子育て/子供とテレビやゲーム・アニメの影響

ゲーム機バキバキ事件が子供に伝える裏メッセージ(2ページ目)

先の「ゲーム機バキバキ事件」による炎上騒動では、行動の主である高嶋ちさ子さんが世間から大きな非難を浴びました。ほとぼりが冷めてきた今、その矛先を、高嶋さんから事件そのものへと移し、ゲームバキバキ事件が子供に与える悪影響について心理学的に検証していきたいと思います。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

子育てにおいて約束を守ることの重要性

高嶋さんは息子さんとの約束をきちんと守ったという点では子育ての基本ルールに沿っているとも言えますが、問題は、“約束の質”。実は、これは、今回の事件だけに当てはまることではなく、意外とみんながやっている育児の「あるある」でもあります。例えば、こんなこと言ってしまうことはありませんか?

「このおもちゃ、片づけなかったら、全部捨てちゃうよ」
「宿題が終わらなかったら、週末の遊園地はなし」
「ご飯をきちんと食べない子には、もうおやつは絶対にあげないよ」

親は子供がびっくりするようなことを言って、言うことを聞かせようとしてしまうことがあります。しかし、実際には、

「おもちゃは全部捨てるなんてもったいないからできない」
「週末の遊園地はチケットをもう買っているし、無駄にするわけにはいかない」
「おやつをずっとあげないなんて、ムリムリ」

と行動に移せないもの。それはそもそも、”約束の質“に問題があるからです。

大きなことを言って、結局守らないよりは、小さいルールでしっかり守った方が、子供には確実に親の教えが届きやすくなります。

「このおもちゃ、片づけなかったら、明日は1日ママが預かるよ」
「宿題が終わらなかったら、明日は帰ってきたら、遊ぶ前に宿題にするからね」
「ご飯をきちんと食べない子には、明日のおやつはないよ」

このように、「小さくてもいい、より直近のタイミングで、しっかり約束を遂行する」。この方が、子供の学びはずっとずっと大きくなるのです。


叱る場面の”裏メッセージ”に注意すべき

前ページに、
「そうか、困ったときは、ママみたいに怒鳴ればいいんだ」
「言うことを聞かせるためには、パパみたいに叩けばいいんだ」
と書きましたが、これを「裏メッセージ」と言います。子供が、親の行動、態度、言動から学んだメッセージのことを指します。

お気づきのとおり、「ゲーム機バキバキ」は、裏メッセージ的にNGなのです。「困ったら、こうやって破壊していいよ」と伝えてしまっているのですから。たとえそれが、子供の約束を守ってやったとしても……。

親が怒鳴って対処すれば、子供も友達に怒鳴って対処してもいいと考えるようになってしまいます。

親が叩いて対処すれば、子供も友達に叩いて対処してもいいと考えるようになってしまいます。

叱るときは、何とか目の前の問題を消火したい一心で、急いで火消しをしたくなりますが、そのあまり、荒々しく攻撃的になってしまうと、結果、その荒々しさを子供が繰り返してしまうかもしれないのです。

今回の高嶋さんの対応について、ネット上では、「子供への虐待だ」という声が非常に多かったように思います。たしかにお子さんが受ける心の傷も心配ですが、それを学んでしまう可能性があることも親は気に留めていくべきだと考えています。

とくに、子供の年齢が小さいほど、親の影響を受けやすくなります。「荒っぽい解決法」ばかりでは、大きくなるにつれ、子供たち自身が困ってしまいます。叱るときの裏メッセージ「この叱り方でこの子は何を学ぶか」を意識すると、何がOKで、何がNGかが見えてくるようになります。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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