「ゲーム機バキバキ事件」は、何故炎上したのか?
ゲーム機バキバキ事件
先日のバイオリニストの高嶋ちさ子さんの「ゲーム機バキバキ事件」が話題となりました。読んだ多くの方が「違和感」「不快感」を感じたのは確か。だから炎上が起こったのです。筆者もその1人で、読んだ瞬間に「これは違う」と思いました。違うと思った理由は、非常に大事な”ある叱り方のルール”に反していたからです。今日は、高嶋さんのケースを用いつつ、その叱り方のルールを心理学的に解説していきたいと思います。叱り方は奥が深い! 叱られているときに親が子供に伝えている”あるメッセージ”とは?
ゲームは依存性が高いゆえ、親は対応が難しい
「子供がゲームを止めない」これは、最近、本当によく聞くお悩みの1つです。確かにゲームは楽しいし、興奮します。親が「止めなさい」と言っても、なかなか聞いてくれません。自制心がまだ成長中の子供たちにとって、魅力的な遊びを止めるのは、大人以上に難しいのです。今回の事件は、依存性が高い“ゲーム”ゆえに起こったとも言えます。親がぶちキレたくなる気持ちもたしかに分かるのですが、でもやはりバキバキはいけません。そもそものルール設定に問題が!
しかし、その後の高嶋さんの言葉から、それは親子のルールに則った対応だったことが分かります。「あれはカッとなって壊したのではなく、あくまで子供達との“約束”だった」
「DSに関しても長男が自分で『今度ルールを破ったら折っていいよ!』と言った」
そのルールを破ったので、だから壊した、ということ。しかし、このルールの設定には2つの問題があります。
1つめは、息子さん自ら「折っていいよ」という発想をしていること。
2つめは、それを母親である高嶋さんが承認していること。
実は、
「叱る場面というのは、親の問題解決力を露呈する場面である」
と言われています。
どういうことかというと……。
叱るとき、親はつい目の前のことを収拾することに集中しがちです。「ゲームを止めない⇒止めさせる」「兄弟げんかをする⇒仲直りさせる」「宿題をやらない⇒やらせる」のように。それを遂行するために、怒鳴ったり、しつこく言ったり、罰を課したり、叩いたり、悪態をついたり、と手段を選ばずに強行してしまうことも少なくありません。しかし、その裏で、子供は親の対処法をしっかりと学んでいます。
「そうか、困ったときは、ママみたいに怒鳴ればいいんだ」
「言うことを聞かせるためには、パパみたいに叩けばいいんだ」
と。つまり、叱る場面に親が見せる態度というのは、子供自身が次に問題にぶち当たったときの参考資料にされるのです。それが、「叱る場面というのは、親の問題解決力を露呈する場面である」の意です。
今回、息子さんが「折ってもいい」と言ったのは、「絶対にルールは守る」という腹くくりがあったかもしれません。でも、日々、そのような荒業的な叱り方が繰り返されていると、子供たちは、荒業的な対処法を模倣しやすいということも忘れてはいけません。子供たちはマネの天才なのです。
>>次ページで、叱る場面で親が子供に気づかぬうちに発信している”裏メッセージ”について解説していきます。