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現代女性の「本当は結婚したくないのだ」症候群とは

『キャバ嬢の社会学』『整形した女は幸せになっているのか』などの著書がある作家・ライターの北条かやさんに、2016年1月28日に上梓された著書『本当は結婚したくないのだ症候群』をもとに、現代の女性の「結婚に関する本音」についておうかがいします。

大木 隆太郎

執筆者:大木 隆太郎

恋愛ガイド

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恋愛ガイド大木隆太郎と作家の北条かやさんの恋愛対談

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北条かやさんと大木隆太郎

――『キャバ嬢の社会学』『整形した女は幸せになっているのか』などの著書をお持ちの作家・ライターの北条かやさんとの恋愛対談です。著書『本当は結婚したくないのだ症候群』をもとに、現代の女性の「結婚に関する本音」についてお伺いしました。

ガイド大木(以下、ガイド):『本当は結婚したくないのだ症候群』読ませていただきました。「結婚」という2文字に囚われてしまう女性たちの心情、その本音のところが、大勢へのインタビューで見えてきて大変おもしろかったです。結婚意識に関する統計やデータ、時代ごとの結婚観の違いなんかも紹介されていて、すごく勉強になりました。まず、この本がどういうところからスタートしたか教えてもらえますか?

北条かや氏(以下、北条):ありがとうございます。スタートは……よく書店の女性向けのコーナーを見ていると、自己啓発本や、どうやったら結婚できるか、みたいな本はたくさんあるんですけど、「実際に女性が何を考えているか」を書いた本はほとんど無い、と思ったんです。

80年代の『結婚しないかもしれない症候群』や10年ぐらい前に香山リカさんが出した本とかはあるんですけど、2015年(※執筆時)現在はどうなんだろうと思い、それが最初の疑問でした。

最初はよく言われているような、女性たちが「王子様を探しているから」「年収などハイスペックの男性を求めすぎているから」結婚できないんじゃないか、とかそういう論調の企画だったんです。でも、この本の編集者の女性も独身のアラサーだったので、いろいろと話をする中で、「それだけじゃないんじゃないかな」という直感があって。その直感を基にデータやインタビューを集めていって……。もちろん、直感が当たっているところもあれば、期待を裏切られることもあったんですが、そういうところも含めて「今の女性が考えている本当のところ」というのを書いた本になりました。

「“本当は”結婚したくない」の“本当”とは……

ガイド:まさに女性の本音が詰まった本、ということですね。かなりたくさんの女性にインタビューされていますが、タイトルの通り、「結婚したくない女性」が多かったんですか?

北条:インタビューする女性はアラサー世代で、婚活しているいないに関わらず、満遍なく集めてもらったんですが、「結婚したい人」も「結婚したくない人」もそれぞれいました。

ガイド:僕も仕事でたくさんのアラサー世代の女性の方々とお会いしてきましたが、感覚的には、「本当は結婚したいのに、ついつい『結婚したくない』と言ってしまう人」がかなりいるイメージがあって。実際は結婚したい人のほうが多いんじゃないかと思っているんですが、どうでしょう。

北条:それが私から見ると「今の結婚制度だと結婚したくない」ということなのかな、と。

ガイド:なるほど。本のタイトルにも繋がる感じですね。

北条:『本当は結婚したくないのだ症候群』の「本当は」ってところがミソなんですけど、実際、明確に「結婚したくないし、独身でバリバリとキャリアを積んでいきたい」という独身主義者の人はあまりいないんです。数%以下くらい。

だいたいの人は、「理想の相手がいたら結婚したいけど、見つかりそうもないし、かといって見つけるために一生懸命努力して、女磨きしたり、婚活したりするのも疲れてしまう」という心境なんです。

それに加えて、「今の結婚制度だと女性にとって共働きだと家事の負担も増えるし、家同士の付き合いも出てきて面倒だし、そういう結婚だったら、したくない」という。

ガイド:結婚したいんだけど、結婚したくない……難しい女心ですね。いや、女性に限らないんですけど(笑)。

男の理想「やまとなでしこ」……は、もう成立しない?

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北条かや&大木隆太郎

ガイド:逆に、ある意味、昭和っぽいというか……専業主婦になって家庭に入りたいから結婚したい、という女性はいましたか?

