“もらってうれしくない”の不評をくつがえす絶品ういろう
名古屋名物・ういろう。もっちりした食べ応えや、ずっしりした重量感が名古屋人の志向にマッチしています。ところが、近年はネットのアンケート調査で「もらってうれしくないおみやげワースト1」に選ばれてしまうなど、その存在価値が揺らぎつつあります。地元でも、食べ慣れすぎてしまったせいもあるのか、お持たせはまだしも、自分で食べるために買う、という人は少ない気がします。
しかし、実は名古屋の人も、昔ながらの手作りのういろうの美味をあまり体験していません。今回は先のマイナスイメージを払拭する、土産物売り場では手に入らない、知る人ぞ知る絶品ういろうを紹介します!
産地は全国に。なぜ名古屋の名物に?
さて、お店紹介の前にういろうの基礎知識を。名前は店によって「ういろ」とも呼ばれます。発祥は室町時代。外郎(ういろう)を名乗った帰化人が伝えた漢方薬の口直しとして作られ、もともとは薬の方を「外郎薬」と呼んでいたのがいつしか菓子の名前に転化したと伝えられます(他、愛知県の生せんべいが元、など諸説あり)。全国各地で作られていて、九州・福岡には『ういろう伝来之地』の石碑が。外郎家が老舗として有名な小田原(神奈川)、京都、神戸、伊勢、山口などでも古くから作られていたとされます。
作り方・原料も様々あり、米粉に砂糖を加えて蒸すのが最も一般的。他、小麦粉やわらび粉を使うところもあります。
名古屋名物のイメージが広まったのは昭和39年の東海道新幹線開通がきっかけ。青柳ういろうが車内販売を行ったことで、名古屋みやげとして全国に届けられることになりました。今では全国生産の9割を名古屋を中心とした愛知県が占めています。ちなみに名古屋のういろうは米粉を主原料とするものがほとんどです。
つきたてのもちのように“もっちもち” 「菊屋」
昔ながらの手作りを守り続けているういろ。びっくりするのはその柔らかさ。つきたてのもちのように、まさに“もっちもち”。しかもみずみずしく、米粉のざらりとした舌触りをかすかに残しながら、口の中でとけていきます。そして、ほんのりとした米粉ならではの香りとともに優しい甘みが余韻を残します。種類は4種。最もシンプルにういろの醍醐味を堪能できる白、ひきたての抹茶の香りが上品な抹茶、淡く華やかな香りの桜、奄美産黒糖の深みのある甘みとコクがぜいたくな黒糖と種類は1年通して定番の4種のみ。価格は各430円といたって値頃です。
地下鉄・JR千種駅近くの、古い商店街と目抜き通りの交差する角にある、いたって地味で目立たない店ですが、ういろの味はどこにも負けない逸品です。
■菊屋
- 名古屋市中区葵2-14-21
- TEL052・935・3873
- 地下鉄・JR千種駅より徒歩5分
- 9:30~19:00
- 休業日 不定休
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