懸念材料だった原油と中国が共にリスクオン
リスクオン全開!桜が咲く頃までは上昇が続く可能性も
まず、中国に関しては全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が3月5日より開幕になっています。特に2016年は第13次5カ年計画の初年度であり、今後5年間の長期計画を審議する特別な年です。全人代開催中の株価急落は、政権への失望ととらわれやすく、中国政府は開催期間中の株価の下落を抑えようとする傾向があります。実際のところ、全人代前の景気下支え対策として2月29日には預金準備率の引き下げ(1年間で実に5度目の引き下げ)が発表されました。
一方、原油価格は生産量の減少に注目が集まっています。原油価格下落に伴う石油会社の度重なる設備投資縮小の結果、生産量は減少傾向を辿っています。米国で稼働する石油とガスのリグ数は前週より13減って489となり、統計開始半世紀以上で「過去最少」を記録しました。昨年までは幾ら原油価格が下がっても、まだ1年前に予約していた先物価格で売れる部分もあったので、大量生産を続けられましたが、いよいよヘッジも効かなくなり、米国の供給はタイトになっていきそうです。
200日移動平均線までの上昇が視野に
さらに3月4日(金)に発表された米雇用統計(2月)が非常に強い数字となったこともリセッション懸念を和らげ、原油相場を一段高させる事になりました。このところ米国では、月50万人ペースで労働参加者が増えており、近年ではみられなかったペースとなっています。米国の労働参加率は62%台前半まで長年下がり続けてきましたが、9月に底を打ってから「働く人」が増えてきています。働く意思のない人達は雇用統計にカウントされず、働きたくても職を得られない人のみが失業者となります。相場が2016年1-2月までのように下落トレンドの空気に支配されていれば、強い雇用統計は利上げを意味するとして株価は下がっていたでしょう。しかし今は短期的に上昇トレンド、リスクオンのムードが支配しており、強い雇用は経済の良好さを意味し、原油価格を引き上げ、それに連動する株価も上昇することになります。相場は人の心を映すものであり、実際の経済的事実より、それを見る時の心理状態が重要です。
ただ、最近の株高現象は、価格推移だけ見れば非常に強いのですが、出来高レベルは薄く、長期下落トレンド下における短期上昇の色合いの濃いものに見えます。上がっている株もファンダメンタルズが良いというより、散々打ちのめされてきたものが反発している様子です。それであっても今のリスクオンは桜の咲く頃まで十分続く可能性あり、過去にも、一見強く見えるも、良く見れば弱いという上昇が1~2月以上続いたことがあります。そのシナリオの場合、上昇の上限は米国ナスダック総合指数の場合200日移動平均線、日経平均の場合、75日移動平均線前後までとみています。
参考:日本株通信
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