北条:もちろん、そういう人もいました。でも逆に全くそうじゃないという人もいて。本当に同じアラサーでも多様だな、と思いました。

ガイド:先日、大相撲の琴奨菊関が優勝したというニュースで、献身的に支えた奥様がすごくクローズアップされていましたよね。あれって、男性が求める一つの「結婚の理想像」だと思うんです。

北条:いわゆる、やまとなでしこ的な。

ガイド:そう。でもこれって今、成り立たないじゃないですか。

北条:男性の平均年収がガクッと下がる中で、なかなか難しいですよね。だから年収が高い人から結婚していく……。

理想は「年収600万円の良きサラリーマン」……しかし、実際は?

ガイド:でも、年収が高ければいいわけでもないのかも。僕の周りの経営者の男性なんかもそうなんですけど、年収が高過ぎても未婚率上がるんですよね。

北条:あ、そうですね! 年収1500万円以上と年収150万円以下で未婚率がほぼ一緒というデータがあったと思います。

ガイド:サラリーマンで年収1000万円くらいまでだと結婚率が高いんですけどね。

北条:どうしてでしょう。

ガイド:高収入の人って、自分に自信があって信念があるから、自分を曲げない……つまり、結婚生活に向いてないんですよね(笑)。

北条:(笑)。確かに、女性の体験談で、年収が一桁違うような高スペックの方とお会いして、すごくスマートで面白い人だったんだけど、「なんだかこの人とは共同生活できなさそう」と感じて自ら引いてしまったという話がいくつかありました。やっぱり普通のサラリーマンの方がいい、って!

ガイド:ああ……それはありそうですね。大手の結婚相談所に話を聞くと、女性からいちばんニーズがあるのが、東証一部クラスの大手企業の課長クラスらしいんですよね。年収600~700万円くらいの30~40歳というところかな。

北条:「良きサラリーマン」みたいな感じ(笑)それはちょっと面白いですね。

ガイド:女性からするとやっぱり安心できる……。

北条:遊ばなそう、という……。

ガイド:「ちゃんと家庭に入る」のがイメージできるんでしょうね。それで希望年収で600万円以上という人が多いので。

北条:600万円というのが、女性が産休に入った時に、自分の収入がなくても子供が育てられるくらいの年収なんですよね。

ガイド:でも、600万円以上稼ぐ35歳以下の独身男性のたった5.7%しかいないんですよね。だからすごく競争率が高くなっていて……やっぱり、今までの結婚の構図はもうほとんど成立しないですよね。

北条:そうなんですよね。自分のまわりを見ていても、学生時代から付き合っていて、彼氏が大手企業に勤めて、2年後に結婚……みたいな手堅いカップルが増えている気がして。

これ、バブル世代の方に言わせると、「え!? 普通は社会に出て、いろいろな男性を見てから結婚するもんじゃないの?」と非常に驚かれるんですけど。

ガイド:世代の差もありますよね。う~ん、結婚するのって……難しいですね(笑)。

理想が「わからない」から、結婚相手が見つからない

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北条かや『本当は結婚したくないのだ症候群』

ガイド:じゃあ結局、みんな理想を持っていて、その相手が見つけられないから結婚しないということなんでしょうか?

北条:それが例えば……理想の結婚相手ってどんな感じですか、と聞いてみても、皆さん「え!? ……わかりません」と言うんですよね。

ガイド:そうなんだ! でも、「わかりません」って(笑)、えっ……でもそれだと結婚できないって言うか……。そもそも結婚に興味が無いのかな?

北条:実際に、内閣府が行ったアンケートでも、20~30代の4割が「恋人は欲しくない」と回答してるんですよね。特に20代。理由は「恋愛が面倒」「自分の趣味に力を入れたい」などがいちばん多いんですけど。

他にも、「結婚したいのかどうかわからない」と答える女性が20代では9%だったのが、30代になると20%以上と急増したり。

ガイド:なるほど……何が「理想」なのか、「結婚したいのか」がわからない。

北条:そうなんです。なので、この『本当は結婚したくないのだ症候群』というのは、そういった「結婚への態度を決めかねている」多くの女性を対象にした、そういう本音を解き明かす本になっています。

>>後編では、「東京~地方の子育て、ライフスタイルについて」対談します!

【出演者プロフィール】北条かや(ほうじょう・かや)。1986年、石川県金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『こじらせ女子の日常』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く! ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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