切手収集/切手収集入門

これぞ日本の美!奥の細道シリーズの魅力に迫る!(3ページ目)

「月日は百代の過客にして行き交ふ年も又旅人也」という書き出しで始まる松尾芭蕉の『奥の細道』はあまりに有名です。郵政博物館(東京・押上)では2016年1月23日(土)から3月27日(日)にかけて、奥の細道シリーズの切手原画展が開催されていますので、その観賞のポイントや『奥の細道シリーズ』の収集についてご紹介したいと思います。

板橋 祐己

執筆者:板橋 祐己

切手収集ガイド

「奥の細道シリーズ」の今の値段は?

「奥の細道シリーズ」は今から30年近く前に発行された記念切手ですが、残念ながらあまりプレミアムはついていません。切手商の在庫は豊富にあり、現在の切手商での実売価格で3,000~3,500円程度です。発行当時の額面合計は40種2,416円ですから、実質的には額面金額に手数料を上乗せした程度にすぎません。使用済だとさらに安く、1枚20~30円程度で入手できます。
奥の細道シリーズの使用済2

「奥の細道シリーズ」の第6集~第10集までの使用済(参考価格2,500円)。

「奥の細道シリーズ」は使用済が面白い

ただ、いくら使用済が安いといっても、「絵」と「書」の2種がつながったままの使用済となると、簡単には行かないでしょう。切手商だけでなく、切手交換会などに足しげく通って探していかないと入手は難しいと思いますし、未使用よりかえって割高になることもしばしばです。
第10集使用済1

右が「絵」・左が「書」となっている第10集「蛤と句」の使用済。

第10集「蛤と句」の使用済2

右が「書」・左が「絵」となっている第10集「蛤と句」の使用済。

ここに示すシリーズ第10集の「蛤と句」のペアですが、もしどちらかをもらえるとしたら、どちらがよいでしょうか?私であれば、迷わず上の「和文印のペア」をいただきたいと思います。「奥の細道シリーズ」は「絵」が左・「書」が右のペアになるのが一般的ですから、その逆は稀少なのです。このあたりも「奥の細道シリーズ」収集のポイントとなるでしょう。
和欧文機械印

第1集の「芭蕉と句」のペアに和欧文機械印が押されたもの。

こちらはどうでしょうか。それぞれの切手が1枚ずつの機械印であれば、20~30円で買えますが、ペアの機械印であれば、その10倍を超える価値があるでしょう。60円は当時の手紙の料金であって、機械印が押されることはよくあるのですが、2枚つながったまま120円で機械印に押されることは少ないのです。こういうものは数百円程度の価格ながら、なかなか見かけないため、「駄物の珍品」などと言われます。

「奥の細道シリーズ」のご当地消し

ご当地の消印

「奥の細道シリーズ」第1集の「華厳と句」。ご当地の消印との組み合わせが魅力的。

現在、発行された記念特殊切手と、その切手に関連の深い郵便局の消印の組み合わせを楽しむのが、現在ちょっとしたトレンドになっていて、オークションでも驚くような高額落札で話題となります。「奥の細道シリーズ」に関していえば、唯一私が持っているのは、華厳の滝60円と栃木・中禅寺郵便局の消印の組み合わせです。ご当地そのものは難しくても、歌枕の地の県内消しなどの郵便局にも意識して集めると、興味深いコレクションとなるでしょう。
次のページでは、さらに入手の難しい「奥の細道シリーズ」切手についてご紹介します。
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