急騰する金(ゴールド)価格
凄まじい勢いで上昇する金価格。今後のトレンドを考えてみます
しかし、皮肉にも金価格はFRBが利上げを決めた2015年12月16日に反転を開始しました。この日、米国の長期金利の目安となる10年国債利回りは2.3%をつけ、2015年後半のピークを打ちました。しかしその後、金利はどんどん低下し、2016年2月には一時1.6%台をつけたほどです(日本の10年債はマイナス利回りにも)。これは何を意味するかというと、市場の混乱と経済停滞から、2016年の米国の利上げ継続は厳しいのではないかとする見方が急速に織り込まれているのです。つまり金利正常化への号砲は不発に終わり、失策であった可能性(利上げなどできる状況でない)が出てきたのです。
マイナス金利は金価格にプラス?
米国以外でも、欧州がマイナス金利導入で先陣を切り、そして日本がこれに追随し、スウェーデンはマイナス金利幅を▼0.35%から▼0.50%へと拡大させました。日本の預金者は今後利息というものがなくなる世界を体感し、来年にも「口座維持手数料」という名目で、お金を預けた結果、お金が減って行くという初めての経験をする可能性があります(ちなみに、欧米や香港では普通にあることです 。毎月1,000~2,000円程度の維持費を預金の残高によって徴収されます)。全ては紙幣の価値が低下する方向へと逆回転し始めています。こうなると金(ゴールド)を持っている限り、時価こそ毎日変動するものの、少なくともマイナス金利や維持費を課されることはなく、相対的な魅力が増します。そしてその時価が上向きのトレンドに変わりつつあるとすれば、一気に魅力は高まります。実際のところ、前述のように金(ゴールド)価格は、FRBが利上げを決め、長期金利がピークをつけたところから底打ち反転しはじめました。12月17日に安値1,047ドルをつけたところから、2016年2月にはザラ場ベースで一時1,250ドルを超えました。
そして米国に上場する金鉱株は金価格以上に大きく上昇しています。どの銘柄も同様に騰がっているのですが、GDX (Market Vectors Gold Miners ETF) というティッカーのETF価格を見れば、ここに組み入れられている金鉱株全体の値動きを総合的に掴めます。こちらは2016年1月中旬に12ドル台だったところから、2016年2月には1.5倍の18ドル台へと上昇しました。個別の金鉱株の状況も概ね同じです。感覚としては、金価格が10%上昇すれば、金鉱株は20~30%も騰がるというのが昔から見られた印象です。金鉱株の動きは非常に荒いものです。当面はこの急騰で短期的な目標価格達成感ありますが、調整終了後に再び高値を更新すれば、2016年に要注目のセクターとなりえるでしょう。
参考:日本株通信
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