現在の状況は2011~2012年の欧州危機時と似ている

現在の状況は2011~2012年の欧州危機時に似てきた・・・

現在の状況は2011~2012年の欧州危機時に似てきた・・・

金価格急騰!金や金ETFは今、買いなのか?
では金価格の見通しを書きましたが、直近で金価格がピークをつけた時期は2011年から2012年にかけて欧州債務危機の起きた頃でもありました。当時、FRBを中心に大規模なマネー・プリンティング(紙幣の大増刷、量的緩和)とゼロ金利策が取られ、紙幣の価値は低下していたところに、PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)と呼ばれる不良債権国の国債利回りが急騰し、EUの空中分解危機も叫ばれたのでした。一連の結果として安全資産として金に買い殺到しました。

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この危機は2012年後半に、幾つかの救済策とともにECB(欧州中央銀行)総裁が「救済の為には何でもする」と宣言したことで突如終焉したかに見えました。しかし、根本的な構造改革が進まないなか、現在再び欧州の金融システムに不安のスポットライトが浴びせられ、銀行株が当時と同じ程度にまで売り込まれています。また当時ほどではありませんが、ポルトガルやイタリアの国債利回りも大きく上昇しはじめ、優良債券である日独米などの国債利回りとのスプレッド(乖離)は拡大しています。エネルギー企業などの発行したジャンク社債利回りも急騰しており、優良債券との利回り格差拡大は、信用不安・危機を表すものです。

つまり、現在の状況は何となく2011~012年当時の信用収縮、金融危機時と似てきており、その中の一環として金価格上昇が起きています。欧州の銀行の不安は当時より増していると思います。融資先であるロシア、中東、中南米向けエネルギー開発からの不良債権化懸念があります。今後大型の企業破綻が出てくるごとに、銀行は大丈夫か、という話になってくるでしょう。そこへマイナス金利の流れが加わります。マイナス金利は銀行の収益を確実に蝕みます。

もはやマクロ政策が通用じない時代に!?

それでも中央銀行がマイナス金利を導入するのは、市中にお金がより出回り、リスク資産への運用も増えるので、経済成長に繋がるとする皮算用があります。どの先進国も成長を欲して止みませんが、もうそのようなマクロ政策は通じない時代に入っており、効果は出にくいと思います。

何より原油・ガス価格がこれほど下がっているのに石油消費国の経済成長は全く押し上げられていないのがその証拠です。3分1以下になったエネルギー価格は民間に数十兆円単位で節約効果を与え、本来、どのような金融政策よりも消費効果があるはずです。しかしそれは消費に回らず、経済を押し上げていません。日本では消費税や暖冬の影響もあったとはいえ、国がどれだけ紙幣を刷っても(注:マネーサプライは増え続けていますが日銀の当座預金が大きく増えるだけで、市中に出回っているお金が大きく増えているわけではない)、またゼロ金利を続け、天文学的借金で財政支出を継続し、直接的な資産購入(ETFやリートを含む)まで行っても、実質消費支出は2年連続でマイナスを記録しました(2015年は▼2.3%減少)。この間、賃金は上昇し、ガソリンなどの下落効果も大きいはずですが、余ったお金は消費などに回らないのです。

もう先進国は十分に満ち足りており、金利やマネーサプライをいじることで、或いは公共投資やバラマキ策を行ったところで、消費拡大には結びつきにくくなっているのです。2014年11月から何度も利下げと準備預金率の引き下げを繰り返している中国にしても、景気は沈みっぱなしです。例えエネルギー価格が劇的に下がっても景気浮揚などしない超成熟社会に入りつつあるということです。ここに百年近く前に考えられたケインズ的なマクロ経済政策を打ったところで、何も効かないという事が分かりはじめています。世の中はスマホやインターネットのお陰で無料や低価格で楽しめる娯楽や情報、安くて旨いもので満ちています。追加的な欲望は逓減されて行きます。満ち足りている者を、金融政策で刺激することなどできないということです。各種効果でお金を増やしても、(もちろんそれが投機に回る分はあり、バブルを発生させ、今はその弊害が出てしまっているところですが)、実体経済としては資金を必要としていないので、増えたお金はそのまま余るだけで、実体経済の景気浮揚には結びつきにくくなっています。

このように中央銀行の狙った政策効果が出ず、銀行の収益を悪化させるだけだとすれば、大きな失望感や無力感とともに、(大規模量的緩和政策や中国の4兆元の大規模景気刺激策が巻き起こした資源バブルや中国経済バブルのツケとして)金融危機の発生する恐れもゼロとは言い切れないと思います。万が一にも、そのシナリオが実現してしまうと、資産価格下落に逆相関する金(ゴールド)の輝きは、一段と増す可能性があります。

参考:日本株通信

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