株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

2016年の株価推移は2008年の金融危機時と瓜二つ

今のところ年2016年年初からの株価の動きは、金融危機で異常だった2008年の急落ペースと瓜二つです。ナスダックだけでなく、日経平均でもそっくりとなっています。2008年の事例を元に今後の株価を予想します

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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2016年の株価推移はリーマンショック時と瓜二つ

日本株だけでなく、世界中の株価が暴落している・・・

日本株だけでなく、世界中の株価が暴落している・・・

2016年2月9日(火)の日経平均は2013年5月の「バーナンキショック」以来となる918円安(一時978円安)、そしてそれだけ下がった翌10日、さらに休日明けの12日も大幅続落となり、ついに1万4000円台入りとなりました。

ちなみに暴落してるのは日経平均だけではなく、世界各国の株価指数の年初来下落率も、中国の人民元切り下げショックで急落した2014年7-9月期に迫る勢いであり、年初からこれだけ下がったのは2008年以来と思います。これはただ事でなく、単なる調整や繰り返し来る、一時的な下落ではないと思います。何か音を立てて崩れている様子です。下記の関連記事でも指摘してきましたが、市場が徐々に、資源株の暴落に留まらず、信用収縮という暴落の第2段階へ入りつつあるのではないかと思います。

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2016年の投資のトレンドは?
2016年のナスダックの株価推移はリーマンショック時と同じ

2016年のナスダックの株価推移はリーマンショック時と同じ

今のところ年2016年年初からの株価の動きは、金融危機で異常だった2008年の急落ペースと瓜二つです。ナスダックだけでなく、日経平均でもそっくりとなっています。そしてベライゾン、AT&Tなどの通信大手、クリネックスなどのティッシュブランドで知られるキンベリー・クラーク(KMB)などのディフェンシブ株に資金が集まり、高値を取っているところです。

日銀の誤算!?マイナス金利の悪影響

日銀の誤算!?マイナス金利の悪影響がジワリ

日銀の誤算!?マイナス金利の悪影響がジワリ

2月9日の東証では銀行業種が-7.36%安と大きく沈みました。ここに不安が表れていると思います。1月29日のマイナス金利導入直後から、散々銀行株(保険も)は売り叩かれて来たにも関わらず、一段の大幅安となりました。マイナス金利は銀行・保険など、従来の伝統的金融業務を大きく歪める危険性あり、ここに来て思わぬ(日銀が想定していなかった)影響が世界に与えられだしてきていると思います。

2月9日に日本の新発国債10年物利回り(=住宅ローンなど長期金利の目安となります)がついにマイナスとなりました。マイナス金利導入前に0.2%の過去最低にあったこの利回りは、直後から半分の0.1%、さらに半分の0.05%、0.025%と下がってきて、ついに歴史的なマイナス入りです。100万円の国債を購入し、10年保有すれば約99万9,000円と、差引-1,000円の損になるという異常な事です。

お金の貸し手(国債購入者)が借り手(日本国)に利息を払う事態は、旧来の金融システムの根幹を揺るがす事と思います。その損する国債に買いが殺到しているのが現状であり、買われるので国債の値段が上がり、利回りがさらに低下しています。これは強烈なリスクオフを示しており、損をしても国債なら僅か1,000円で済んでまだ安全、ということに他ならず、他の株式などのリスク資産は投げ売られている訳です。円に買いが集まって円高になっているのも安全への逃避、金の急騰も同様です。日銀が想定しなかった事態ではないでしょうか。リスク資産の中でもマイナス金利でダイレクトに業績の下がる(金融業の儲けは金利です)銀行、保険株は、真っ先に投げ売られる構図です。

長期金利だけでなく、様々な金融機関の発行する金融債の表面金利も劇的に低下中であり、マイナス金利は予想以上に大きな影響を与えだしている模様です。また日本だけでなく、いち早くマイナス金利を導入している欧州、そして米国の銀行株も世の中の動きを察知して売られています。

2015年からの中国経済減速、資源価格暴落という段階は特定の資産クラスの下落で済んでまだ良かったのですが、そこから信用収縮、銀行株の暴落という次の段階へ進んでくるとかなり厄介な事だと思います。ここから先は「破綻」がキーワードになってくると思われます。株価は不穏な空気を先読みして急落しているところです。むろん、各国中央銀行が事態収束のために何らかの大仕事をすれば(米国の利上げ中止や日本や欧州の追加金融緩和など)、一旦(1~3ヶ月)株価は大きく上昇し、リスクオン鮮明に映ると思いますが、中央銀行の無力感は大きくなり、どこで最終的に株安が収まるかは予断を許さないと思います。 2008年もまったく同じように、中央銀行のアクションで強烈なリバウンドが起こりましたが、その後強烈な下落に見舞われています。

参考:日本株通信

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