーなど買うな、というわけだろう。クローズド状態での心地悪さも、幌を上げて走っておくれよ、というメッセージなのかも。なるほど、底抜けに明るいクルマであることは、間違いないようだ。
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